じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 2月1日の日記で、
 2月1日朝の『モーサテ』と『日経モーニングプラス』それぞれの冒頭で、「(FOMCの声明文では)2%の物価目標達成に向け、より確かな自信を得るまで利下げは適切でない、という表現を追加しました」というニュースが伝えられたが、「confidence」を「自信を得るまで」と翻訳していたことには違和感を覚えずにはいられなかった。
と記したところであったが、4月11日の『モーサテ』でもまたまた「確信」ではなく「自信」という訳語が使われていた。業界用語と言われればそれまでだが、イマイチ納得できない。なおモーサテの報道はもともと、日経新聞記事を引用したものと思われ、日経新聞のほうでも同じ訳語が使われていた。DeepLによる翻訳はなかなか正確だった。



2024年4月11日(木)




【連載】隠居人が楽しめる素数の話題(7)メルセンヌ素数と完全数(2)メルセンヌ素数、完全数、乗法的完全数

 昨日に続いて素数の話題。

●かーるのゆっくり数学 近年解明された素数の法則 6選【総集編】

を中心にメモと感想を記す。昨日も記したように、総集編第四話では、以下のような構成で、素数そのものではなく完全数を中心とした話題が取り上げられていた。
  1. 10進数以外で素数を表した時に何か特徴はないか?
  2. メルセンヌ数の紹介
  3. メルセンヌ素数の紹介
  4. 完全数の紹介
  5. メルセンヌ素数と完全数。メルセンヌ素数から完全数を作る
  6. 「奇数の完全数は存在するか?」という未解決問題
  7. GIMPSプロジェクトの紹介
  8. 現代社会におけるメルセンヌ素数の役割(暗号技術、疑似乱数生成)
  9. メルセンヌ素数の拡張


 まず、1.については「素数を2進数で表すと現れる不思議な法則」が解説された。ここでいったん私の感想を述べさせていただくが、私は、特定の進数でのみ現れる法則というのはパズル的には面白いが数学の本質的な法則ではないため、これまであまり関心を向けてこなかった。
 もちろん、nが合成数である時、n進数で表された末尾(1の位)が0(ゼロ)で表される数は必ずnの倍数になる。ということはn進数で表された素数の末尾が決して0にならない、というような「法則性」はあると言えばある。同様に、
  • 2進数で表された素数は、末尾が必ず1になる。【但し素数の2を除く】
  • 6進数で表された素数は、末尾が必ず1か5になる。【但し素数の2と3を除く、「素数は必ず6の倍数の隣にある」ため】
  • 10進数で表された素数は、末尾が必ず、1、3、7、9のいずれかになる。【但し素数の2を除く】
というようなことは言える。
 このほか、

1089桁のヤバすぎる素数【ゆっくり解説】

では、
  • レピュニット素数 【2進数におけるn桁のレピュニットはメルセンヌ数になる。レピュニット素数は無限にあると予想されているがk証明されていない。
  • 回分素数。【フェルマー素数やメルセンヌ素数はすべて二進法における回文素数となる。】
  • エマープ。素数でありかつ10進数表記で逆から数字を読むと元の数とは異なる素数になる自然数。回分素数もその一種であり、逆さに読むと異なる素数になるエマープを含めて回分素数と呼ぶこともある。
などが紹介されているが、いずれも進数に依存した特徴であり、どこまで数学の本質を示すものかどうかはイマイチ分からないところがある。

 ということで、元の動画の話題に戻るが、動画では、メルセンヌ数とメルセンヌ素数が解説されていた。メルセンヌ数は、2n−1で表される数であり、2進数ではすべてが1だけで表される数になる。もっとも、メルセンヌ数の本質は2進数とは独立しており、別段、2進数で表すとすべてが1になるという特徴に依存しているわけではない。メルセンヌ数の中にはメルセンヌ素数がある。2進数では当然、メルセンヌ素数も1だけで表せる数となるが、これもまた定義の一部であって、何かの法則を示すものではないように思われる。
 続いて、動画では、完全数の解説が行われた。

完全数(かんぜんすう、英: perfect number)とは、自分自身が自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数のことである。

というのが完全数の定義である。私自身はかねてより、「自分自身を除く正の約数の和が自分自身に等しい」というのは単なる偶然であって、
  • 自分自身と自分自身を除く正の約数の和の差がaになる自然数
  • 自分自身を除く正の約数の和が自分自身の半分になる自然数
というような別の数と同等の意味しか持たないと思っていてあまり興味が湧かなかった。なお、改めてウィキペディアのリンク先を閲覧すると、
  • 倍積完全数 (multiperfect number):正の約数の和が自分自身の倍数である自然数を倍積完全数という。特に、それがk倍に等しいものをk倍完全数という。完全数とは2倍完全数のことである。
  • 不足数 (deficient number):自分自身以外の正の約数の和より大きい自然数
  • 過剰数 (abundant number):自分自身以外の正の約数の和より小さい自然数
というように、私のような素人が思いつくようなことはとっくの昔に分類・定義されていたことが分かった。このほかに、
  • 準完全数 (quasiperfect number):n が準完全数であるとは、正の約数の和が 2n + 1 に等しいことと定義される。過剰数の一種。そのような数はいまだに見つかっていないが、存在するならばそれは奇数の平方数で 1035 より大きく、少なくとも7つの約数を持つということが示されている。
  • 概完全数 (almost perfect number):n が概完全数であるとは、正の約数の和が 2n − 1 に等しいことと定義される。不足数の一種。2k (= 1, 2, 4, 8, 16, …) の形の自然数はこの条件を満たしているが、この形の自然数以外の概完全数が存在するのかどうかは知られていない。
  • 乗法的完全数 (multiplicative perfect number):正の約数の積が自分自身の自乗(2乗)に等しい数を乗法的完全数という。乗法的完全数の列は、1, 6, 8, 10, 14, 15, 21, 22, …
 あくまで私の直感だが、以上に引用した中では、最後の『乗法的完全数』がとてつもない法則性を秘めているように思えた。なお、上掲では「正の約数の積が自分自身の自乗(2乗)に等しい数」として定義されていたが、上掲の完全数の定義に合わせると、

●乗法的完全数とは、自分自身が自分自身を除く正の約数の積に等しくなる自然数のことである。

となり、このほうがスッキリするように思う。
 もっとも、こうして考えてみると、要するに、約数が4個に限られる合成数(1と自分自身を除く約数が2個だけの数)はすべて乗法的完全数になるので、それほど不思議な数でもないように思えてきた。但し根基に関する議論がこれに関係しているようにも思える。


 次回に続く。