じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 11月8日の夜はよく晴れて、皆既月食の一部始終を眺めることができた。
 もっとも、私のデジカメでは皆既食中の月は暗すぎて焦点が合わず、うまく撮影することができなかった。写真上は、皆既食が終わった20時44分頃の様子。写真下は、翌朝、皆既食を終えた満月が半田山に沈む様子。↓の記事参照。


2022年11月09日(水)



【小さな話題】最初で最後の「皆既月食&天王星食」

 11月8日の夜はよく晴れて、皆既月食と天王星食を眺めることができた。

 私自身は皆既月食のほうはこれまで何度も観たことがあるが、天王星食は初めて。というか、そもそも天王星自体を観たことは滅多に無い。過去日記を検索したところ、
  • 2000年12月21日の日記には、天王星が見えやすい位置にあるが、まだ見たことはないという記述あり。
  • 2020年3月12日の日記に、「金星の左下(3月11日現在)には天王星があり、3月9日と11日に双眼鏡で確認することができた。 」という記述あり。
  • 2020年7月19日の日記に、「天王星は、今年の3月に、金星の位置をを手がかりにして双眼鏡で眺めることができたが、今回は、双眼鏡を使ってもどれが天王星の判別は不可能。」という記述あり。
などがヒットした。ということで私が天王星を直接観たのは2020年3月9日と11日の2回だけのように思われるが、自分自身の体験であるにもかかわらず、当時の記憶は全く蘇らない。またこれらの日とは全く別の時期に、すぐ近くの明るい星の配置を手がかりに天王星を観たことがあり、その記憶のほうがいくぶん残っているのだが、過去日記に記したかどうかは確認できていない。

 いずれにせよ、天王星というのは「見ることはできるが、どれが天王星なのかよく分からない」という点で彗星や星雲とは大きく異なる。手持ちの双眼鏡レベルでは天王星は他の恒星と全く区別がつかない小さな光点にしか見えない。なので、見えていても本当にそれが天王星なのかどうか自信を持てないところがあった。今回は、すぐ近くに皆既月食中の月があり、天王星食の始まりの時刻も分かっていたため、「これが天王星だ」と確信した上で観ることができるという点で大いに期待された。

 今回は、パソコンで地元の倉敷科学センターのライブ中継を視聴しながら、時々外に出て肉眼と双眼鏡で月食の様子を観察した。このライブ中継では月の欠ける様子ばかりでなく、ステラナビゲータによる月と地球の影と天王星の位置関係が表示されており、月が天王星にどのくらい近づいているのかを確認することができた。日食開始時は月が明るすぎて天王星を観ることはできなかったが、月が7割ほど欠けたあたりからは小さな点として見えるようになり、潜入の10分ほど前までは確認することができた。その後は月面と一体化してしまったため、潜入の瞬間はライブ中継で視聴した。
 天王星のの潜入は岡山では20時28分頃であったが、東京では20時41分というようにズレていたため、今度は国立天文台のライブ中継を視聴。こちらのほうは口径50cmの望遠鏡でとらえていたため、天王星が小さな円盤状に見えており、潜入開始から完了まで10数秒かかる様子を生で眺めることができた。

 なお、各種報道によれば、皆既月食中の惑星食が日本で見られるのは1580年の土星食以来442年ぶり、また次回は322年後の2344年の土星食となっているため、私ばかりでなく、いま日本で生きている人たちすべてにとって、人生初、かつ人生最後ということになる。もっとも、皆既食ということにこだわらなければ惑星食自体は毎年のように観察可能であり、2022年の場合は5月27日に金星食(但し昼間)、7月21〜22日に火星食があった。とはいえ、一般人が双眼鏡で天王星食を観察する場合は、月が明るすぎると月に接近している様子を見ることができない。今回の経験から言えば、上弦から満月、下弦までの時期に天王星食が起こっても観察は不可能。そういう意味では、今回は、天王星食を観察する上では最良の機会であったと言えるかもしれない。

 なおこちらのサイトによれば、この先2030年までに日本で見られる惑星食は8回あるが、白昼の現象、あるいは一部地域に限られており、比較的条件が良さそうなのは2024年12月8日の土星食で、日本海側の一部を除く全国で見えるという。またそれより前の2023年03月24日には日の入り後に南西諸島で金星食が見られるというが、月齢カレンダーによるとこの日の月齢は2.4(正午)となっていて、西の空の低い位置で月と金星が大接近している様子を見ることはできそう。2024年の土星食のほうは月齢6.9(正午)。このほか2034年10月26日には木星食があり、月齢は13.8となっていた。