じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 10月24日の朝焼け。備前富士(芥子山)の真上の部分だけが黒くなっている。背後の太陽によって備前富士の影が朝焼けに映ったかのように見えるが、このような標高の低い山の影が上空の雲に映ることは幾何学的にあり得ないように思う。単なる偶然の現象か?


2024年10月24日(木)




血液型と出身県で病気リスクや体質が分かるか?(7)「O型者は新型コロナに感染しにくく重症化しにくい」と言われるが

 昨日に続いて、「カズレーザーと学ぶ。」で9月10日に初回放送された、

●血液型と出身県でわかる!最新タイプ別の病気リスク&太りやすい体質の県

についてのメモと考察。

 放送では続いて、なぜ多様な血液型が生まれたのか、またなぜ国や地域によって血液型の比率に違いがあるのか、について解説された。概要は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 【放送の初めのあたりでの解説】ヒトの血液型はもともとA型だけであったが、約350万年前にB型が分岐。また約250万年前にはA型からO型が分岐した。ベーリング海からアメリカ大陸に渡った人たちはもともとO型ばかりであった。
  2. アフリカでは、O型が47.2%、A型が29.6%、B型が19.2%、AB型が4.2%となっていてO型が一番多い。マラリアがA型に感染しやすいため、マラリアに強いO型がアフリカに多い。
  3. ヨーロッパでは、O型が41.7%、A型が41.0%、B型12.4%、AB型5.0%となっていて、上記のアフリカに比べるとA型が多い。コレラがO型に感染しやすいため、19世紀にコレラがヨーロッパで流行したことでA型が多くなった。
  4. 血液型の分布は、病原体と人間のせめぎ合い。感染を防ぐ生体防御機能が進化した結果であり、種の絶滅を回避するためのリスクヘッジになっている。
  5. 新型コロナウイルスの感染比率は、O型以外を1とするとO型者の比率は0.4未満であった。ウイルスは感染した人の血液型に変身するため、同じ血液型の人にうつりやすい。O型者はA型抗体とB型抗体の両方を持っているのでうつりにくい【放送では「O抗体」となっていた】。
  6. 新型コロナ以外の風邪やインフルエンザなど細胞膜を持つウイルスについては同様にO型者がうつりにくい。


 ここからは私の感想・考察になるが、まず、血液型の比率がマラリアやコレラによって変わるという点であるが、これは相当程度に致死性の高い疫病でないと起こりえないように思う。また前回までに取り上げた、血栓症、糖尿病、認知症などの罹りやすさは、たとえ顕著な影響があったとしても、分布を変える原因にはなりにくいように思う。なぜならこれらの疾病は、生殖年齢を過ぎた高齢者になって発症することが多いからだ。ある血液型者が60歳前後で死亡、別の血液型者が80歳前後で死亡したとしても、その年齢で子孫を作ることが無ければ次の世代の血液型分布には影響を与えないはずだ。
 次にアフリカでO型者が多いのはマラリアに強いからという説明はアメリカ大陸にわたった人たちにO型者が多いという説明には使えないように思う。当時のアメリカ大陸がもっと温暖でマラリアが蔓延していたというなら話は別だが...。この点についてCopilotに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
O型の血液型がアメリカ大陸の先住民に多い理由については、いくつかの仮説があります。一つの理論は、O型の血液型が熱帯地域での生存に適しているというものです。O型血液はマラリアなどの寄生虫感染症に対する抵抗力が高いとされています。これは、アメリカ大陸の一部が熱帯または亜熱帯地域であったことから、O型の血液型が選択的に優位になった可能性があります。
また、遺伝的な要因も考えられます。O型の血液型は他の血液型に比べて遺伝的に多様であり、異なる地域での混血が進んだ結果、O型の血液型が広まったとも言われています。
ただし、これらはあくまで仮説であり、確定的な証拠はまだありません。血液型の分布には多くの要因が絡んでおり、一つの理由だけで説明するのは難しいです。


 次に「O型者は新型コロナウイルスに感染しにくい」という研究だが、画面に表示されていた論文タイトルをもとに検索したところ、

●Reduced prevalence of SARS-CoV-2 infection in ABO blood group O.

という2020年発表の論文が見つかったが、タイトルの一部が異なっており別の論文の可能性もある。
 なお、

●新型コロナ感染率「血液型で異なる」科学的根拠 なぜ「O型は重症化しづらい」と言われるのか

という話題については、2021年9月17日以降の日記の日記【続編あり】で取り上げたことがあった。もっとも、その翌日にも述べたように、
実際のデータは、「O型は新型コロナに感染せず、A型やAB型は感染する」と言えるほど顕著な差は示していない。また、以前にも述べたが、こちらの資料と上記の「免疫力」の差を対応させると、
  • O型の多いネイティブアメリカン、ヨーロッパ系アメリカンなどはコロナに感染しにくい。
  • B型の多いインド人もその次に感染しにくい。
  • A型の多いアフリカ系アメリカ人、フランス人、ドイツ人、日本人、ロシア人などは相対的に感染しやすい。
と予想されるが、これまでの世界の感染状況をみると、必ずしもそういう傾向は見られず、東アジア人が感染・重症化しにくいという「ファクターX」をも説明できていないように思われる。
というように、血液型と新型コロナ感染率については感染防止に役立つような知見は現在でも得られていないように思う。なお、O型者が圧倒的に多いと言われているベネズエラとコロンビアの新型コロナ感染率は、
  • ベネズエラ:パンデミック(世界的大流行)開始以降、同国では感染者528,566人、死者5,741人が報告されている。【最終更新日 July 15, 2022】
  • コロンビア:パンデミック(世界的大流行)開始以降、同国では感染者6,198,848人、死者140,202人が報告されている。【最終更新日 July 15, 2022】
となっていた、こちらのマップ等を見ても、両国の感染率が低いとは言えないようだ。もっとも、感染者数の集計は、それぞれの国の医療体制の違いにより不正確になることもある【じっさいの数値がこれより低くなる可能性は少ないが】。


 次回に続く。