【連載】チコちゃんに叱られる! 「ギンナンのニオイとイチョウの歴史」
10月13日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
- なぜぎんなんはクサい?
- なぜ天ぷらに天つゆをつけるようになった?
- 風が吹くと「ビュービュー」というのはなぜ?
- 【視聴者からのお便り】「なんでうんがいい日とわるい日があるんですか」
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。
さてギンナンであるが、放送では「クサくても恐竜に食べてもらえばよかったから」が正解であると説明された。長田敏行さん(東京大学名誉教授)によれば、ギンナンの独特のニオイは皮に含まれる酪酸とエナント酸が原因である。ギンナンと呼ばれている果実は全体が種子であり、私たちが食べているのはその中の胚乳の部分。強烈なニオイを放っているのは『外層』と呼ばれる種の外側の部分である。エナント酸は腐った油のような腐敗臭、酪酸は腐ったバターのようなニオイであり、蒸れた足のようなニオイにも似ている。アナグマやタヌキの糞からギンナンが見つかった事例はあるが、ギンナンを好んで食べる動物は聞いたことがないという。
放送によれば、
- イチョウが誕生したのは今から2億5100万年前のことであるが、当時地球上に存在していたのはイチョウの他にはソテツ、針葉樹のウォレマイ・パインなどごく僅かであった。
- その後5000万年ほど経ったジュラ紀になると恐竜がギンナンを食べて種の運び屋になったことで、イチョウの仲間は10数種類以上に増え、世界中に拡散した。恐竜がギンナンを好んでいたのかどうかは分からないが、糞にギンナンが含まれていた証拠があることから、少なくとも恐竜に食べられていたことは確認できる。
- しかし約6600万年前に巨大隕石が衝突しさらに大規模な気象異変が起こったことで恐竜は絶滅、イチョウもたった1種類まで減り中国四川省で生き延びた。
- それを発見した人間は、ギンナンは「加熱して食べれば肺を温め気力体力を増しせきを止め頻尿を止める」(『本草綱目』)とされているように薬としての価値を認め、中国全土に広がった。
- 約1500年前には、中国から薬として持ち込まれ日本各地にも広がった。
- さらに1923年の関東大震災の際に、地震で起こった火災が広がるのを水分が多く火に強いイチョウが防いだことから街路樹として日本中に植えられるようになった。
このように、四川省の野生を除けば、世界各地のイチョウはすべて人の手によって植えられたものであるという。
ここからは私の感想・考察になるが、確かにギンナンを好んで食べる動物というのはあまり聞いたことがない。以前、岡大農学部のヤギ牧場で、イチョウの葉っぱを食べるヤギの証拠写真を撮ったことがあるが、さすがにギンナンの実までは食べていなかったようである。またヤギ牧場の近くではカラスがセンダンの実を食べていたのを目撃したことがあるが、やはり同じ場所に落ちていたギンナンまでは口にしていなかった。
私自身がギンナンを食べるのは、茶碗蒸しに入っている時だけである。念のためBingに、「茶碗蒸しの中にギンナンの実が入れられるようになったのはなぜですか?」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
茶碗蒸しに銀杏が入っているのは、中国で食べられていた薬膳料理から伝わったとされています。秋冬は乾燥した空気になるため、茶碗蒸しや炊き込みご飯に銀杏を入れて風邪予防に役立てる習慣があったそうです1. また、銀杏は咳や喘息を止め、肺を潤してくれる効果が期待できます2.
1: [茶碗蒸しになぜ銀杏があるのか徹底解説!実は驚愕の理由が!](https://yakunitatsuchishiki.com/post-3066/)
2: [銀杏は体に良い食べ物って本当!?銀杏の歴史も解説!](https://kisetsumimiyori.com/ginnan-reitou-kaitou/).
(1) 茶碗蒸しになぜ銀杏があるのか徹底解説!実は驚愕の理由が .... https://yakunitatsuchishiki.com/post-3066/.
(2) 茶碗蒸しの銀杏がいらない人は多い?入れる意味って何なの .... https://zyohoo.com/6326.html.
(3) お役立ち!季節の耳より情報局 - 銀杏は冷凍保存がおすすめ .... https://kisetsumimiyori.com/ginnan-reitou-kaitou/.
(4) 銀杏と茶碗蒸し - 手前板前. https://temaeitamae.jp/top/t7/014/03_2/05.html.
(5) 茶碗蒸しに銀杏(ぎんなん)が入っているのはなぜ?|samepan. https://note.com/samepan/n/n068ebe4fc4ce.
(6) Getty Images. https://www.gettyimages.com/detail/photo/savory-egg-custard-royalty-free-image/1137310654.
なお、ギンナンは小さい子どもに食べさせてはいけないと言われている。その理由についてもBingに確認してもらった。
銀杏は、子どもに食べさせると中毒症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です12. 特に、7個以上食べると中毒症状が起こる可能性があるため、3歳以下の子供には食べさせない方が無難です23. 銀杏には、ビタミンB6の働きを邪魔する成分が含まれており、過剰に食べると嘔吐や下痢、呼吸困難、けいれん、意識障害などの症状を引き起こすことがあります12. そのため、子どもには与えないようにしましょう。
1: [子どもは銀杏(ぎんなん)にご注意を | 母子栄養協会](https://boshieiyou.org/ginnan_for_child/)
2: [銀杏は子供が食べ過ぎると危険!?何個までなら大丈夫? | 銀杏大辞典](https://www.ginnan-guide.com/2020/03/25/post-243/)
3: [銀杏はいつから子供に与えても良い?食べ過ぎると危険な訳とは ...](https://kurasinobenrimemo.com/ginnankodomotabesugi-1137)
(1) 子どもは銀杏(ぎんなん)にご注意を | 母子栄養協会. https://boshieiyou.org/ginnan_for_child/.
(2) 銀杏は子供が食べ過ぎると危険!?何個までなら大丈夫? | 銀杏大辞典. https://www.ginnan-guide.com/2020/03/25/post-243/.
(3) 銀杏はいつから子供に与えても良い?食べ過ぎると危険な訳とは .... https://kurasinobenrimemo.com/ginnankodomotabesugi-1137.
(4) 子どもに「ぎんなん」を食べさせてもいいの? ぎんなんの .... https://hugkum.sho.jp/541164.
もとの話題に戻るが、ギンナンを好むほ乳類が居ないというのは何か有利に働いているのだろうか。動物に食べられてしまうと胚乳まで消化されてしまって発芽できなくなるというようにも考えられるが、ギンナンの殻はかなり固いのでその可能性は低い。別に考えられるのは、
●いまのイチョウは、人間の手で植えられたものなので、「変異→自然選択」という淘汰をくぐり抜けていない。この先何千万年も経てば、ほ乳類に好まれるような甘くて香りが良いギンナンが出現するかもしれないが、当面は無理。さらに生育地域が人間が管理する街路樹や公園などに限られている限りは、自然選択は起こりにくい。山岳地帯に「イチョウの森」が生まれれば別だが。
といったところか。
次回に続く。
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