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 今回の旅行は関空での集合時間が朝8時となっていたため、南海本線『二色浜』近くのホテルに前泊した。このホテルから徒歩10数分のところには『二色浜』海岸があり、海水浴や潮干狩りもできることを知った。大阪の海というと港湾施設や工場ばかりというイメージが強かったが、このような砂浜が保全されていると知り驚いた。


2023年5月29日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「お子様ランチの旗」「雑草の定義」「腹黒い」

 旅行中の5月20日(土)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。取り上げられた疑問は、以下の4つであった
  1. お子様ランチに旗が立っているのはなぜ?
  2. 雑草ってなに?
  3. 「腹黒い」というのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。

 まず1.のお子様ランチであるが、放送では「安藤さんが登山好きだったから」と説明された。東四柳祥子さん(梅花女子大)によれば、お子様ランチの内容には厳密な決まりはない、子どもに人気のおかずが組み合わさっていればお子様ランチであると言える。昭和以前のレストランには子ども向けのメニューは殆ど無かった。1930年のレストランメニューに入ると『御子様弁当』や『御子様ちらし』といった子ども向け料理が誕生。1930年、日本橋の三越デパートで『お子様洋食』というメニューが登場。このメニューで初めてご飯の上に三越の旗が立てられていた。またこの時と前後して上野の松坂屋で『お子様ランチ』というメニューが登場。こちらにもご飯の上に旗(日の丸)が立てられていた。そしていつからか、旗が立った子どもメニューが『お子様ランチ』として世間に定着していったと説明された。日本橋の三越のメニューで初めて旗を立てたのは食堂主任の安藤太郎さんという人で、登山好きであったと伝えられている。但し、当該の食堂には写真は残っておらず、コックをしていたかどうかも資料が無いという。担当者たちに代々語り継がれてきたのは、前年に起こった世界恐慌の中で子どもたちにはせめて食事だけは明るく夢のあるものを食べて楽しんで欲しいという思いが込められていたという内容であったという。

 ここからは私の感想・考察になるが、お子様ランチの歴史や現状についてはウィキペディアにも同様の説明があり、そこでは日本橋の『御子様洋食』が1930年12月1日、松坂屋の『お子様ランチ』が1931年3月に初登場となっていた。松坂屋では英国王太子来日の際の歓迎の旗を立てたことやグリコのおまけをヒントにメニューに改良を加えたことで好評を博し、この名称とスタイルが全国的に定着することになったという。こうしてみると、ご飯に旗を立てた時期は三越のほうが3カ月ほど早かったものの、『お子様ランチ』として定着したきっかけは松坂屋のほうがルーツであったように思われる。




 2.の『雑草』については、放送では「望まれないところに生えているすべての草」であると説明された。古本強さん(龍谷大学)によれば、雑草という名前の植物は存在しない。しかしアメリカ雑草学会では雑草は何なのかをしっかり定義している。それによれば、雑草は「経済的損失または生態系への損失を引き起こしたり、人間や動物に健康上の問題を引き起こしたりする、それが生えている場所で望まれていない植物」であるという。ウィキペディア(英語版)でも

A weed is a plant considered undesirable in a particular situation, growing where it is not wanted. Harlan, J. R., & deWet, J. M. (1965). Some thoughts about weeds. Economic botany, 19(1), 16-24.

という引用があった。

 古本さんによれば、
  • 畑の周りに生えてくる草は農家には望まれていないので雑草
  • 庭の手入れをしたのに次々と生えてくる草は庭の持ち主に望まれていないので雑草
  • 駐車場の脇にボウボウと生えてくる草は管理人に望まれていないので雑草
  • コンクリートの隙間から生えてくる大根は通行の邪魔になるし食べられることもないので雑草
  • 道端の菜の花も通行の邪魔になるので雑草。但し菜の花を摘んで食べる人にとっては雑草ではない
というように分類される。スベリヒユは世界で一番嫌われている雑草だが、ある地域ではよく食べられているという。放送では山形県米沢市のスベリヒユの煮物、京都市大原の雑草料理が紹介された。
 普通の植物は大気中の二酸化炭素が約0.03%しかないため光合成のスピードには限界がある。これに対して雑草には二酸化炭素を体内にためて光合成ができるようなターボエンジンのような仕組みがあり成長が早い。もともと雑草だったサトウキビやトウモロコシはターボエンジンを持っているという。『ターボエンジン』機能は「早く育つ」というメリットをもたらす一方、日射しの弱いところでは余計にエネルギーを使うため枯れやすい。

 なおウィキペディアでは上記の社会的定義とは別に生物学的定義も紹介されていた。
生物学的定義では雑草とは「土壌攪乱に対応した植物を指す」とされ、種子が不良な温度変化、湿度変化に耐え、休眠状態で死滅せずに土壌中に深くに保存され、その後に耕しなどの人為要因や、降雨降雪などの自然要因により土壌が攪乱され、種子が土壌表層に持ち上げられ自然に発芽し育った、その場に生える植物のことを指す。 生物学において人里や河川敷に自然に生える植物は雑草と定義される。

 また、ウィキペディアでは雑草の生活能力として、
  • 踏みつけに対する耐性
  • 強い繁殖力
  • 一世代の時間や成長に融通が利く
  • 休眠に適する構造
  • 作物への擬態
  • 刈り取り後の再生(タケニグサ等)
が挙げられていた。




 最後の3.の「腹黒い」については、「昔はおなかでものを考えていると思われていたから」と説明された。「腹黒い」の語源としては魚のサヨリの内蔵の周りが黒いからという俗説があるが、語源の順序が逆転している。もともと日本語には「腹を立てる」、「腹を据える」、「腹黒い」というように「腹」を使った表現があり、古くは『蜻蛉日記』や『竹取物語』にも感情を表す言葉として『腹』が使われていた。精神と体がつながっているという見方から、お腹の中でものを考えると捉えられていた。この『腹』に不安の色を表す『黒』が結びつけられて、『悪巧み』という意味で『腹黒い』が使われるようになったらしい。

 なお、お腹と脳の関係についてはヒューマニエンス『脳は腸から変化した』でも取り上げられており、「“腸” 脳さえも支配する」というのは昔の間違った考え方ではなく、最新の知見であると言えるようだ。