じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 各種映画やドラマを録画したDVDを整理・廃棄する作業はほぼ終了した【11月1日の日記参照】。そんななか、先月お亡くなりになった西田敏行がナミヤ店主を演じている『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のDVDが目にとまった。この映画の中で店主は末期の膵臓がんを患いお亡くなりになる。西田さんはいろいろな役を演じておられるが、その中でも最も晩年の役柄を演じた作品の1つではないかと思われる。

 この映画の感想は2020年7月28日の日記に記したことがあった。もっとも、映画をちゃんと観ていなかったせいか、いくつか誤解をしていた点や、疑問として残っていた点があった。今回改めて見直して以下のことに気づいた。

 まずこの映画の実質的な主人公である三人組だが、私は、この3人は『丸光園』を出たあと非行化し、ボランティアとしては子どもたちの相手をしていたものの、裏ではコソ泥の常習犯になっていたと思い込んでいた。しかし、三人組が悪事を働いたのは女性社長宅の強盗が初犯であり、その女性社長(田村晴美)が丸光園をつぶしてラブホを建てようとたくらんでいるという誤情報への義憤から実行に及んだということが確認できた。

 次にラストの場面だが、私は、この3人は女性社長宅まで戻って警察に自首し、一定の刑期(もしくは執行猶予つき)を終えたあと、介護士、飛行機の整備士、調理師として活躍したというように思っていた。しかし、犯罪歴がある者がそう簡単に社会復帰できるとは思えず不自然に感じていた。今回改めて観たところ、3人はどうやら自首しておらず、女性社長の計らいで警察沙汰にならずに済み、それぞれの夢【子どもの頃の夢は、外科医、エンジニア、料理人】をほぼかなえられたようであった。

 ラストのところの女性社長が丸光園に移設した牛乳箱で悩み相談を引き継いでいるシーンは見落としていた。余談だが『みどり牛乳』の牛乳、豆乳、ヨーグルトはは北九州のスーパーでは普通に見かける。最近、岡山のドラグストアでも格安豆乳を販売するようになった。

 もう1つ、より根本的な疑問として、

●廃屋化したナミヤ雑貨店に三人組が忍び込んでいた時間は5〜6時間程度。いっぽう悩み相談の依頼者は何日も間をおいて複数の手紙を書いているが、短時間の中では返事を書ききれないのではないか?

という点があった。これについてはおそらく、

●3人組が忍び込んでいる時の「今の時間」と、依頼者の「生活時間」の流れ方が異なる。

と解釈するほかはないかと思う。もっとも以上は映画を観ただけでの解釈であり、原作でどうなっていたのかは分からない。


2024年11月20日(水)





【連載】あしたが変わるトリセツショー『がん対策』(14)ナッジの応用(7)厚労省公開資料からナッジを学ぶ(4)MINDSPACEとは何か?/都道府県初のナッジユニットは岡山県

 昨日の続き。放送内容に関連した話題として、ネット上で公開されている、

溝田友里(2021).ナッジ理論等の行動科学を活用した健康づくりの手法についてー具体的事例を交えてー

というパワーポイント・スライドをもとに、ナッジとは何か?を引き続き読み取っていきたいと思う。

 パワーポイント・スライドの27頁以下では、「MINDSPACE」というナッジのフレームワークが紹介されていた。スライド画面によれば、出典は、 となっており、ネットで検索したところ、溝田さんの別の発表スライドでも引用され、日本語に訳されていることが分かった。

溝田友里(2020).ナッジやソーシャルマーケティングなどの行動科学的アプローチを活用したがん検診受診勧奨の取り組み

なお、この時の溝田さんのご所属は「国立がん研究センターがん対策情報センター 健康増進科学研究室」となっていた。

 さらにネット検索したところ、こちらにナッジの基礎知識についてのコンテンツがあり、「MINDSPACE」や「EAST」については、
 健康づくりにナッジを活かすヒントとして、ナッジと行動経済学の理論をまとめた フレームワーク「MINDSPACE」と「EAST」を紹介します。MINDSPACE(表1参照)は、人の9つの行動特性として、Messengers、Incentives、Norms、Defaults、Salience、Priming、Affect、Commitments、Egoを表しています。EAST(表2参照)は、MINDSPACEと同様の内容を含みますが、Easy、Attractive、 Social、Timelyの4つに絞っています。
 MINDSPACEやEASTは、人に行動を促すために必要な、効果的な方法の条件と言えます。健康づくりの取り組みや健診の勧奨などを企画したり、見直したりするときに、これらの条件を確認し、より合ったものにすることで効果が高まるでしょう。
 たとえば受診勧奨の方法やリーフレットを例にしましょう。記載されているメッセージは、対象者にとって影響のありそうな人(たとえば、有名人、社長、あるいは家族)からになっているか(Messengers)、受けないと損するように思えるか(Incentives)、みんなも 受けているように感じるか(NormsまたはSocial)、受けるのがあたりまえになっているか(Defaults)、 楽しそうか(AffectまたはEgo)、勧奨の時期は適切か(Timely)などをチェックし見直すことができます。
ナッジや行動経済学は、アイデア抜群の大がかりなしくみというわけではなく、日常的に行っていることをちょっと見直すためにも役立つのです。
と解説されていた。

 ちなみに、上記のリンク先は、ナッジを活かして、誰もが健康になる社会を目指すという厚生労働科学研究費補助金の助成を得た研究班のWebサイトであるようだ。事例集の中に、

●岡山県版ナッジ・ユニット

というのがあったのでどんな内容かと興味を持ったが、上掲の事例集からはリンク切れとなっており、別に検索したところ、
  1. 人の「こころの働き」にアプローチ、岡山県版ナッジ・ユニットを設置しました。
  2. 日本の自治体でのナッジの広がりB:安藤如照さん(岡山県)
  3. 日本の自治体でのナッジの広がりD:浅田昌宏さん(岡山県倉敷市)
などがヒットした。岡山がそんなに先進的な取り組みを始めていたとは全く知らなかった。もっとも上記2.によると「日本の都道府県初のナッジユニットを2019年11月に設立」とあるので、私が定年退職した2018年3月より後の出来事なので情報が入らなかったのも無理はない。その後取り組みが継続、拡大できているのかも未確認。


 次回に続く。