じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 昨日の日記で『天文年鑑2025』購入の話題を取り上げたが、そこにも記したように私は書籍のオンライン注文はもっぱら大学生協を利用してきた。しかしこれまで利用してきたサイトは2024年12月23日(月)をもって閉鎖されるという。今後は『HonyaClub.com(大学生協専用サイト)』に再登録をして利用をしてくださいとのことであった【画像上】。
 大学生協のサイトがなぜ閉鎖されるのかは分からないが、おそらく印刷媒体の本の購入者の低下、セキュリティ対策を含めた維持費の高騰などが原因になっているのではないかと推測される。再登録の手間はかかるが利用上特に支障はない。

 ちなみに定年退職後も大学生協で本を購入しているのは実質10%の割引になるためである。この割引はかつては、購入時に直ちに反映されていた。例えば『天文年鑑2025』は1500円だが、レジで10%引きの1350円を支払えば購入することができた。
 しかしその後、ポイント制に移行され、『天文年鑑』の例では、購入時に1500円を支払うのと同時に10%にあたる150ポイントが付与されるようになった。このポイントはプリペイドカードに自動的にチャージされて食堂などで使うことができた。
 ところが、数年ほど前から、その仕組みが複雑になり、「生協ポイント」、「生協ウォレット」、「ICカードでのプリペイド金額」という3種類の概念を理解しないと、割引などの特典を受けることができなくなった。私が理解している限りではその仕組みは以下の通り。
  1. 生協で買い物をしたり食事をすると『生協ポイント』が付与される。但しこのポイントは単なる数値であって、貯めても何の役にも立たないし、1年後には失効してしまう。
  2. あらかじめ登録しておいた生協アカウントのマイページで、『生協ポイント』を『生協ウォレット』に交換する必要がある。但し交換は100ポイント単位。
  3. 『生協ウォレット』に交換した金額は食堂のレジでICカードにチャージしてもらわないと食事の支払いには使えない。
 素朴に考えれば、生協を利用した時に付与されるポイントが機械的にICカードに移行できるようにしておけば便利だと思われるのだが、なぜこんなややこしい仕組みになってしまったのだろうか。推察するに、
  • ICカードを使わない購入(オンライン注文)でもポイントを付与できるようにしたい。
  • ICカードにチャージされている金額はカードの中だけに保存されており【自己完結型?】、レジなどの特殊な端末でないと紐付けができない。
  • ICカードの不正利用(友人同士の貸し借りなど)を防ぐ。
  • マイページ利用を必須とすることで日常的な広報や利用促進をはかる。
  • マイページで知りうる利用状況が流出しても、ICカード自体を保有していれば被害を受けずに済む【生協ウォレットの保有金額を不正に増やしたとしても、ICカードへのチャージ時にレジで本人確認が行われるので食事代として使うことができない。
  • 私自身は利用していないのでよく分からないが、おそらく、ミールカードへのセキュリティ対策にもなっている。

 WAONポイントなどでも獲得したポイントをWAONカードにチャージする必要があることからみて、付与されたポイントを機械的にチャージする仕組みではセキュリティ上何らかの困難点があるのかもしれない。


2024年12月19日(木)




【連載】ヒューマニエンス 「“不安” ヒトが“自らつくった”進化のカギ」(12)うつ病の対処法と傾聴

 昨日に続いて、11月25日にNHK-BSで再放送【初回放送は6月1日】された、NHK『ヒューマニエンス』、

「“不安” ヒトが“自らつくった”進化のカギ」

についてのメモと感想。

 放送の終わりのあたりでは『不安をなだめる“傾聴”』という話題が取り上げられた。
 不安からのストレスが長く続き生活に支障が出てやがて“うつ病"を発症することもある。功刀浩さん(帝京大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. うつ病はストレスの度合いはあまり強くないが持続する。
  2. 夜はきちんと寝て疲労回復するのが大事。睡眠負債といって、睡眠不足が蓄積すると体が機能しなくなる。
  3. 日本人のうつ病の割合は2013年には7.9%だったが、2020年には17.3%に増加【経済協力開発機構調べ】。6人に1人がうつ病だと言われている。
 続いて登場した川村則行さん(精神科医)によれば、うつ病への有効な対処法としては以下の2つがある【要約・改変あり】。
  1. 今答えはないけれど、とりあえずこれをやれば良いということを決めてそれを実行していく。小さな成功を続けていくことが大事。
  2. 人としゃべるのはすごく救いになる。友だちとしゃべることが大事。

 上記の2つの対処法のうち、2.については「相手の気持ちに共感しながら話を聴く」という『傾聴』のコツを掴むことが重要。このことに関係づけて、徳丸正孝さん(関西大学)のロボットの研究が紹介された。

 ロボットの話題は次回に取り上げさせていただくとして、ここでいったん私の感想・考察を述べる。

 まず、うつ病の割合が2013年の7.9%から2020年には17.3%まで増えており、現在では6人に1人がうつ病であるということだが、このことは病気が広まっているということには必ずしもならないように思う。かつてうつ病に対する誤解や偏見が強かった頃には、診断基準の上ではうつ病と診断されるような人でもそうした不利益を恐れて病気の公表を避けたり、通院しなかったというケースが今よりずっと多かった可能性がある。最近では労災の認定もかなり確立しており、周囲からの偏見も改善されたことで、統計データとしてうつ病の患者数が増えているという可能性はある。
 あと、12月11日に記したように、日本を含むアジアではおよそ7割が不安を感じやすいタイプであるという。こうした遺伝子型とうつ病との相関関係にも注目する必要があるように思うが、特に言及はされていなかった。

 功刀さんの「夜はきちんと寝て疲労回復するのが大事。睡眠負債といって、睡眠不足が蓄積すると体が機能しなくなる。」という対処法はその通りかもしれないが、「ちゃんと寝ればうつ病は防げる」と言われたところで「はい、そうします」とあっさり眠れるようになるわけではあるまい。ま、規則的な生活習慣を続けられればちゃんと睡眠できるようになるだろうが、仕事の特徴(夜間勤務など)や仕事量(締め切りに追われて徹夜を余儀なくされるなど)があるとなかなか難しい。

 川村則行さんが挙げておられた2つの対処法のうち1番目の「小さな成功を続けていくことが大事」については放送ではそれ以上何も紹介が無かったが、私は2番目のおしゃべりよりも、1番目のほうが重要ではないかと思っている。これは要するに、

●実現可能な小さな行動が適切に(ポジティブに)強化されていること

という意味であり、行動分析学の基本的な知見にも一致している。これが積み重ねられていく限りは、自信喪失や挫折、絶望は起こりにくくなるはずだ。余命宣告を受けたがん患者さんの場合でも、自分が生存できる年数をふまえた上で、その期間内にできる行動を具体化し日々実践していけば、それなりのQOLを維持できると思う。

 いっぽう『傾聴』については2006年12月9日の日記で取り上げたことがあった。リンク先の『ホールファミリーケア協会』は現在では『日本傾聴ボランティア協会』に改称されているとのこと。もっとも、どの程度の活動をされておられるのかは不明。また私自身は、他者に傾聴されるとわざとらしく感じるばかりで、「本当は興味が無いくせに、あるいは私の話す内容などくだらないと思っているくせに、いかにも興味があるかのように振る舞うのは止めてほしい。」と腹を立ててしまう傾向がある。

 次回に続く。