じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 津山線は殆どは2両連結だが、混雑時や運用の都合で1両、3両、4両で運転される場合もある。
 写真は11月20日(水)の9時59分に半田山植物園近くで撮影した津山行きの3両連結。この日は、朱色一色ではなく、キハ47形のノスタルジー塗装が連結されていた。
 撮影時には気づかなかったが、帰宅後に画像をチェックしたところ、津山行きの先頭車両は窓枠部分より上がクリーム色、その下の部分は朱色であったが、後ろの2両は窓枠部分が朱色で、それ以外はクリーム色に塗られていることに気づいた。

 『みまさかノスタルジー』が走っていた頃【右の画像、および2016年9月24参照】の写真を見ると、ノスタルジーの塗装は窓枠部分がクリーム色でそれ以外が朱色となっていたが、その後私自身の記憶が変容し、窓枠部分が朱色の車両のほうをノスタルジーだと思うようになっていた。

 なおこの日は、別の時間帯に青と紫の帯をつけたキハ120形2両連結【こちらに写真あり】も目撃した。キハ120形は岡山方面の始発列車や10時18分頃に半田山植物園前を通過する列車としてよく見かけるが、たいがいは帯の色が黄色と赤になっていて、2両とも青と紫という連結は初めて観た。リンク先によれば、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」 の開催にあわせて運行されている 臨時快速 「森の芸術祭ライナー」 で、2024年9月28日から11月24日までの期間限定で運行しているらしい。

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2024年11月21日(木)





【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(15)ナッジの応用(8)厚労省公開資料からナッジを学ぶ(5)1回限りの選択と、選択した後に求められる行動

 昨日の続き。放送内容に関連した話題として、ネット上で公開されている、

溝田友里(2021).ナッジ理論等の行動科学を活用した健康づくりの手法についてー具体的事例を交えてー

というパワーポイント・スライドをもとに、ナッジについて考察をしていく。

 さて、上掲の溝田さんのパワーポイント・スライドでは、選択行動についての研究がいくつか紹介されていた【要約・改変あり】。
  1. 選択肢の数
    【スーパーの試食売り場で】24種類のジャムを試食できる条件と6種類のジャムを試食できる条件ではどちらのほうがよく売れる?
  2. 利益と損益
    「100%の確率で100万円がもらえる」条件と「50%の確率で200万円がもらえるけれど、50%の確率で0円」となる条件のどちらを選ぶ?
  3. 利益と損益
    「コイントスで表が出たら3万円もらえるが、裏が出たら2万円支払う」というゲームに参加する?
  4. 伝え方(フレーミング)
    「術後1ヶ月の生存率は90%」という説明を受けた場合と、「術後1ヶ月の死亡率は10%」という説明を受けた場合のどちらのほうが手術を受けようとするか?
  5. お得感・魅力的
    「低脂肪グリルチキンサンドイッチ」と「チーズ、ベーコン入りチキンサンドイッチ」を選択する場合に、値引きと、2種類の健康メッセージ(「健康的な食事は心身の健康を高めます」と「不健康な食事は心身の健康を損ねます」)がどう影響するか?
  6. デフォルト
    定食セット1000円で小鉢をひとつ外すと100円引きであった場合、わざわざ外すか?
  7. 政策への実装例)臓器提供の意思表示:オプトインとオプトアウト
    • >オプトイン「『臓器提供を希望します』のチェック欄にチェックをつければ希望、つけなければ「希望しない」
    • オプトアウト「『臓器提供を希望しません』のチェック欄にチェックをつけなければ「希望する」
    • もともと提示されているもの(デフォルト)を受け入れやすい。

 また、昨日リンクさせていただいた、ナッジの基礎知識についてのコンテンツでも、カーネマンらの行動経済学の理論を裏付けるいくつかの事例が紹介されていた【要約・改変あり】。
  1. アンカリング
    • バスケットボールのゴールに類似したゴミ箱を使うとゴミをきちんと捨てるようになる。
    • 男性用トイレ(小)の便器に的のシールを貼ると、トイレの周りが汚れない。
    • お皿や袋の大きさによって食べる量が変わります。お皿を大きくすれば、つい多く盛り、たくさん食べてしまう。
  2. デフォルトオプション
    • オプトイン、オプトアウトの例。
    • デフォルトオプションに近い理論に「現状維持バイアス」がある。未経験のものを受け入れたがらず、現状を維持したいと感じ、同じ行動を繰り返すことを言うす。最初に購入した車と同じメーカーの車を買い続けるなど。
  3. フレーミング
    • “100人中10人が失敗する手術”より“成功率90%の手術”のほうがよさそう。
    • “楽天が西武に敗北“よりも”西武が楽天に勝利“のほうが、西武ファンは喜ぶ。
    • 健康行動として運動を促すさい、運動するメリットを伝えるのか、運動しないデメリットを伝えるのかによって、運動教室への参加率は変わるのかもしれない。
  4. 松竹梅の法則・選択肢削減の法則
    • 値段の異なる3つの料理のコースがあった場合、真ん中を選んでしまう。
    • 選択肢は7つまでにすると選んでもらいやすい。
    • アインガー(アイエンガー)のジャム実験
  5. 損失回避
    • 「効果がない場合は返却できる」場合でも、返却する人はほとんどいない。
    • 「2分の1の確率で20万円が手に入る」か何も手に入らないよりは、「10万円がかならず手に入る」を選びやすい。
    • 人は利益より損失の方が「感じる損得の大きさ」が大きい
  6. 異時点間選択【遅延価値割引】
    • 1年後に1万2000円もらうより、今、1万円もらいたい。
    • タバコがやめられないのは、現在の小さな快楽(ニコチン依存の解消)が将来の重いリスク(数十年後の肺がん)の回避よりも価値が高いと思ってしまうから。
  7. コミットメント
    • 禁煙の成功率を高めるために、会社の掲示板に「禁煙宣言」を載せる。
    • ダイエットに失敗したら罰金として小遣いを減らすことを約束する。
    • 将来の自分が行う行動や選択を縛ることで、目標が達成しやすくなる。
  8. インセンティブ
    • 日々の歩数を登録して、歩数に応じて商品に換えられるポイントをもらう。
    • 禁煙に成功したら社長から金一封をもらう。
    • ポイントなどのインセンティブを与えるもののほか、くじの要素を取り入れたものや、あらかじめお金などを預けておくデポジットの方法もある。
    • インセンティブとは逆に、ペナルティが使用されることもある。「喫煙者は保険料が高い」「健診を受けないと昇格できない」など。


 以上引用させていただいたこれらの話題はいずれも聴衆の興味をひくものであり、また聴衆自身にも思い当たるところがあり、ナッジの話題に関心をいだいていただくための絶好の講演ネタになりやすい。またこれらの知見を応用すれば、「強制ではなく自分で能動的に選んだ」という自己効力感が感じられるような選択機会を提供することができるだろう。

 とはいえ、上掲の選択行動の研究には大きな問題点があるように思う。それは、多くの事例が、1回限りの選択であり、かつ、ある行動を選択したからといってその行動がずっと継続されるかどうかは保証されていない点である。

 例えば、上掲の事例の中に、

●コイントスで表が出たら3万円もらえるが、裏が出たら2万円支払う」というゲームに参加するか?

というのがあったが、選択機会が1回限りであれば多くの人は損失が回避されるほうを選ぶだろう。しかし、もし選択機会が100回与えられるのであれば、圧倒的多数の人は、期待値の高いほうを選ぶに違いない。じっさい株の売買などは損失のリスクをふまえて行うものであり、もしすべての人が損失を回避するというなら、元本保証の預貯金ばかりで株式投資をする人はいなくなるはずだ。

 このほか、テレビの通販番組では衝動買いを促すような宣伝方略が多用されるが、じっさいにその商品を購入しても長く使い続けることはなく箱に詰めて押し入れにしまったまま、もっと極端な場合は届いた商品を未開封のまま放置するという人も少なくないように思う。通販会社としてはとにかく商品が売れてしまえば万々歳だが、がん検診の受診率申し込みがそのような衝動買い的なものであっては困る。

 この世の中では、入学試験における志望校選択、卒業前の進路選択、さらに結婚相手の選択(場合によっては非婚という選択)、住宅の購入の選択、というように人生を左右する重大な選択もあれば、日常的な買物や旅行先のような選択もある。留意すべきことは、いずれの場合も、選択肢にはそれに対応した行動が含まれていることにあるという点だ。
  • 志望校選択には入学後の勉学行動が対応している。
  • 進路選択は、就職先での日々の仕事という行動が対応している。
  • 結婚相手の選択は、結婚後の生活行動が対応している。
  • 住宅の購入は、購入後にそこで暮らしたり通勤したりといった行動が対応している。

以上を考慮すれば、選択行動というのは、ある時点で「どちらを選ぶか?」という決断で終わるものではない。選んだあと、それに対応する行動がちゃんと強化され続けていくのかどうかを見極めるか、ちゃんと強化されるように環境を整えることが不可欠であることを理解しておく必要がある。
 もとのがん検診の話題に戻って言えば、単に受診を決意してもらえばよいということではなく、毎年の定期的な受診と、総合的な健康維持・増進生活行動を強化するようなサポート体制が求められることになる。


 次回に続く。