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【連載】チコちゃんに叱られる! 「野球のユニフォームに横じまが無い理由」についての胡散臭い説明 昨日に続いて、4月12日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。 本日は、
さて、ユニフォームの縞模様の話題は、以前にもチコちゃんで取り上げられたことがあるような気がしたが、過去日記を調べたところ、 ●2023年6月24日:日本のラグビーのユニフォームにボーダー柄が多いのはなぜ? というように、ラグビーの縞柄であったことが分かった。でもって、その時に正解とされたのは「慶應義塾大学がタイガーカラーにしたら部員が増えたから」であった。 ラグビーが誕生した1800年代のユニフォームは、イングランドは白、ウェールズは赤、オーストラリアは金色、南アフリカは緑、ニュージーランドは黒というように単色であった。いっぽう日本では1899年に慶應義塾大学の英語講師E.B.クラークが生徒にラグビーを教えたことが始まり。しかし当時のユニフォームはは黒1色で学生に不人気だったと伝えられている。1903年に黒と黄色のボーダー柄に変更された。この虎柄のデザインはプリンストン大学のエンブレムが参考にされた。ボーダーに変更すると入部希望者が倍増したという。その後ラグビー部を作った大学がカレッジカラーのボーダー柄を採用し2色のボーダーが広まった。じっさい、早稲田大、明治大、法政大、同志社大などもカレッジカラーに対応したボーダー柄になっている。とのことであり、少々疑問点が残るものの、どうやらこれが通説になっているようだ。では、野球のユニフォームの場合はどうだろうか? 放送では、野球のユニフォームに横じまがないのは「囚人のイメージが強かったから」が正解であると説明された。服飾史研究家の辻元よしふみさん&ナレーションによれば、
ここからは私の感想・考察になるが、上に挙げられた6.までの説明はほぼ納得できるものであったが、7.と8.についてはかなり胡散臭いところがある。 もし、横じまが不吉ということが定着していたのであれば、服の模様ばかりでなく、国旗の模様でも横じまが避けられるはずだが、アメリカ合衆国の国旗をはじめ、ヨーロッパ諸国の中でも横縞のデザインになっている国旗はたくさんある(ギリシャ、オーストリア、オランダ、ルクセンブルク、ハンガリーなど)。野球にはあまり関係の無さそうなフランス国旗だけを取り上げて縦じまのイメージが急上昇したというのはこじつけであるように思われる。 次に、外国で横縞のユニフォームに悪いイメージがあったとしても、文化の異なる日本でそれに従うべき理由はどこにもない。じっさい、ラグビーのユニフォームの縞柄は日本で独自にデザインされ好感を得たということなので、なぜ日本国内の野球のユニフォームに横縞が避けられたのかということを、外国の囚人服や旧約聖書の記述だけで説明するのは無理があるように思う。 上掲の引用の中で説得力がありそうなのは、最後の9.である。実は私も、最初に浮かんだ答えは「横じまのユニフォームでは、ピッチャーの投球の高低のコントロールの手がかりになりやすいから」ということであった。実証されたわけではないが、そのようなデメリットが完全に否定されない限り、わざわざお金をかけて横じまユニフォームに変更する球団はまずあるまいと思う。 次回に続く。 |