【連載】チコちゃんに叱られる! 「冷蔵庫が冷やせるのはなぜ?」/ガス空調/エアコンによる暖房
昨日に続いて、1月24日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
- 熱が出たとき体温が上がっているのに「寒い」と感じるのはなぜ?
- 散歩の「散」ってなに?
- 冷蔵庫が冷やせるのはなぜ?
という3つの話題のうち、最後の3.について考察する。
放送では、冷蔵庫が冷やせるのは「汗冷えと同じ仕組み」が正解であると説明された。冷蔵庫の仕組みに詳しい森下信さん(横浜国立大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
- まずは汗で体が冷える仕組みを説明。私たちが汗をかくと、汗に含まれる水分は水蒸気に変わって蒸発していく。この時水分は蒸発するために周りの熱を奪う(=『気化熱』)。
- 水は固体から液体から気体に変わる時に周りの熱を奪う。氷が溶けて水になる時熱が使われるため、氷の周りの温度が下がる。
- 水はまた、液体から気体に変わる時にも周りの熱を奪う。液体の水を1700℃の炎で加熱し続けても水の温度が100℃以上にならないのは、炎から奪った熱エネルギーを使い続けるため。
- 冷蔵庫は、液体から気体に変化するときに熱を奪うという性質を使っている。
- 一般的な家庭用冷蔵庫の内部には、パイプがたくさん通っている。パイプの中には『冷媒』が流れている。『冷媒』とは温度変化によって液体にも気体にも変化する物質のこと。この冷媒が人間で言う汗の役割をしている。
- パイプの中の冷媒はまず液体の状態で流れている。その後、蒸発器の中に入る。蒸発器は液体の冷媒を気体の冷媒に変化させる装置。
- 蒸発器の中では液体が気体に変わるため周りの熱が奪われる。その時に発生した冷たい空気をファンで扇ぎ冷蔵庫の中に送り込むことで冷やしている。
- その後、気化した冷媒はコンプレッサーで圧力をかけられパイプを通りながら温度を下げることで液体に変化。再び蒸発器に入って気体に変わるという変化を半永久的に繰り返す。
- 冷蔵庫の脇を触ると温かいのは、冷やすために冷媒が奪った熱を放出しているため。
- 電気冷蔵庫が発明されてから100年以上経つが、冷やす仕組みは全く変わっていない。
放送ではさらに過去に発売された面白い形の冷蔵庫として、以下の3点が紹介された。
- ワンタッチ冷水器つき冷蔵庫【東芝】:1971年発売。扉に冷水器がついているためドアを開けずに水が飲める。
- 電子レンジ一体型冷蔵庫【シャープ】:1986年発売。冷蔵庫の中段に電子レンジが組み込まれている。
- テレビ一体型冷蔵庫【日立】:1995年発売。『冷蔵庫つきテレビ』として発売され、47リットルの例ぞおうこと21型カラーテレビが一体化。
ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、冷蔵庫の冷やす仕組みは、コンプレッサーという言葉を耳にしていたことから、気化熱を利用したものであることは以前から知っていた。もっとも、なぜ気化熱が生じるのかとか、「熱を奪う」という擬人的な表現に含まれる「奪う」とはどういうことかは理解できていない。このことに限らないが、私は高校の時、物理現象を(根本的な仕組みの理解しないまま)関係式だけで表すことには納得できず、このこともあって高校物理を苦手としていた。今なお同様であり、ウィキペディアの説明を読んでもよく分からないところがある。
放送では、コンプレッサーの圧力により気化した冷媒が液体に戻されるということは説明されていたが、液体になった冷媒が『蒸発器』でなぜ気化するのかについては何も説明されなかった。ウィキペディアでは、
- エクスパンジョンバルブ(膨張弁):細い管が急に太い管となることで減圧し、沸点が下がる。(液体 低圧液体)
- エバポレータ(蒸発器、気化器):沸点の下がった液体は、周囲から蒸発熱を奪い、蒸発(気化)する。(気化による冷却:液体が気体となる→冷却が生じる)
と説明されていた。要するに、膨張弁から蒸発器までの部分は単なる金属物質の形状であって、外部からの電力供給などはなされておらず、「減圧→沸点低下」だけで熱を奪っているということになる。放送では「汗冷えと同じ仕組み」だと解説されていたが、汗の場合、汗腺から体の外に出てくる過程で同じような減圧は起こらないのでこの点に限っては「汗冷えと同じ」とは言えないように思う。念のためCopilotに「汗が汗腺から体外に出るとき、冷蔵庫の蒸発器と同じような減圧は起こりますか?」と尋ねたところ、やはり減圧は起こらないという回答をいただいた。
面白い質問ですね!汗が体外に出るときのメカニズムと冷蔵庫の蒸発器のメカニズムには共通点もありつつ、異なる部分もあります。
まず、汗が体外に出るとき、汗腺から汗が分泌されるプロセスには減圧(圧力が下がること)は直接的に関わりません。汗は汗腺から分泌され、皮膚の表面に出てきます。そして、汗が蒸発するときに体の熱を奪うことで体温が調節されます。この蒸発のプロセスは、液体が気体になるときに周囲から熱エネルギーを吸収する現象です。
一方、冷蔵庫の蒸発器では、冷媒(冷やすための液体)が蒸発するときに圧力が下がり、その結果として冷媒の液体が気体に変わるプロセスが起きます。これは吸熱反応であり、周囲の熱を吸収することで冷却効果が生まれます。
したがって、両者は蒸発を伴う吸熱反応という点で共通していますが、汗の分泌プロセスそのものには減圧は関係していないという点で違いがあります。
なお、今回説明された冷却の仕組みは『気化圧縮型』であるが、ウィキペディアによれば、このほかにも『気化吸収型』、『スターリング冷凍機』、『ペルチェ効果型』などがあるという。
放送の説明(上掲の2.と3.)の中でも紹介されたが「熱を奪う」という現象は、氷が溶けて液体の水になる時や、お湯を沸かす時にも起こる。ということは例えば給湯器でお湯を沸かしながらその際に気化熱で周りの熱が奪われることを利用すれば「給湯器一体型冷蔵庫」ができるはず。これと同じかどうかは分からないが、ウィキペディアの『気化吸収型』の説明では、
●冷媒の循環のために、液体を使用する。この液体が冷媒を吸収(吸着)して循環することにより冷媒を移動させている。この液体を吸収液とよび、このため吸収型と呼ばれる。熱することにより液体を循環させる。このために熱源が用いられるが、ジェネレーターにガスバーナーを用いたガス冷蔵庫、電気ヒーターを用いた電気冷蔵庫がある。
となっていた。
冷蔵庫の話題から少し脇道に逸れるが、かつては家庭用のガス空調というのがあった。ガスを燃やして暖房するというのは分かりやすいが、ガスを使ってなぜ冷房できるのかは全く分からなかった。今回ネットで検索したところ、こちらに分かりやすい説明があり、『気化吸収型』も含まれているらしいことが分かった。
『気化圧縮型』の話題に戻るが、念のためCopilotに「冷蔵庫とエアコンの「冷やす仕組み」は同じでしょうか?」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
冷蔵庫とエアコンの「冷やす仕組み」は、基本的には同じ原理に基づいています。どちらも冷媒を利用して熱を移動させる仕組みです。簡単に言うと、以下のようなプロセスが共通しています:
- **冷媒の圧縮**:コンプレッサーが冷媒を圧縮し、高温・高圧のガスに変えます。
- **冷媒の冷却**:高温・高圧の冷媒をコンデンサーで冷まし、液体に変換します。
- **冷媒の膨張**:冷媒が膨張バルブを通ることで、圧力が下がり、温度も下がります。
- **冷媒の蒸発**:冷媒がエバポレーターを通過する際に、周囲の熱を吸収して蒸発し、冷気を作り出します。
違いは使用目的と冷却対象です。冷蔵庫では食品や飲料を冷やすために、冷蔵室内の冷媒が蒸発して熱を取り除きます。一方、エアコンは室内の空気を冷やすために、室内機の冷媒が熱を吸収して冷たい空気を送り出します。
基本の原理が似ているため、冷蔵庫もエアコンも熱交換と冷媒の物性をうまく利用して効率的に冷やすことができます。
ついでながら、エアコンによる暖房はかつては電気代がかかるため、「夏はクーラー、冬は石油ストーブ」が基本であった。しかし我が家でも何年か前からストーブは廃棄し、エアコンだけで冷暖房を行っている。このことについてもCopilotに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。
エアコンが以前より少ない電力消費で暖房できるようになったのには、いくつかの技術的な改良があります。
- **インバーター技術の導入**:
エアコンのコンプレッサーにインバーター技術が導入され、高効率な運転が可能になりました。これにより、必要な冷暖房出力に応じてコンプレッサーの回転数を細かく調整できるようになり、無駄な電力消費を抑えることができます。
- **ヒートポンプ技術の進化**:
エアコンの暖房にはヒートポンプ技術が使われています。この技術では、外気の熱を取り込んで室内に放出することで効率的な暖房が可能になります。近年の改良により、低温環境でも効果的に熱を取り込むことができるようになりました。
- **高効率な熱交換器**:
熱交換器の設計が改良され、より多くの熱を効果的に交換できるようになりましたの冷房と暖房の1時間あたりの電気代は ...](https://www.ecostylepower.com/air-conditioner/)。熱交換器の表面積が増加し、冷媒の流れを最適化することで、エネルギー効率が向上しています。
- **断熱材の改良**:
室外機と室内機の断熱材が改良され、熱の損失を最大限に抑えることができるようになりましたの冷房と暖房の1時間あたりの電気代は ...](https://www.ecostylepower.com/air-conditioner/)。これにより、エネルギー効率がさらに向上しました。
これらの改良により、現在のエアコンは以前に比べて少ない電力で効率的に暖房を行うことができるようになりました。もし詳しい技術や具体的なモデルについて興味があれば、お知らせくださいね!
なお、こちらの出典に、エアコン(クーラー)の冷房と暖房の1時間あたりの電気代が紹介されている。8畳用の1時間あたりの電気代は、冷房では2.0円、暖房は4.4円となっており、かなり安くなったとはいえまだまだ暖房代のほうが高いようだ。もっとも、冷暖房の比較は、設定温度や外気温との差によっても異なってくるので一概には言えない。
|