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4月21日に放送された「チコちゃんに叱られる!」でブルーチップの映像が出てきたが、いくら何でも「お買い物1円につき1枚」というレートは現実的でない。私の記憶では「100円につき1枚」程度だった思われる。↓の記事参照。 [※追記]Bingに ●日本国内のポイントプログラムの老舗であるブルーチップは1962年に始まったそうです。そのさい、買物いくらにつき1枚のスタンプが貰えていたのでしょうか? と質問したところ、以下の回答をいただいた。やはり1円につき1枚は多すぎる。NHK制作会社の確認不足だったようだ。 ブルーチップは日本で最初に始まったポイントプログラムですね。1962年に始まったときは、加盟店で買い物をすると、**50円ごとにスタンプ1枚**がもらえました。 これを250枚以上貯めると、商品と交換できました。紹介していただいた出典からも確認できた。 |
【連載】チコちゃんに叱られる!「コーヒーがこぼれないように運ぶ方法」「ポイントプログラム」 昨日に続いて、4月21日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
3.のマグカップのコーヒーの話題は、『イグノーベル賞流体力学賞』を受賞した『低インパルスレジームにおけるコーヒーこぼれ現象に関する研究』(ハーバード大学のハン・ジウォン先生【 Han, J. (2016). A Study on the Coffee Spilling Phenomena in the Low Impulse Regime. 無料で閲覧可能】が紹介された。 放送にオンライン出演されたハン先生によれば、人がコーヒーを運ぶ時に起きる波は2ヘルツ、マグカップからあふれる高い波は4ヘルツであることが発見された。要するに、コーヒーがこぼれるのは、運ぶ時の揺れ自体によるものではなく、揺れによって発生する波と波が共鳴して大きい波になるためである。波が共鳴しないように運ぶには、後ろ向きに歩くという方法が考えられるが、後ろ向きのために何かにぶつかってこぼれることまでは想定していない。このほかカップをわしづかみにする方法もある。なおこの原理は、ガソリンを運ぶタンクローリーや原油を運ぶタンカーなどにも応用可能であるという。 このことでふと思ったが、海岸に打ち寄せる波も時たま大波になることがある。共鳴原理をうまく使えば、人工的に大きな波を起こさせその力で発電れば、普通の波の力だけで発電するよりも効率を上げられるような気がするのだが、誰か研究してくれないだろうか。 次の4.の話題は、「買い物をするとポイントがつくようになったのはなぜ?」という疑問であった。この疑問は、「買物をする時にポイントをつけるのはなぜ?」という疑問とは異なっており、あくまで、ポイントがつけられるようになった由来を探ろうというものであった。 放送では「売れ残ったせっけんをさばくため」が正解であるとされた。小本恵照先生(駒澤大学)によれば、ポイントがつくようになったきっかけは1850年頃のアメリカ・ニューヨークにあった。当時、石けんは店頭で切り分けて売るのが一般的であったが、ベンジャミン・バミットという石けんメーカーの社長が1つ1つ紙で包み小分けにして販売を始めた。しかし新しい売り方は見向きもされず在庫の山になった。そこで石けんの包み紙についていたマークを25枚集めると絵画に交換するというサービスを開始したところ大ヒット商品になった。その後1890年代には、商品と交換するスタンプを企業向けに作る会社が誕生し、スーパーやガソリンスタンドなどで導入された。 日本に伝わったのは1960年代前半の高度経済成長期であり、ブルーチップなどのスタンプが人気になった。これはお会計1円につき1枚[※]のスタンプ(切手型のシール)がもらえるというもので、枚数に応じてカタログから景品を選ぶことができた。当時のカタログによれば、洗濯機はスタンプ1万5000枚、冷蔵庫は2万8000枚、テレビは2万9000枚で交換可能。中には、11万8000枚【スタンプ台紙236冊】でハワイ旅行、50万枚【トヨペットクラウンデラックスで1000冊、クラウンカスタムで790冊】で高級車がもらえるようになっていた。 その後、家電量販店のヨドバシカメラによってポイントカードが始められた。ヨドバシカメラのカードには「ポイントカードは、ヨドバシカメラが初めに考案したシステムです。」というメッセージが現在でもカードに記されているという。ポイントカードは顧客の消費動向が把握できるというメリットがあった。 放送ではさらに、ポイントを貯める「ポイ活」をしている主婦が紹介されていた。貯まっているポイントは10ポイント1円換算で1297万4111円分になるというからスゴい。買物のポイントだけでなく、家にある日用品を撮影して送ったり、歩いたり電車や車で移動したり、睡眠をするだけでもポイントが貯まるというからスゴい。 ここからは私の感想・考察になるが、まず、ポイントを使った販促の中で最も古いものが石けんメーカーであったという点は、その通りかと思う。但しこの程度の発明は、ベンジャミン・バミットでなくても独立して思いつく可能性があり、今あるポイントプログラムのすべてがバミットの石けんをルーツにしているとは言い切れないように思う。 ウィキペディアによれば、日本では1916年に北九州の久我呉服店が始めたという説があるが詳細はよくわかっていないという。放送ではブルーチップの映像が流されていたが、全国規模の共通スタンプサービスとしては、「1958年にグリーンスタンプ、1962年にブルーチップが登場」となっていて、グリーンスタンプのほうが古い。 上記のうちブルーチップスタンプは、結婚した頃に利用していたスーパーが扱っていたこともあって貯めていた時期があった。交換した記憶があるのはお風呂の水位アラームで、10年くらいは愛用していた。放送でも紹介されていたが、ブルーチップのカタログはそれ自体が夢を与えてくれるような内容であったが、高級車などの景品は、通常の食品や日用品を買い続けても決して貯まるような枚数ではなかった。なお、放送ではブルーチップは「お会計1円につき1枚」と紹介されていたが、いくらなんでもそんなに割りがいいはずがない。だいいち1000円の買物をして1000枚のスタンプを貰うようでは台紙がいくらあっても貼りきれなくなる。50万枚で高級車が貰えるというなら50万円の買物をすればよいことになるのでこれもおかしい。私の記憶では普通の買物で100円につき1枚程度ではなかったかと思うが定かでは無い。 さて、今回の放送ではもっぱらポイントプログラムの歴史に焦点があてられていたが、ポイントプログラムがなぜ販促に繋がるのかについては殆ど触れられていなかった【小本先生から「ポイントがたまる→来店の癖がつく→習慣づけになる」と指摘されただけ】。 ポイントプログラムの有効性は行動分析学によってより明解に説明できるかと思う。以下、概略を示すと、
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