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【連載】サイエンスzero「左?右?生命の不思議な“しかけ”」(2)三葉虫と鱗食魚 昨日に続いて、8月18日に初回放送された、NHK『サイエンスzero』、 ●左?右?生命の不思議な“しかけ” のメモと感想。 放送では続いてスタジオゲストの竹内勇一さん(北海道大学)による解説があった。前回の日記では、利き手の起源が、 ●言語の獲得説→道具説→両手協調操作説 というように、遡って議論されるようになったと記したが、竹内さんによれば、もっと前、今から6億年前に栄えた三葉虫の時代に遡って起源を求めることができるという。三葉虫の化石には右下が囓られたものが化石の約7割に右下部分の欠損があり、捕食者が右後ろから攻撃、もしくは三葉虫自身が襲われた時に左方向に逃げる癖を持っていたか、またはその両方であるか、そのいずれかの可能性が示唆された。 竹内さんによれば、生物の大前提は左右対称にある【要約・改変あり】。
この魚の口の向きは生まれた時から決まっており遺伝とされている。但し、最初のうちは、口の向きとは無関係に左右どちらからも攻撃を仕掛けようとする。そのうち、自分の口の向きに適した攻撃方向が定まるようになる。ということで遺伝するのは口の向きだけで、攻撃パターンは環境的要因【オペラント行動における強化】が働いていると考えられる。 ペリソーダス・ミクロレピスには世代を超えた生存戦略があることも知られている。左利きのミクロレピスが多数派の時、攻撃を受ける魚は次第に左側を警戒するようになる。そうすると少数派の右利きのミクロレピスのほうがエサをたくさん食べられるようになる。こうして左利き、右利きの比率は変動していく。 ここからは私の感想・考察になるが、三葉虫と鱗食魚の話題は、1月8日初回放送の『ヒューマニエンス』でも取り上げられており、ある程度知っていた。過去日記に考察があるので、ここでは繰り返さない。 【2024年1月8日放送】「“左と右” 生命を左右するミステリー」それはそれとして、人間の利き手の問題を、他の生物の左右の形態的特徴の違いや機能差とどこまで結びつけて議論できるのかは何とも言えないように思われる。左右の機能差という共通の話題として一括りにできたとしても、すべてが同じ起源を持っているとは限らない。利き手は手の問題、左右の視野は目の問題、左右の聞こえ方は耳の問題、利き足は足の問題として別々に起源を考えたほうがうまく説明できる可能性もありそう。 次回に続く。 |