じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



11月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

クリックで全体表示。


 車を運転中、道路の右端から中央部に突きだしている信号機が左から青・黄・赤の順番に並んでいるのが見えた。こちらの解説にあるように、車が左側通行となっている日本では、
これは信号機で重要な色の赤を道路の端から中央寄りに置くことで、ドライバーに見やすくするのが主な目的です。一般的にはドライバーが右側に座っているので、赤信号も右側にあったほうがより注意を促しやすくなります。もし街路樹の枝が伸びて信号機にかかり灯火が見づらくなっても、赤信号の右側は影響されにくい場所でもあります。
という理由で赤信号は右側に配置されている。
 しかし、写真のように信号機が道路の右側から中央部に突き出して設置されている場合は赤信号はかえって見えにくくなってしまう。といって、左右を逆にするといろいろな混乱が起こりそうだ。

 なお、私が知っている限りでは、外国の交通信号は殆どの国がタテ型を採用しており一番上が赤になっている。ヨコ型を見かけるのは中国の一部の地域だけであり、左から赤・黄・青の配列になっている。

]翌日、市内を運転中に気づいたことだが、国道の信号機は道路の左端に設置されている場合が多いのに対して、片側2車線の県道は右端にも設置されている箇所が多いという印象を受けた。もっとも国道と県道の違いは、単に交差点の数(県道のほうが多い?)ことによるのかもしれない。



2024年11月6日(水)





【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(2)検診を受けない理由

 昨日に続いて、10月17日(木)に初回放送された、

がん対策

についてのメモと感想。今回から放送内容に入る。

 放送はまず、村重さんと森田さんが対談中、突然、警報(←火災警報?)が鳴り出すという場面から始まった。警報が止まないにもかかわらず、2人とも席を立って逃げだそうとはしなかった。これと同じ心理ががんについても働いているという。つまり、人間は、危険が迫っていても「自分だけは大丈夫」と楽観的に考えてしまう心理がある。
 がんは日本人の死因の第1位となっており。いまや2人に1人がかかる病気になっている。但し早期に発見すれば90%以上は治る【5年相対生存率】。しかし、検診を受ける人は殆どの自治体では半分以下であるという。

 国が推奨する検診は以下の5つだが、対象者や受診間隔は自治体によって異なる場合がある。
  1. 肺がん:40歳以上。1年に1回、エックス線検査。
  2. 胃がん:50歳以上。2年に1回。エックス線検査または内視鏡。
  3. 大腸がん:40歳以上。1年に1回、便潜血検査。
  4. 乳がん:40歳以上。2年に1回、マンモグラフィー検査。
  5. 子宮けいがん。20歳以上。2年に1回、細胞診検査。
 ここでいったん放送内容から外れるが、こちらの解説動画によれば、
  1. 肺がんのエックス線検査:海外では推奨されていない。日本ではかつて結核の罹患が多かったので企業検診としてレントゲン検査が行われておりその名残。アメリカやヨーロッパの諸外国では、肺がんのスクリーニングとしてレントゲンを行うことは推奨されていない。低線量CTのほうがオススメ。
  2. 胃がん:2022年に日本消化器がん検診学会が発表したデータによれば、胃がんの発見率は、胃カメラで検査した人のほうがバリウムで検査した人に比べて2.5倍も高かった。しかも、バリウムで異状が見つかった時は胃カメラで再検査するので二度手間になる。
  3. 対策型がん検診がオススメ。
とされている。
 このほか、大腸がんの検査は上掲では便潜血検査が推奨されているが、潜血検査で陽性と判定された時にはすでにがんが進行している場合があり、小さなポリーブを見つけるためにも内視鏡検査のほうが望ましいように思われる。あと、腫瘍マーカーの検査というのもあり、私も現役時代には5000円ほど払って受けていたが、のちに、この検査の数値が正常範囲であったとしても必ずしも安心はできないと聞いている。




 放送内容に戻るが、初期の段階(ステージ1)で見つければ90%が治るとされているのに、なぜ検診を受けようとしないのか? 『令和5年がん政策に関する世論調査』(内閣府)によれば、その理由としては、
  1. 心配なときはいつでも医療期間を受診できるから 23.9%
  2. お金がかかる 23.2%
  3. 受ける時間がない 21.2%
  4. 健康状態に自信がある 16.6%
  5. がんがみつかると怖い 16.2%
などが挙げられていた。

 ここでいったん私の感想・考察を述べさせていただく。

 まず、いま挙げられた理由について、トリセツでは、

「自分は大丈夫」。人間には危険が迫っていても楽観的に考えてしまう不思議な性質があります。こうした人間心理ががんの早期発見を阻んでいるのです。

と説明されていたが、挙げられた理由は必ずしも「自分は大丈夫」という心理とは一致していないようにも見受けられた。

 ちなみに上掲の「検診を受けない理由」5点であるが、私の知っている範囲でコメントさせていただくと、
  1. 心配なときはいつでも医療期間を受診できるから
    →これでは早期発見にはつながらない。早期発見のメリットと、発見が遅れた場合の深刻なデメリットについてしっかり知っておく必要がある。
  2. お金がかかる 23.2%

    →これは検査によって異なる。検査結果によってはかなりのお金がかかるが致し方ない。
    • 単なる健康診断であれば保険適用外となるが、胃腸に何かしら不調があれば保険適用となる場合もある。
    • 胃カメラは岡山では2年に一度、特定健診の一環として受けることができるが、鎮静剤を使用すると通常の保険診療と同額程度になる。
    • 大腸カメラは何も異状がなければ1万円程度だったと記憶しているが、ポリーブが見つかった時には切除することに同意した場合、出血の程度などにより4日以内の入院になる場合がある。その際には処置代を含めてさらに4万円ほどが追加でかかると聞いている。
  3. 受ける時間がない 21.2%
    →上記のポリーブ切除を除けば、たいがいの検査は数時間以内で終わる。
  4. 健康状態に自信がある 16.6%
    →がんは運次第なので、健康状態にあるからといって罹りにくいわけではない。もちろん健康状態が良好であればそれに越したことはないし、体力がないと手術や薬物療法を受けられない場合もある。
  5. がんがみつかると怖い 16.2%
    →早期発見のメリットを知っていれば、「みつかると怖い」ではなく「早期にみつけないと怖い」というように考えが変わるはずだ。

 調査として挙げられていた「検査を受けない理由」はあくまで対象者自身が考えていた言語的報告であって、本当の原因は別にあるかもしれない。つまり、当人が気づいていない原因が別にあるかもしれない。例えば、
  1. 胃カメラや大腸カメラはかなりの苦痛を伴う検査なので嫌だ。
  2. 検査を先延ばしにしても突然手遅れになるわけではない。(行動分析学でいう「先延ばし」現象)。
  3. 検査を受ける行動に好子が随伴されておらず、適切に強化されていない。検査結果は「異状あり」か「異状なし」のいずれかとなるが、「異状なし」というのはこの先現状が続くというだけの無変化であり好子にはなりにくい。いっぽう「異状あり」はどう見ても嫌子。しかし考え方によっては、
    • 異状あり→初期の段階で異状が見つかったおかげで大事に至らずよかったよかった。
    • 異常なし→これまでの健康的な生活を継続することで、引き続きいろいろな楽しみに接することができてよかったよかった。
というように捉え直すこともできる。

 いずれにせよ、本人が挙げた理由だけが検査を受けない原因になっているとは限らない。この部分をしっかり見極めないと検診率の向上には結びつかないと思われるが、今回の番組企画は果たして成功するだろうか?

 次回に続く。