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【連載】笑わない数学(7)超越数(1)作図問題、代数的数、リウヴィル数 11月8日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』: ●超越数 についてのメモと感想。 ちなみにこの『笑わない数学』は12月6日の『バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想(BSD予想)』をもってシーズン2は完結となった。引き続きシーズン3が制作されるかどうかは不明。 ということで私のほうも、できるだけ早く各回の感想・考察を記していきたいと思う。 さて超越数の話題だが、このWeb日記の過去日記を検索したところ、
さて、放送ではまず、アナクサゴラス(紀元前500頃-428頃)が取り組んだ、 ●(定規とコンパスだけを使って)半径1の円と同じ面積の正方形は描けるか? という問題が紹介された。これは、√πの長さの線分が作図できるのかという問題と同一である。放送では、定規とコンパスを使えば、どんな自然数や有理数の長さの線分も作図できるし、さらに√aも作図できることが説明された。またこのことからπが作図できれば、元の問題の√πも作図できることが分かる。 放送では続いて、πの征服者の異名を持つフェルディナント・フォン・リンデマン(1852-1939)が紹介された。リンデマンは作図できる長さにはそれぞれに対応する方程式(整数係数の一変数代数方程式)があることを明らかにした。方程式の解となる数は『代数的数』と呼ばれる。なお、代数的数には、負の数、2の3乗根、iなど、作図できない数も含まれているので、「代数的数であれば必ず作図できる」というわけではない。あくまで「作図できる数であれば必ず代数的数である(作図できる数⊂代数的数)」ということである。いずれにせよ「長さπの線分は作図できない」ことは「πが代数的数でない」ことが証明できれば完了する【←但し、πが代数的数であることが証明できたとしても、πが作図できるかどうかは分からない】。 放送では続いて超越数の研究の歴史が紹介された。超越数の候補としてはπとeがあり、eのほうが先に研究された。ジョゼフ・リウヴィル(1809-1882)はeが超越数であるかどうかに取り組んだものの証明はできなかった。そこで、彼は人工的に超越数を作ることを考えた。こうして作り出されたのが史上初の超越数『リウヴィル数』であった。 次回に続く。 |