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8月中旬に開花したコチョウランを室内に置きっぱなしにしているが、3か月経ってもまだ1輪だけ残っている。1輪の寿命の長さには驚かされる。 |
【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(9)ナッジの応用(3)「あの手この手」の検証? 昨日に続いて、10月17日(木)に初回放送された、 ●がん対策 についてのメモと感想。本日から放送内容に戻る。 放送ではナッジの事例として「ピアノの鍵盤のようにデザインされた音の出る階段」と「便器にハエの絵を描いた男性用トイレ」に続いて、溝田友里さん他の論文が紹介された【無料で閲覧可能】 ●Mizota & Yamamoto (2021).Rainbow of KIBOU project: Effectiveness of invitation materials for improving cancer screening rate using social marketing and behavioral economics approaches. Social Science & Medicine, 279, 113961. 放送では、さらに、がん検診の案内状の工夫が紹介された。
4市の住民を対象にこうしたキャッチコピーを使った葉書を送付したことで、4市の受診率は、送付前が数%〜10%未満だったものが約5%〜45%に、増加率は3.4倍から5.5倍前後に上昇したという。 さらに今回は新たな「秘策」として
ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、まず溝田友里さんの行動力は畏れ入った。そのことに敬意を表した上での印象であるが、これまで拝聴した限りでは、ナッジの活用は「あの手この手」に及んでおり、その中の何が成果につながったのか、何はあまり役に立たなかったのかが分かりにくくなっているように思われた。ま、自治体の政策手法というのはそういった複合的なものであり、予算の範囲で、良かれと思われることはあれもこれもやってみよう、ということにならざるを得ない面はあるが、これでは研究にはならない。成功率がある程度高まった段階では必ず伸び悩みが起こると予想されるが、その際、何が伸び悩みの原因なのか、どうすれば伸び悩みを克服できるのか、を知るためには、実験計画のデザイン、もしくは、PDCAサイクルのような実践モデルを導入する必要がある。 次に、案内状のキャッチコピーの工夫だが、これはあくまで案内状に目を通した人だけに有効な対策に過ぎない。いろいろな郵便物や宣伝メールは私のところにもが送られてくるが、私の場合、明らかに宣伝目的と推測できるようなものは開封せずに廃棄している。なのでいくらキャッチコピーが工夫されていても目にする機会は無いかもしれない。このこともあり、案内状送付とは別に、いろいろな情報発信手段を拡張する必要がある。私が比較的目にするのは病院や薬局の待合室内でのポスターや、液晶画面に表示される各種案内など。待ち合い時間は退屈なので目に入りやすくなっている。 放送の中で、「今すぐお電話を! オペレーターを増員してお待ちしております」という通販CMに言及されていた。溝田さんは「私 もともと夜中にやってる通販番組が好きで衝動買いをすごいしちゃうほうだった。これってどういう心理なんだろうって自分で考えていて、それががん検診にも応用できるのでは、と思いついた」と語っておられたが、私などは全く逆で、通販のCMは視れば視るほど腹が立ってきて、映像に向かって「このインチキ野郎! さっさと引っ込め! つぶれてしまえ!」と怒鳴りだし、妻から静かにしてちょうだいと文句を言われることさえある。これは私自身がそもそも通販、特に健康食品の宣伝はこれっぽっちも信用していないことにある。また早朝5時台に「オペレーターを増員してお待ちしています」などと言うのは明らかに嘘っぱち、そんな時間帯に増員できるはずがないと、ますます腹を立ててしまう。だからどうせよ、という話でもないが、世の中には私のようなCM嫌いもいることは知って欲しいとは思う。 次回に続く。 |