じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 10月11日(金)の日没時、南西の空に金星が輝いていた。国立天文台のほしぞら情報によれば、10月12日頃からは、真西の方向に『紫金山・アトラス彗星』が見えてくるはず。岡山は移動性高気圧に覆われて空気が澄んでおり、12日もしくは13日が観望の好機になりそう。



2024年10月12日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる! 紅葉のしくみ/オススメの紅葉・黄葉の名所Top3

 10月11日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. なんで秋になると紅葉するの?
  2. なんで曲の一番盛り上がる所をサビっていうの?
  3. 【体にまつわる面白い現象】足を回すのと6を書くのは同時にできない。
  4. 胸がドキドキ 雷がゴロゴロ なんで繰り返すの?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 1.の紅葉の話題については以前にも取り上げられていた記憶がありひょっとしてこの日はその再放送ではないかと思ったが、過去日記を検索したところ、2020年11月6日の放送で、

なんで寒くなると葉っぱが落ちるの?

という疑問として取り上げられていたことが分かった。その時の正解は「木は、非情なリストラを繰り返すひどい会社みたいなものだから」と説明されていた。その時は、
落葉樹はわざと葉を落としている。夏の間は葉っぱの光合成で樹木は十分な栄養素を取り込んでいるが、秋になると日照時間が減り葉が光合成で作る栄養も減少していく。さらに、寒くなると樹木の中の導管が凍り水が流れにくくなる現象(エンボリズム)により樹木全体の生育が脅かされる恐れがある。そこで寒くなる前に葉っぱを落として「黒字リストラ」を断行していると説明された。なお、葉が落ちる前に変色するのは、葉っぱの栄養分が樹木によって回収された結果であるとのことであった。
という内容であったが、今回はもっぱら紅葉に焦点があてられていた。

 舘野正樹さん(東京理科大学)&ナレーション&学園ドラマ(『チコフィクション』)による解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 正解は「見守り続けた緑を赤が看取ったから」。
  2. そもそも紅葉する前の葉っぱは緑色。葉っぱが緑に見えているのはクロロフィルという物質が含まれているから。
  3. クロロフィルはサプリメントとして使用されることもあり葉緑素とも呼ばれる。
  4. クロロフィルが太陽の光を吸収するとその光エネルギーを利用して酸素と炭水化物を生成。炭水化物は幹に送られ樹木のエネルギー源となる。栄養分を葉から幹に蓄えることで植物は成長していく。
  5. 秋が近づくと葉の中にアントシアニンが生成される。アントシアニンは葉っぱが道を踏み外さないように陰ながら見守り続ける先生のようなもの。
  6. 葉の中にはカテキンという物質が含まれていて紫外線を吸収する働きがある。クロロフィルが紫外線まで吸収してしまうと遺伝子の切断や突然変異などの悪影響を受けてしまう。カテキンが紫外線だけを吸収しクロロフィルを守っている。カテキンは無色透明。クロロフィルは緑色なので葉っぱは緑色に見える。カテキンの寿命は半年。
  7. 秋になると日照時間が短くなり気温も下がってくる。すると無色透明だったカテキンはアントシアニンという赤色の物質に変わっていく。このアントシアニンが紅葉の原因。
  8. 秋になって気温が下がると光合成の効率が低くなる。クロロフィルが太陽のエネルギーを持て余し溜め込んでしまうと、そのエネルギーを使ってスーパーオキシドという有害な物質を作り出し、葉の細胞組織、そしてクロロフィル自体も破壊してしまう。じっさい、太陽の光エネルギーを処理しきれなくなった葉は白色に変色し枯れ落ちてしまう。
  9. スーパーオキシドを作り出さないためクロロフィルを守っているのがアントシアニン。アントシアニンは紫外線以外の太陽の光も吸収し、クロロフィルの余分なエネルギーの吸収を防ぐ。
  10. 秋が深まるとクロロフィルは分解され、その一部はアミノ酸になり幹が回収、アミノ酸を蓄えたまま冬をこす。春になるとアミノ酸からタンパク質を作りだし、そこからまたクロロフィルとなり、光合成を始める。
  11. 栄養分の回収が終わると葉は赤く色づいたまま落葉しその役目を終える。
  12. イチョウなどが黄葉するのはフラボノイドの影響だと言われているが、その働きはアントシアニンとほぼ同じ。
 ここからは私の感想・考察になるが、私が疑問に思っていたのは、植物の種類によって、紅葉ではなく紅葉したり茶色に変色(褐葉)したりといった違いがあるという点にあった。上掲ではイチョウの黄葉はフラボノイドによると説明されていたが、ウィキペディアでは、以下のようにより詳しく説明されていた。
  • 紅葉、黄葉、褐葉の違いは、植物によってそれぞれの色素を作り出す能力の違いと、気温、水湿、紫外線などの自然条件の作用による酵素作用発現の違いが、複雑にからみあって起こる現象とされる。
  • 紅葉の原理
    葉の赤色は色素「アントシアン」に由来する。アントシアンは春から夏にかけての葉には存在せず、老化の過程で新たに作られる。アントシアニンは光の害から植物の体を守る働きを持っているため、老化の過程にある葉でクロロフィルやカロテノイドを分解する際に、葉を守るために働くと考えられている。
  • 黄葉の原理
    葉の黄色は色素「カロテノイド」による。カロテノイド色素系のキサントフィル類は若葉の頃から葉に含まれるが、春から夏にかけては葉緑素の影響により視認はできない。秋に葉のクロロフィルが分解することにより、目につくようになる。カロテノイド色素も光による害から植物を守るために機能している。
  • 褐葉の原理
    黄葉と同じ原理であるが、タンニン性の物質(主にカテコール系タンニン、クロロゲン酸)や、それが複雑に酸化重合したフロバフェンと総称される褐色物質の蓄積が目立つためとされる。
    黄葉や褐葉の色素成分は、量の多少はあるがいずれも紅葉する葉にも含まれており、本来は紅葉するものが、アントシアンの生成が少なかったりすると褐葉になることがある。

 私が疑問に思っていたのは、同じ種類の樹木(例えばイロハモミジ、カイノキ)でありながら、紅葉する木と黄葉する木があるのはなぜかという点であった。アントシアニンやフラボノイド、カロテノイドなどの成分はそんなに簡単に入れ替わってしまうものなのか?分からないところがある。
 なお、イロハモミジについては、日当たりがよい場所では紅葉、日当たりが悪いと赤く染まらず黄色っぽいままで落葉する傾向があるように思う。

 カイノキが2種類の色になる理由についてChatGPTに「カイノキ(楷)に、赤く紅葉する木と黄色に黄葉する木の2種類があるのはなぜですか?どのような色素の違いが原因になっていますか?」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいたが、上記の私の疑問は解消していない。ま、同じ種類でも花の色がいろいろある植物とか、青リンゴと赤リンゴ、ブドウの皮の色(緑や紫)とかの例をみると、植物の色素は遺伝的に簡単に入れ替えできるものなのかもしれない【もちろん青いバラのように簡単には作れないものもあるが】。
カイノキ(楷)の紅葉が赤くなるものと黄色くなるものの違いは、主に色素の違いによるものです。
  1. **赤く紅葉する木**: この場合、主にアントシアニンという色素が関与しています。アントシアニンは紫外線や寒さに反応して生成され、葉が赤く色づく原因となります。この色素は、植物がストレスを受けたときや、特定の環境条件(例えば、日照量や温度)により多く生成されます。
  2. **黄色く黄葉する木**: 一方、黄色く色づくのはカロテノイドという色素によるものです。カロテノイドは通常、葉の緑色の色素であるクロロフィルが分解された後に残るもので、秋になると緑色が抜けてその色が表れます。カロテノイドは常に存在しているため、葉が黄葉する際には、主にクロロフィルの減少が影響します。
このように、カイノキの紅葉の色は色素の種類と環境要因によって決まるため、同じ種でも異なる色の紅葉が見られることがあります。


 最後に、私のオススメの紅葉・黄葉の名所Top3は以下の通り。
  1. アビスコ国立公園とロフォーテン諸島
  2. 秋のアラスカハイキング
  3. ニュージーランドで黄葉と雪景色を楽しむ


 次回に続く。