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11月14日の早朝はよく晴れて、西の空での月の入り(月齢12.4)、その後東の空から昇る太陽を眺めることができた。月の入りはたまたま目が覚めた時に気づいたが、デジカメで撮影しようとバルコニーに出た時には殆ど沈んでしまった。 |
【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(10)ナッジの応用(4)厚労省公開資料からナッジを学ぶ(1)受診率向上を示すデータと統計的検定 昨日に続いて、10月17日(木)に初回放送された、 ●がん対策 についてのメモと感想。と言っても、放送内容については昨日までのところですべてコメントさせていただいているので、今回は放送内容から離れて、ネット上で公開されている、 ●溝田友里(2021).ナッジ理論等の行動科学を活用した健康づくりの手法についてー具体的事例を交えてー というパワーポイント・スライドをもとに、ナッジとは何か?を読み取っていきたいと思う。なお当該のスライドでは、溝田さんの所属は「厚生労働省健康局健康課課長補佐」となっていた。今回の放送で全国各地の自治体に交渉するシーンなどがあったことから、ずいぶんと実行力のある方だという印象を受けたが、行政の経験をお持ちであればなるほどと頷けた。 さて、当該のスライドはURLからみて厚労省の資料として公開されているもので、2021年9月10日に行われた『第154回 市町村職員を対象とするセミナー』で使用されたものであるようだ。当時のご所属が厚労省ということもあり、スライドには「本スライドや講義の内容はすべて執筆者個人の見解であり、所属機関の公式的な見解を示すものではありません。」あるいは「The views and opinions expressed here by the author are author’s own, not those of Ministry of Health, Labour and Welfare JAPAN.」という断り書きが挿入されていた。大学の研究者であれば、例えば私が講演させていただく時にはいちいち「今回お話しする内容は岡山大学の公式な見解を示すものではありません」などと断ることはありえないが、厚労省ご所属というお立場ではいろいろ気をつかう必要があるのだろう。 スライドではまず、乳がん、子宮頸がん、肺がん、大腸がんに関して、受診勧奨の案内チラシを送付したことで、送付しなかった前年に比べて受診率が有意に増加したというデータが示されていた。その受診勧奨チラシは単なる案内文ではなく、溝田さんが工夫した以下のような特徴があった。
余談だが、パワーポイント・スライドでは各自治体別に、前年度の「資料なし(←案内チラシ送付せず)」と送付した年度の受診率が比較され、それぞれについてχ2検定が行われていたが、受診率のデータはおそらく全数調査であってサンプリング調査ではないと思われる。全数調査であるなら、受診者が1人でも増えれば「増えた」というのは事実であって、もはや確率現象ではない。もちろん、それが偶然に増えたのか、何らかの人為的な介入によって偶然とは認められないほどに増えたのかを手助けする手段として、年度ごとの実数をサンプルとして見なして、本来はサンプルを対象に行う統計的検定を便宜的に援用することにはそれなりの意味があるとは思うが。 あと、同じ自治体の中での調査であれば、同一の対象者が多く含まれているはず。しかし受診率の大きさのχ2検定では、個体内の変化(対応があるデータ)は無視されてしまう。なので、受診率が増えたかどうかという比較ではなく、
次回に続く。 |