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4月25日はよく晴れて、岡大時計台前の芝地ではタンポポの綿毛がいっぱい開いていた。26日〜27日は大雨の予想となっているため、濡れる前にどこまで飛んで行かれるかが繁殖の鍵になっている【あまり殖えてほしくないが】。 |
【連載】abc予想証明をめぐる数奇な物語(7)望月博士の帰国後の活躍 4月22日に続いて、 ●NHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか?abc予想証明をめぐる数奇な物語【ブログ後編はこちら】 についての感想と考察。59分バージョンをベースにして、4月15日の23時から放送された89分「完全版」を参照しながら感想を述べることにしたい。 放送では、続いて、博士論文に取り組んだ望月青年が意外な行動に出たというエピソードが紹介された。
多様体 X の同型類についてのどのくらいの情報が、エタール基本群(etale fundamental group)の知識には含まれているのであろうか?上掲の意味は全く理解できないが、リンク先には、興味深い記述があった。 最近、望月はいわゆる単(mono-)遠アーベル幾何学を導入および発展させた。それは、数体または他のいくつかの体にわたる特定のクラスの双曲的曲線について、その代数的基本群(Algebraic fundamental group)(英語版)からその曲線を復元するものである。単遠アーベル幾何学の主要な結果は望月の「絶対遠アーベル幾何学」などにある。 元の話題に戻るが、京大では2000年頃から、「あの天才望月が難問中の難問【abc予想】へのチャレンジを始めたらしい」という噂が飛び交うようになった。望月博士の帰国後に親交を結ぶことになった加藤文元博士(東京工業大学)は、その頃の経緯を次のように語っておられた。
すでに紹介されているように、abc予想【簡易版】: a+b/rad(a+b)<rad(a×b) というように、不等号の左側には足し算、右側にはかけ算が現れている。この数式を証明するためには、数学の世界に混じり合うように存在している足し算とかけ算を分離するという根源的な課題に切り込む必要がある。 加藤文元博士は 、このことについて、 足し算とかけ算の関係というのは、非常に複雑で難しいものなんですね。数の世界においては、足し算で作られるのも自然数であれば、かけ算で作られるのも自然数。足し算とかけ算の絡まりが分かち難く固く結びついちゃってる。abc予想は、なんらかの形で、それを分解して柔らかくしてくださいと我々に要求している。しかしそれはなにしを非常に固い関係ですから、普通の数学でそれを解きほぐすっていうことは、ちょっと無理そうな感じがするわけです。と語っておられた。 足し算とかけ算の違いについては2020年4月8日とその翌日に素朴な感想を述べたことがある。人類が足し算やかけ算を発明したのは、おそらくリンク先に記したような有用性があったからに他ならない。しかし、数学でいう足し算とかけ算の違いはもう少し別のところにあるようだ。こちらに分かりやすい解説もあり、並行して学んでみたいと思う。 次回に続く。 |