【小さな話題】11月上旬に視たTV番組:睡眠不調の隠れ原因/病や怪我の性差
11月上旬に録画・再生で視聴した健康・医療系の番組のメモと感想。
- 【11月2日放送、NHK総合】あしたが変わるトリセツショー:『寝つきUP&熟睡★睡眠不調の隠れ原因解明SP』
睡眠関連の話題は、直近では、
- 10月25日【漫画家イエナガの複雑社会を超定義】『最高の睡眠』
l
- 10月29日【チコちゃんに叱られる!】や布団を体にかけて寝るのは「巣穴に入ると安心するから」という胡散臭い説明
でも取り上げたことがあった。10月25日の日記でも述べたように、。私自身は毎日20時半〜21時に就寝、朝5時〜5時半に起床、という規則正しい生活を送っており、寝付きもいいし、夜中に目が覚めて眠れなくなるということも無く、今のところ睡眠に関わる悩みは存在しない。しかし、加齢とともに睡眠障害に陥るリスクは高まっているので無関心というわけにもいかない。また最近は、夜中にどういう夢を見るのかというのも楽しみの1つとなっている。
放送によれば、最新の調査では70%以上の人が睡眠に不満を抱えているという。その『隠れ原因』として今回取り上げられたのが、
- 隠れ光不足
- 隠れ鼻づまり
の2点であった。
このうち1.は、起床後に十分な光を浴びることでスッキリ目覚めるばかりでなく、それによって体内の予約タイマーがリセットされ15時間後にメラトニンが増え、夜に質の良い睡眠を取ることができる、というものであった。グリーンイグアナのように光を感じるための器官「頭頂眼」を持つ動物もあるが、人の場合は、脳の中にある「松果体」と呼ばれる器官がその役目を果たしている。光が網膜に入ると信号が神経を通して松果体に伝わる。外出しなくてもベランダなど日ざしが入る場所でもOKで1か月ほど続けることで良い睡眠の週間が作られるという。
日光を浴びることはセロトニン分泌を促すと聞いたこともある。紫外線の影響を避ける必要はあると思われるが、適度な散歩は体に良いと思われる。私の場合、毎日1時間〜1時間半のウォーキングをしており、この点は問題なさそう。
次の2.の話は初耳であった。日中は鼻づまりにならない人でも就寝中に限って鼻づまりになる場合があるという。原因は、人が眠りにつくとき、全身の毛細血管が広がり体温を下げる仕組みが働く。これによって就寝時には鼻の粘膜がむくみ、人によっては睡眠に影響が出るケースがあるというものであった。これにもまたメラトニンの動きが関係しているらしい。
トリセツの特別付録の『隠れ鼻づまりチェックリスト』で該当項目が一定数以上ある場合は対策が必要であるという。推奨されていたのは、『鼻うがい』という方法であり、寝る前に行うと効果があるかもしれないという。
この「隠れ鼻づまり」は私も該当しそうな項目が2〜3ある。とはいえ、鼻うがいを励行するほどの支障は出ていないと思われる。放送では睡眠障害の患者さんに耳鼻科の医師が鼻づまりの薬を処方するシーンがあったが、これでは根本改善にはつながらず、一生薬に頼ってしまいそうな気がした。
- 【11月8日、NHK総合】クローズアップ現代 『“性の違い”がイノベーションに 病やけがのリスクを減らせ! 』
男女の問題というと、雇用や賃金、地位などにおいて男女差別を無くそうという対策がすぐに思い浮かぶが、だからといって男女の違いに配慮せず何でも同じにしてしまえば良いという議論にはならない。そうではなく、男女の違いを科学的に分析し、それらに配慮した対策をとることが真の平等をもたらすことになる。
放送でまず取り上げられたのは、女性に多いという「“隠れ”狭心症」であった。これまでの検査では、太い血管が詰まることによる狭心症は見つかりやすかったが、微小血管が狭まり血流が悪くなるという女性に多い狭心症は見つかりにくかった。これにより男性の狭心症では胸の痛み、女性の狭心症では首や肩、お腹などにも痛みが出やすくなる。
続いて以下のような話題が紹介された。
- プロサッカーの女性選手で起こりやすいという『前十字じん帯損傷』。が深刻な問題となっている。原因は女性の足に合っていないシューズにあると考えている。分析では女性は甲のカーブが男性よりも急で土踏まずの形も違う。しかし、スポーツシューズは男性の足形で女性用シューズが作られていることがある。シューズメーカーでは、女性専用のモデルを開発している。
- 男女で病気の起こり方や体格が異なる大きな要因は性ホルモンにある。男性に多いテストステロンは強い体を作り、女性に多いエストロゲンは体を守る働きが強い。これらが臓器や骨に影響を与える。
- 女性専用のメタボ予防薬としてオステオルカルシンが開発されている。発見のきっかけは、動物実験の方法を変えたことにあった。これまで治療薬の試験ではオスのネズミだけが使われてきたが、これはメスの被験体では性ホルモンの周期がバラツキをもたらしやすいからであった。動物実験で性差を比較したところ、オステオルカルシンはメスのみに肥満防止・糖尿病予防の効果があることが分かった。
- 欧米では臨床研究などに女性やメスの動物を加えることを義務化するという政策が進められている。
- 病気の起こり方にも男女の違いがある。
- 大腸がんの腫瘍ができる場所は、男性では肛門の近くだが、女性は大腸の奥の方にできる。またその腫瘍は女性は扁平で見つけにくいという。
- 骨粗しょう症は女性の病気と思われていたが、70代で骨粗しょう症になる人の3分の1は男性。
- 病気のなりやすさも男女で違いがある。
- 男性では、高血圧(1.4倍)、肥満(1.5倍)、糖尿病(2倍)、心筋梗塞(4倍)、痛風(65倍)
- 女性では、ぜんそく(1.8倍)、うつ病(2倍)、骨粗しょう症(3倍)、自己免疫疾患(9倍)
このような、男女の違いに注目した研究は『ジェンダード・イノベーション』という。
放送ではさらに、車の衝突リスクの違いが取り上げられた。衝突事故で女性はケガのリスクが高い。女性が重傷を負うリスクは男性の1.7倍、むちうちは3倍。原因の1つは、男性を基準としたダミー人形で安全検査が行われていたため、女性の体型や骨の弱さがキチンと反映されていなかったことにあるという。
このほか、女性に使いやすい農業機械の開発や、歩道の凹凸、電車やバスの吊り革を長さなどの改良についても取り上げられた。
ここからは私の感想・考察になるが、男女の違いは、性ホルモンばかりでなく、ジェンダーの影響も受けるとは思われる。例えば、飲み会などのお付き合いで男性のほうが回数が多ければ結果的にアルコール摂取量が過多となり、飲酒に起因した病気が起こりやすくなる。喫煙者の比率も同様。ま、それはそれとして、性差のみならず、個体差に配慮した治療、事故対策などはぜひとも必要と思われた。
|