【連載】チコちゃんに叱られる!「メイラード反応」と発癌性
昨日に続いて、12月9日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
- なぜ大人は足を組む?
- 食べ物に熱を加えると茶色くなるのはなぜ?
- 抜き打ちドリル 正しく言いましょう【略語や記号の正式名称についてのクイズ】
- ダーツの「まと」ってなに?
という4つの話題のうち2.について考察する。
さて、食べ物に熱を加えると茶色くなる理由だが、私は、「部分的に焦げるから」、つまり、炭化した部分とまだ炭化していない部分の比率によって茶色く見えるのではないかと思っていた。しかし、今回の放送によれば、「焦げる」ことと「茶色くなる」ことは全く別種であることが分かった。
放送では、「メイラード反応」が起こるから、と説明された。タンパク質と糖は熱が加わると、茶色のメラノイジンに変わる。じっさい、これらを混ぜた液体を加熱すると茶色に色づくことが実験により示された。唐揚げ、ハンバーグ、ブリの照り焼き、トースト、どら焼き、カップケーキ、焼き菓子、コーヒー、ビールなどの茶色はメイラード反応によるものであるという。このうちビールの茶色は、原料となる麦芽を煮込んだ時に麦芽に含まれるタンパク質と糖がメイラード反応を起こして着色される。またコーヒーは、豆を焙煎した時に豆に含まれるタンパク質と糖がメイラード反応を起こし、これがコーヒーの色になるという。メイラード反応はまた「香ばしい」香りをもたらす。
放送ではさらに、条件を整えればメイラード反応が起こらない調理ができることも紹介された。真っ白なホットケーキを作るには、
- 上白糖の代わりに、糖分の少ないトレハロースを使用。
- 小麦粉の代わりに、小麦粉よりもタンパク質が少ないタピオカ粉を使用。但し、混ぜやすくするため少量の小麦粉を加える。
- タンパク質の多い牛乳の代わりに水を使用。
- 卵白をメレンゲにして使用。
このような材料で弱火で3分ほど焼くと、かなり白いホットケーキができることが実演された。
ここからは私の感想・考察になるが、熱を加えても茶色にならないものとしては、白米、だんご、まんじゅう、蒸しパン、餃子や焼売の皮などが思い浮かぶ。
- 白米は、小麦と同じくらいタンパク質と糖分を含んでいると思われるのだが、ご飯を炊いただけでは茶色にならない。チャーハンや炊き込みご飯では茶色っぽくなるが、これは味付けの段階で醤油などを入れるためではないかと思われる。
- 焼き餃子は焼き上がりの段階で一部が茶色くなるが、あれは普通は焦げ目であって、餃子の皮全体が茶色くなるわけではない。と思ったが、こちらによれば、「餃子に焼き色がつくという現象は、「メイラード反応」というものでできています。」と記されていた。
ということでもう少し調べてみたが、メイラード反応というのは、どうやら160〜180℃で加熱することで起こるらしい。であるなら、ご飯を炊いたり、蒸したり、煮たりする加熱では起こりにくい(=茶変しない)と言えるかもしれない。もっとも、しゃぶしゃぶ肉は鍋に入れた時に茶色っぽく変わるようには見えるが。
あとウィキペディアを詳しく読むと、
- メイラード反応は非常に多くの素反応からなる過程であり、その全容は未だ十分には解明されていない。
- アミノ酸と還元糖が反応し、窒素配糖体を経由してシッフ塩基を形成した後、アマドリ転位によりその反応生成物を生じるまでの反応を初期段階、アマドリ転位生成物(2,3-エナミノール型とケト形の2種)以降を中期段階と呼ぶ。
- メイラード反応の進行には、反応系のpHが大きく関与することが知られている。特に中性から塩基性の条件下では中期段階以降でラジカルの生成が促進されて、褐色色素の生成が促進される。
- また、反応中間生成物より分岐して、ストレッカー分解反応へと向かう経路も存在する。ストレッカー分解反応の生成物も、食品の加熱加工の際に生じる香気に大きく関与している。
となっていて、単純な1つの化学反応ではないようだ。また、反応生成物も多種多様であるようだ。
なおウィキペディアのリンク先には、
- メイラード反応の過程でアスパラギンとブドウ糖が反応することによって、劇物扱いのアクリルアミドが生成されることが明らかになっている。アクリルアミドは神経毒性や発癌性を持つ疑いがある化合物であるため、特にポテトチップスなどの高温加熱食品におけるメイラード反応でアクリルアミドが生じることが食品安全上の観点から問題視されている。
- 2002年4月、スウェーデン食品庁は、ポテトチップスやフライドポテト、ビスケットなど、炭水化物を多く含むものを高温で加熱した食品にアクリルアミドが高濃度で含まれているという報告を出した。アクリルアミドは神経毒性や発癌性を持つ疑いがあるため、これらの食品の安全性に対する懸念が生まれることになった。その後、この報告は各国の食品関連機関の追試によって確認され、それをうけてWHOが2002年6月に専門会議を設けるなどの対応を行った。日本では食品総合研究所を中心に、この問題が検討されている。これらの食品中のアクリルアミド濃度は、飲料水中の規準値を超えていたために安全上の問題があると疑われた。
- 2005年には、FAOとWHOからなる合同委員会が「食品中のアクリルアミドは健康に害を与える恐れがあり、含有量を減らすべき」と勧告。
といった記事があり、注意を向ける必要がありそう。魚肉の焦げに発癌物質が含まれているという話は以前にも聞いたことがあったが、焦げていない部分でも、高温加熱食品には注意であるように思われた。もっとも電子レンジで何度も温め直すだけでも発癌物質が生まれるということになれば、もはや現代の食生活そのものが成り立たなくなってしまうが。
次回に続く。
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