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10月11日初回放送の『チコちゃんに叱られる!』で、言語学を研究している秋田喜美さん(名古屋大学)の紹介画面があった。何かの講演風景かと思われたが、『言語音の非恣意性』という演題が見えていた。「非恣意性」や「恣意性」という概念は『関係フレーム理論』ではよく耳にする基本概念であり、大いに興味を惹かれるところだ。 単純に考えると、擬音語の多くは非恣意的である。日本語では犬の鳴き声は「ワンワン」、猫の鳴き声は「ニャンニャン」が一般的。これらの擬音語は言語により様々な違いがあるが、犬が「ニャンニャン」、猫が「ワンワン」と表現される言語はあり得ない。もっとも、『犬は「びよ」と鳴いていた: 日本語は擬音語・擬態語が面白い』 (光文社新書 56)というように、非恣意的であるとは言ってもかなりのバリエーションがあるようだ。 いっぽう、「山」や「川」が象形文字由来であることから分かるように、少なくとも漢字の一部は非恣意的となっている。 このほか、『ブーバ/キキ効果』で知られるように、擬態語の音声には一定の非恣意的関係があるようだ。 ネットで検索したところ、言語音の非恣意性、あるいはもっと一般的な言語の非恣意性については、各種の論文が刊行されていることが分かった。 |
【連載】チコちゃんに叱られる! オノマトペについての雑学(3)本当に4モーラは心地よいのか?/擬音語は片仮名、擬態語は平仮名/宮沢賢治のオノマトペ 昨日に続いて、10月11日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。引き続き、 ●胸がドキドキ 雷がゴロゴロ なんで繰り返すの? という話題の発展として、日本語のオノマトペについて考察する。 まず、放送で
と紹介されていたことについて、もう少しだけ考えを述べる。 まず、日本語に4モーラが多いということをどうやって証拠づけるのかについて。放送ではどうやら『日本語アクセント辞典』(昭和26年版)に収納されたおよそ4万7000語をもとにモーラの分布を調べた結果がグラフで示されていたが、じっさいには、4万7000語の中に現代人が殆ど使われていない言葉もたくさん含まれているように思われる。日本語を話す人にとって4モーラのリズムは本当に心地良いのかどうかは、辞書の見出し語ではなく、日常会話や文章の中でじっさいに使われている言葉から集計すべきであろう。例えばこのWeb日記に記されている1997年5月以来のすべての文章を対象に解析をすれば、私自身が4モーラの言葉をどの程度使っているのかが分かる。 もっとも、日本語の文法的な特性として、例えば1〜2モーラの助詞無しには文を作れないし、文末に「である」、「だ」、「いる」、「する」などが相当数あることも確かだ。しかし、助詞が多いのは別段、日本人が助詞を心地よいと感じているわけではない。文法上、助詞を使わなければ文を作れないので、嫌々使っているのかもしれない。いずれにせよ、「日本語を話す人にとって4モーラのリズムは心地良い」という根拠を見つけるのはそう簡単ではないように思う。 次に、「擬音語はカタカナ、擬態語はひらがな」という議論について。こちらによれば、以前、旧ツイッターで盛り上がったことがあるらしい。リンク先によれば、小2のテストに、ひらがなで書くかカタカナで書くかを選ばせる問題として、 というのがあったらしい【出典は不明】。 これに関係した指針自体は、『記者ハンドブック』第12版118ページ(一般社団法人共同通信社)に明記されており、 ●擬音語・擬声語はなるべく片仮名で書くが、平仮名で書いてもよい。擬態語は平仮名で書く。ただしニュアンスを出したい場合は片仮名書きしてよいが、乱用しない。 となっているらしい。【なので、厳密に「擬音語はカタカナ、擬態語はひらがな」と限定したわけではない。】 なお、リンク先にも言及されていたが、擬音語・擬態語表現の天才と言えば、私は宮沢賢治ではないかと思っている。ネットで検索したところ、 などがヒットした。なお3.のリストによると、宮沢賢治のオノマトペでは4モーラはそれほど多くないように思われる。 |