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1月21日の夕刻と1月22日の朝はよく晴れて、それぞれ日の入り【写真上】と日の出【写真下」を眺めることができた。旧暦では、写真上が大晦日の日の入り、写真下が新年の初日の出ということになる。 なお「大晦日は、グレゴリオ暦では12月31日となるが、旧暦では12月30日または12月29日になるという。今年は1月21日が旧暦12月30日であり大晦日となる。 |
【連載】チコちゃんに叱られる!「なぜウソをつくようになる」 1月20日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
その前に、1月18日の日記で、「展望台にのぼって高いところからの景色を見たがるのは『いいことがある』と遺伝子が記憶しているから」という非常に胡散臭い説明があったことを指摘したが、今回の「なぜウソをつくか?」なぜウソをつくようになるのか?についてもまたまた「遺伝子が記憶」やら「トンデモ進化生物学」的な胡散臭い説明[※]が登場するのではないか、もしそうなったらBPOに提訴しようかと身構えていたところであったが、実際に行われた解説は発達心理学、教育心理学がご専門の林創(はやしはじめ)先生によるもので、心理学の知見に基づいた適確な内容であった。 [※]想定される疑似科学的な説明としては「大昔の人は、罠をかけたり落とし穴を作ったりというように獲物を騙して狩りをしていた。これにより獲物を騙すことのできる人間のほうが生き延びる確率が高まった。このことから「騙すこと、つまりウソをつくのはいこどだと遺伝子が記憶し現代人もウソをつくようになった 」といったものが想定される。 林先生によれば、
放送では、 Hayashi, H. (2017). Children's understanding of lies in elementary school years. The Journal of Genetic Psychology, 178, 229-237. 【ほかに、Sodian et al.(1991)、Peskin(1992)、菊野春雄(2010)】 を参考にした実験手続が再現された。
●自分とオオカミの心の中が別々のものであると知っているかどうか による。5歳以上の子どもは、自分がこう言えば相手はこう思うんじゃないかという発想が生まれウソがつけるようになると考えられる。いっぽう4歳児は、この違いをうまく意識できないため、オオカミの心の中を考えずに自分の知っている本当のことを伝えてしまう。 4歳児と5歳以上の子どもの違いは、この時期に「心の理論」が発達するため。「こころの理論」とは、 ●自分と他人の心の中は違うものであり、それぞれの気持ちや考えで行動するのだと理解すること。 であり、経験や言葉の習得などに伴い4歳〜5歳に大きく発達すると言われている。 放送ではさらに、子どもが意図的にウソをつけるかどうか試す実験が行われた。ウサギの代わりに人の良さそうなお兄さん、オオカミの代わりにヤクザ風のおじさんが登場し、そのおじさんが(赤い家に隠れた)お兄さんの居場所を尋ねるという設定で実験したところ、3歳児では正直に「赤い家」と答えたいっぽう、4歳以上の子どもたちは「青い家」とか「分からない」と答え、全員がウソをつくことができた。 さらに、赤い鬼に扮したお兄さんが赤い家に隠れて「ゼッタイ内緒にしてね」と約束したあと、園長先生が赤鬼の居場所を尋ねると、全員が「青い家」と答えた。これは、鬼に対しては半信半疑だが、「居場所を言わない」という約束を守ろうとした行為であり、ウソをつく力だけでなく約束を守ろうとする気持ちも育まれていたと説明された。 林先生によれば、「気にすべきウソ」と「気にしなくてもいいウソ」は以下のように分類できる。
なお、大人が子どもにつくウソもいろいろある。風呂上がりになかなかパンツはかない子どもに「ちん食い虫が来るよ」というウソは、子どもの習慣を定着させる上では有益なウソと言える。 このほか、子どもがウソをつけるようになる理由は、心の理論以外にも、「記憶力」や「言わないようにガマンする力」が発達することも関係しているという補足説明もあった。 ここからは私の感想・考察になるが、ウソをつけるようになる必要条件としては、「心の理論」以前に「視点の取得(perspective taking)」が必要ではないかと思われる。これは、「わたし、あなた、あの人」や「ここ、そこ、あそこ」、「あの時、いま、このあと」というように人称や空間、時間を区別して報告できるような能力であり、日常生活の中での自然な言語訓練の中で身についていく。 なお、ウソをつくという行為を「他者を騙す」というように定義した場合は、ヒト以外の生物でもいくらでも例を挙げることができる。例えば擬態もあるし、他者を怯えさせるために自分を強く見せかける反応もある。そのいっぽう、「意図的なウソ」と言われるタイプは、言語行動が関わっており、人間以外では困難であるようだ。たまに霊長類や鳥類でもウソをつけるという実験研究が報告されることがあるが、形式的論理的には他者を騙すようなウソであったとしても、道具的な手段に過ぎず、オペラント条件づけでウソつき行動を強化できるという場合もある。 ウソについては、行動分析学の大家、佐藤方哉先生も興味を持っておられた。 ●嘘とアイロニーの行動分析学的一考察 という論文を発表されたこともあった。 次回に続く。 |