じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 7月5日(金)に初回放送された『チコちゃんに叱られる!』をNHKプラスで再生しようとしたところ、2番目の「なぜ高校野球の応援曲は懐メロが多い?」が始まる直前、「このあとおよそ15分間、配信しません」というメッセージが流れ、オレンジ色の背景の「この映像は配信しておりません」という画面が15分間続いた。まるで専制国家の報道規制のような印象を受けた。
 原因として高校野球のシーンが含まれていることが考えられたのでさっそくBingに尋ねたところ、以下の回答をいただいた。
高校野球の中継がNHKプラスで配信されない理由は、権利関係によるものです。以下に詳しく説明します。

高校野球の中継は、主催元である朝日新聞社が放送権を保有しています。そのため、NHKプラスでの中継は朝日新聞社との権利交渉が必要です。ただし、NHKは割増料金を支払えば中継できた可能性もありますが、受信料の減少などの理由から予算的な制約があった可能性が考えられます1。

また、夏の高校野球は一部の試合がテレビ朝日で放送されており、NHKプラスではサブチャンネルで視聴できることもあります。サブチャンネルの視聴方法は、テレビのリモコンで操作することで可能です2。

もしご自身で高校野球を録画したい場合は、ソニーのブルーレイレコーダーなどを活用することで便利です13。

1231: [教えて!goo - 高校野球の中継は、なぜNHKプラスではやらないのですか?](https://oshiete.goo.ne.jp/qa/13567064.html)
2: [NHKプラス - サブチャンネルでスポーツ中継などを見る方法は?](https://www.nhk.jp/g/pr/blog/6nclwyc4n/)
3: [NHKプラス - よくある質問](https://plus.nhk.jp/info//faq/)

(1) 高校野球の中継は、なぜNHKプラスではやらないのですか .... https://oshiete.goo.ne.jp/qa/13567064.html.
(2) サブチャンネルでスポーツ中継などを見る方法は? - NHK. https://www.nhk.jp/g/pr/blog/6nclwyc4n/.
(3) よくある質問 - NHKプラス. https://plus.nhk.jp/info//faq/.
(4) undefined. https://www.sony.jp/bd/.
 最近は朝日新聞を含めて紙媒体の新聞の発行部数が大幅に減少しており、囲碁将棋のタイトル戦も、この高校野球も、新聞社による主催が困難になってきているように思う。いずれはそうした制約は無くなるかもしれないし、別のスポンサーによって放送権がつり上げられるかもしれない。

 それにしても、チコちゃんの番組で取り上げられたのは高校野球のプレーではなく応援風景の短時間のシーンばかりであった。それでもなお放送権が絡んでくるというのは厄介な話だ。



2024年7月7日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「高校野球の応援曲」と著作権料問題

 昨日に続いて、7月5日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. なぜ七夕の日に願い事をする?
  2. なぜ高校野球の応援曲は懐メロが多い?
  3. なぜガスコンロの炎は青い?
という3つの話題のうち、2.について考察する。

 さて高校野球の応援曲の疑問だが、放送では「先輩が活躍した曲で自分も活躍したいから」が正解であると説明された。
 高校時代に吹奏楽の全国大会で金賞を受賞し現在は甲子園での全試合を現地で取材している、高校野球ブラバン応援研究家の梅津有希子さん&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 最初に吹奏楽で応援を始めたのは1941年、愛知県の東邦高校ではないかと言われている。
  2. 当時じっさいに応援に参加したOBから、吹奏楽部が30人ほどで甲子園に行って校歌・応援歌を演奏したという証言が得られている。
  3. 1959年、天理高校の応援でファンファーレが演奏された。4年ぶりの甲子園出場を盛り上げるため指揮者の矢野清さんが制作(編曲)。
  4. 天理高校のファンファーレを参考に、早稲田大学(六大学野球)のコンバットマーチが作られた。1965年、早稲田大学の学生だった三木佑二カさんが作曲。これにより高校野球界にも応援歌ではなく応援曲ブームが訪れた。
  5. 1966年には慶應義塾大学の應援指導部の夏目清史さんが、ダッシュKEIOを作曲。
  6. 1973年、明治大学が『狙いうち』を採用。原曲の作詞がOBの阿久悠さんだったことから導入を決めた。
  7. 1970年代後半ごろ、立教大学がポパイの『ポパイ・ザ・セーラーマン』を採用。
  8. 六大学野球の影響で、高校野球でも昭和に作られた応援曲が演奏されるようになった。
  9. 今の高校野球で昔の懐メロの応援曲が多い理由について梅津さんが1000人以上のOBに調査したところ「先輩が活躍した曲で自分も打席に立って活躍したい」という理由が挙げられていた。
  10. 番組で高校野球OBに取材した時にも、先輩が活躍した時の応援曲で自分も活躍したかったという声があった。
  11. 野球は絶対無理と思われていた場面から大逆転するなどドラマが多いスポーツなので、縁起がいい、大切にしようと応援曲を神格化されていった可能性がある。
  12. 懐メロなどを伝統的に使うことで、全員で新しい応援曲を覚えるよりも全体的に完成度が高くなり効率的、という理由もある。
 放送では続いて梅津さんが集計した2023年夏(第105回大会)の応援懐メロトップ5が紹介された。
  • 1位(26校/49校):『サウスポー』。ピンク・レディー。1978年。『日本歌謡大賞・大賞』を受賞。歌詞の中に出てくる「背番号1のすごい奴」とは王貞治さんのこと。サウスポーの永射保投手が王選手を三振にしとめたイメージから作られたと言われている。
  • 2位(16校/49校):『ルパン三世のテーマ』。大野雄二、1977年。原曲の歌詞「男には自分の世界がある...」をそのまま歌う。
  • 3位(15校/49校):『紅』。X JAPAN。1989年。1992年のNHK紅白歌合戦でも演奏。メンバーに千葉県内の高校出身者が2人いるため千葉県から広がっていった。
  • 同率4位(8校/49校):『パラダイス銀河』。光GENJI。1988年。1989年に選抜高校野球大会の入場行進曲として採用され応援曲として定着。
  • 同率4位(8校/49校):『狙いうち』。山本リンダ 1973年。作詞がOBの阿久悠さんだったことから明治大学応援団が「チャンステーマ」として導入。


 ここからは私の感想・考察になるが、私自身は懐メロが使われるのは著作権料をとられないためかと思っていた。しかし、著作権は作詞家や作曲家など作品を作った人が亡くなってから70年が経過すると消滅、ということなので、現時点では1954年までに関係者が亡くなった曲でないとあてはまらないようである。では野球場での演奏は著作権にひっかかるのだろうか? さっそくBingに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。
高校野球の応援で使われる懐メロの応援曲を演奏する場合、著作権料を支払う必要はありません2。以下に詳しく説明します。

1. **音楽の著作権を取り仕切る団体 JASRAC**:
- 音楽の著作権は、一般社団法人日本著作権協会(JASRAC)が一括して管理しています。JASRACのページで検索すれば、使おうとしている曲についてお金を支払ったりする必要があるかどうかがわかります1.
- ただし、音楽の著作権には「引用」や「営利を目的としない上演」などの著作権制限があり、これに従えば違法ではありません。

2. **野球場での応援歌演奏**:
- 野球場で応援歌を演奏する場合、主催者が料金を受け取っていない場合には、著作権法38条の著作権制限が適用され、違法とはなりません。
- したがって、高校野球の応援団が演奏する場合は、特に対価を受け取っていないことから、著作権法38条の適用が考えられます。

3. **同一性保持権**:
- 有名な音楽を応援歌のために編曲する際は、著作者人格権(同一性保持権)にも注意が必要です。この権利は著作者自身だけが持つものであり、アレンジや編曲が原曲の持ち主の気持ちを傷つける場合は違法となります。

総括すると、野球場での応援歌演奏は通常違法ではないと考えられますが、アレンジや編曲の際には著作権法と著作者人格権に注意するべきです。
121: [応援歌を球場で演奏する場合、著作権、著作者人格権を侵害しないか? 【元応援団弁護士が解説】]
2: [甲子園のブラバンに著作権料は発生するか | 放映権事情を妄想 ...](https://www.sportmediarights.tokyo/posts/4715290)

(1) 甲子園のブラバンに著作権料は発生するか | 放映権事情を妄想 .... https://www.sportmediarights.tokyo/posts/4715290.
(2) 応援歌を球場で演奏する場合、著作権、著作者人格権を侵害し ....
(3) なぜ甲子園の応援歌は懐メロが多い?アルプス席の吹奏楽部を .... https://number.bunshun.jp/articles/-/823926.
(4) 高校野球の応援曲はなぜ懐メロ?チコちゃんが語るその背景. https://mondainashi.net/14976.html.


 なおこちらのサイトによると【要約・改変あり】、
  1. 高校が著作権料を支払う必要はありません。以下の条件を満たしていれば、許諾を得ずに著作物を利用できます。
    • 営利目的でないこと
    • 聴衆から料金を徴収しないこと
    • 演奏家に報酬を支払わないこと
  2. 観客は入場料を払っていますが、それは高野連に払っているのであって、出場校に回ってくるわけではありません。もっとも今後甲子園のスポーツビジネス化が進んで、出場校に分配金が支払われるようになれば解釈が変わるかもしれませんが。(個人的には分配金は出してほしい)
  3. ただし、この権利は演奏権に関するものであり、複製権には及ばないことには注意。例えば演奏風景を撮影してYouTubeにアップする行為は著作権法に抵触する可能性があります。
  4. もうひとつは放送局(NHKとABC)について。こちらも許諾は不要です。「たまたま他の著作物の中に入り込んでしまった」著作物には権利が適用されないのです。あくまでもこれは野球というコンテンツの中継であり、ブラバンの中継ではない、という理屈です。
という記述があり、高校野球の試合映像をチコちゃんで流す場合の権利関係のほか、今回の話題が試合中継でたまたま流れてきた応援曲ではなく、わざわざそれを切り取って放送していたことにより、音楽にかかわる著作権料の問題も全く無かったわけではないのかもしれない。

 甲子園の野球は最近では全く観ていないが、ぜひとも聴きたいのが『至学館高等学校校歌「夢追人」』。

 次回に続く。