じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
クリックで全体表示。



 9月23日の日の入り。この日は秋分の日であり、正確には15時50分に太陽の黄経が180°になる。
 毎年使い古しのネタであるが、秋分の日のトリビアをいくつか。
  1. 秋分の日は昼のほうが長い。→岡山では、今年の場合、日の出が5時52分、日の入りが18時1分であり、昼間は12時間9分となる。昼夜がほぼ同じ時間になるのは9月27日で、この日は日の出が5時55分、日の入りが午後の5時55分となり、岡山周辺の地域では日の出と日の入りがすべて「5」となる。【2002年9月25日の日記参照。
  2. 秋分の日の日の出、日の入りの方位はそれぞれ真東、真西よりやや北にずれている。→岡山では9月23日の日の出の方位は89.2°、日の入りの方位は270.5°となっている。真東から日の出、真西に日の入りとなる日は秋分の日の1〜2日後であるが、方位がぴったり90.0°、270.0°になるわけではない。
こうしたズレは、日の出、日の入りの定義、及び、日の出や日の入りの瞬間が春分の瞬間と異なっていることによって生じると推測される。



2023年9月24日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「近視の原因」「秋の空が高く見える理由」

 昨日に続いて、9月22日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。今回は以下の3つの話題が取り上げられた。本日は残りの2.と3.について考察する。
  1. おじいちゃんといえば「〜じゃ」という話し方なのはなぜ?
  2. 近くでばっかりモノを見ると目が悪くなるのはなぜ?
  3. 秋の空が高いのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。

 まず3.の近くでばっかりモノを見ると目が悪くなる理由については、放送では「目ん玉が後ろにのびるから」が正解であると説明された。
 近視の研究で世界的に活躍する大野京子さん(東京医科歯科大学)は、まず目がモノを見る仕組みについて説明された。目はさまざまなモノの色や形を光の情報として取り入れている。光は水晶体のレンズを通して網膜に像を映す。これがくっきりと見えている状態。近くでモノを見ると焦点は後ろにズレるがそうすると水晶体が厚くなって像がはっきり見えるように調整される。
 このように遠くのモノと近くのモノを見るときの焦点のズレは水晶体の厚さによって調整されているが、近くばかりでモノを見つづけていると、眼球自体が変形し、網膜の位置を後ろに下げることで焦点を合わせるようになる。その変形が固定されてしまうと、遠くのモノを見たときの焦点は網膜より手前に結ばれてしまうため、水晶体のレンズの調整では対処できなくなる。これが近視となる。しかも一度のびた眼球は元には戻らない。時々遠くのモノを見ることは眼球ののびを抑えるには効果的だが元に戻す効果は期待できない。レッドライト治療法は眼球ののびを約90%抑える効果があり、約20%の子どもが眼球が短くなったと報告され注目されている。とはいえ、いちばんの対策は近視を進ませないようにすること。なお、部屋の暗さは目が悪くなることとは直接関係がない、但し、暗いところでは見えづらいので近くで見ようとして目が悪くなる(近視になる)可能性がある、と補足説明された。

 ここからは私の感想・考察になるが、私はこれまで、近視というのは、近くのモノばかり見ていると水晶体のレンズが厚くなった状態で固定されてしまい、遠くのモノを見てもそのレンズが薄くならなくなってしまうためだと思っていた。眼球自体が後ろに伸びるように変形してしまうためだということは、(たぶん)初めて知った。

 では私のような老眼はどうして起こるのか?ということだがウィキペディア【正式には『老視』】では、

加齢により水晶体の弾性が失われて調節力が弱まり、近くのものに焦点を合わせることが遅くなったり、できなくなってくる。

と説明されていた。近視と異なり、眼球自体が変形するわけではなさそうだ。私の場合、近くのものが見えにくくなったばかりでなく、遠くのモノもはっきり見えず、前回の自動車免許更新の時からはとうとう眼鏡着用が運転条件に明記されるようになってしまった。ま、致し方ないところか。




 最後の3.の秋の空が高く見える理由については、「雲が高いところにあるから」が正解であると説明された。
 気象予報士の饒村曜さんによれば、
  • 夏に見る代表的な入道雲やわた雲は地上からおよそ約2kmの間の高さにできるが、秋に見る代表的なうろこ雲やすじ雲は上空約5km〜13kmの間にできるため、秋のほうが高く感じる。
  • 日本にやってくる風は夏と秋では異なる。夏の風は太平洋高気圧から送り出されてくるため、あたたかい海の水蒸気をたっぷり含んでいる。いっぽう秋の風は、大陸からの移動性高気圧が陸地のゆっくりと移動してきて生じるため乾燥している。
  • 夏は水蒸気が集まった水の粒が多く浮遊しているため空が白っぽくなる。秋は水の粒よりも酸素や窒素が多い。これらは太陽光の青い波長を反射しやすくなる性質があり、空は青く見える。
  • 空気が上昇し、飽和水蒸気量に達すると雲になるが、秋のほうが空気が乾燥しているため、雲は高いところにしかできない。しかも水蒸気量が少ないため、うろこ雲のようなうっすらとしたような雲しかできない。
  • 冬はシベリア高気圧の風が吹くが、太平洋側ではフェーン現象により冬晴れになる。しかし雲ができないため、のっぺりしていて高さがよく分からない。
  • 春は、秋と同じ移動性高気圧がやってくるが、湿った太平洋高気圧の空気がすぐ近くまで来るので霞んでしまう。
  • 秋の空は単に高く見えるだけでない。夏から秋にかけては、夏の上昇気流に押し上げられて対流圏が約5kmほど高くなる。

 放送ではさらに、饒村さんオススメの『滝雲』、『彩雲』、『夜光雲』などが紹介された。また、秋の代表的な雲である『ひつじ雲』と『うろこ雲』の違いが説明された。ひつじ雲は空の低い位置にできるため塊が大きく見える。うろこ雲は高い位置にできるため塊が小さく見える。指を空にかざして、「人差し指の先より塊が大きければひつじ雲、小指の先に隠れくらい小さければうろこ雲」であるという。

 ここからは私の感想・考察になるが、空を高く感じるためには、まず立体的に見えることが必須となる。太平洋側の冬晴れの空が秋の空ほどには高く感じないのはそのためであろう。もっとも、我々の目は、水晶体のレンズの膨らみ、両眼視差という方法では雲の高さを直接感じることができない。いっぽう雲が動いている時には、運動視差と同じような働きで、相対的に動きの遅い雲のほうが高いところにあると感じる。但し、そういう立体的な雲の配置は秋よりも夏のほうが多いようにも思われる。
 けっきょくのところ、秋の空を高く感じるのは空の青さがいちばんの要因ではないかという気もする。