じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大構内で2匹のカナヘビが絡まってじっとしているのを見つけた。
 こちらの情報によれば、

オスは、メスの後ろ足の付け根の臭いを舌で確かめ、メスが交尾できる状態あることを確信すると、メスに噛み付きます。 噛み付く場所は通常メスの後ろ足の付け根ですが、交尾が出来ると判断した瞬間、闇雲に噛み付くため、メスの頭部や腹部、尾などに噛み付く事もあります。

とのことで、交尾中であることは間違いない。噛みついている個体がオスであったようだ。なお30分ほど経って同じ場所に戻った時には2匹とも姿を消していた。

 カナヘビの交尾を目撃したのは人生70+α年にして初めて。稀有な場面に接することができて満足満足。


2024年7月14日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「心理的リアクタンス」

 7月12日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 「やるな」と言われるとやりたくなるのはなぜ?
  2. バレーボールは6人なのにビーチバレーはなぜ2人?
  3. 瓶ビールのコップが小さいのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 1.については、放送では「人間は自由な生き物だから」であると説明された。社会心理学を研究している今城周造さん&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 「やるな」と言われると逆にやりたくなるのは、自らは自由だという人間の心理が関係している。
  2. 子どもでも直感的に自らは自由であると考えている。夕飯前にお菓子を食べている子どもは、母親から「夕飯前にお菓子を食べるのは止めなさい」と言われると自由が侵害され、大きなフラストレーション(欲求不満)が生まれる。それを解消する一番の方法は、「禁止・制限を受け侵害された自由を、禁止を破ることで回復」させることである。
  3. 「ダメと言われ自由ではなくなる」→「フラストレーションがたまる」→「ダメなことを行い不満を解消」というのが、やりたくなる仕組み。
  4. 「人は本来自由であり、それを侵害されたとき、自由を回復するために抵抗する欲求」は『心理的リアクタンス』と呼ばれる。
  5. 「やれ!」と言われるとやりたくなくなるのも同じ気持ち。強制された行動を敢えて行わないことで奪われた自由を回復する。
  6. 『心理的リアクタンス』はマーケッティングの分野でも応用されている。
    • 「数量限定」の商品は、本来自由に買えるべき商品を買う人の自由を奪っており、逆に買いたくなるため売り上げアップにつながる。
    • 過度な押し売りや過剰な売り文句に接すると逆に買いたくなくなるようになる。これは購入を強制されたことによる心理的リアクタンスの効果。
 放送では続いて、スーパーの協力による実験場面が紹介された。販売対象は1個198円の青森県産の『ふじりんご』であった。
  • 1日目は、商品の周りに「絶対買うべき」「買わないなんてありえますか」「あなたは今からこのリンゴを買う! なぜならそう決まっているから!」といった購入を強制するようなポップをつける。
  • 2日目は、1日目と全く同じ商品の周りに「激安! 1人様2個まで!!」「在庫のこりわずか」「本当のりんご好き以外は買わないでください!」というように自由に買うことを制限するようなポップをつける。
という条件を設定したところ、1日目の売り上げは84個、2日目は56個で、いずれも、こうしたポップをつけない場合の平均100個を下回るという結果になった。このうち1日目の売り上げ減は購入を過度に勧めたことに対する心理的リアクタンスとして説明できるが、2日目の大幅減については予想とは正反対の結果になった。その理由について放送では、2日目の気温が1日目より6℃も低下して寒かったため、果物の売り上げが減少したのではないかと解釈していた。
 なお補足説明として、欧米と日本との文化差についても言及された。
  1. 心理的リアクタンスが発生するかどうかは育った環境も大きく影響する。
  2. 欧米諸国は自分の自由を主張する文化なので、やるなと言われても自分の自由を主張する。
  3. 日本は自由を主張するよりも周りとの協調性を重んじる傾向が強く、心理的リアクタンスを表に出さない人も多い。
 ここからは私の感想・考察になるが、心理的リアクタンスについては以前、「「穴があったらのぞきたくなるのはなぜ?(2022年4月25日)」でも言及したことがあった。学術用語ではないが、カリギュラ効果と呼ばれる場合もある。

 いずれにせよ、過剰な勧誘や禁止は正反対の行動を生み出しやすいということは経験的事実としては確かであるように思う。但しそれが、自由を侵害されたことへの反発として生じるのかどうかについては何とも言えない。そもそも「選択の自由」が保証されればハッピーになれるのかという問題がある。東洋人と西洋人の文化差についてもいろいろな議論がある。現役時代の考察としては、 などがあった。また、動機づけについては、ルール支配行動におけるプライアンスやオーギュメンタルの働きについても理解を深める必要がある。

 次回に続く。