じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ウォーキングコース沿いのヒメツルソバ。12月中旬にはたくさんの花をつけていたが【写真右】、1月以降に氷点下の寒さが続いたことで地上部がすっかり枯れてしまった【写真左】。妻の実家のある北九州では、ここまで枯れることはない。

 もっとも枯れたように見えるのは地上部のみであり、春になればちゃんと新しい芽が出てくる。

2025年01月30日(木)




【連載】あしたが変わるトリセツショー『100歳×100人徹底取材!1万年の健康パワーSP』(2)運動と『ちょこ活』

 昨日に続いて、2024年12月26日初回放送【私自身が視聴したのは1月8日の再放送】された表記の番組についてのメモと考察。本日は、
  1. 食   “100歳の島”で見つけた「老化を防ぐ食生活 〜食物繊維〜」
  2. 運動  運動が続かない人におすすめ「ちょこ活 〜日常の中でちょこちょこ動く〜」
  3. 究極  世界中の研究機関も注目する「究極の健康法 〜つながりを持つ〜」
という『健康の秘訣』3つのうち2番目の『運動』について考察する。

 健康を保つための重要な対策の1つとして『フレイル予防』がある。フレイルとは「加齢により筋力・活力が衰え、介護一歩手前の状態になること」であり、これを予防するためには運動が欠かせない。

 放送ではまず、96歳から砲丸投げを始めた104歳の男性、剣道八段の101歳の男性、25m水泳自由型・背泳ぎの100歳部門日本記録保持者の100歳の男性が紹介された。とはいえ、スポーツなどのハードな運動を長続きさせるというのは容易なことではない。そこで提唱されたのが『ちょこ活(非運動性活動)』。すなわち、

掃除や洗濯・自転車や庭仕事など、生活の中で“ちょこちょこ動く”こと。

であり、今回、この番組で新たに命名された。

 フレイル研究の権威である飯島勝矢さん(東京大学)らがある町の65歳以上890人を対象に7年間の追跡調査を行ったところ、何もしなかった人たちに比べて、
  • 運動のみをしていた人は約49%
  • 運動習慣がなくても、一定程度の“ちょこ活”をしていた人は約45%
それぞれフレイルのリスクを減らすことができた。
 じっさい、今回取材対象となった100人の百寿者の中でスポーツなどの運動習慣があった人はわずか10人、そのいっぽう、『ちょこ活』をしていた人は84人にのぼっていた。その中のお二人の活動量を調べたところ245kcalと306kcalであり、軽いスクワット1時間半分(約280kcal)に相当。また、1日中デスクワークをしている40歳代の番組ディレクターの194kcalを上回っていたことが分かった。
 以上の知見をもとに、『ちょこ活図鑑』が公開された。この図鑑ではそれぞれの活動に対して『メッツ』という活動強度が与えられている。メッツ=1は「座って安静時」であり、60歳以上の場合、「5.3〜6.0km/hの速い歩行」は6メッツ、「3.6〜4.4km/hの歩行は4メッツ」、洗濯(洗濯干し)は3メッツなどとなっていた。厚労省の推奨値は、1日あたり3メッツ以上の活動を60分(高齢者は40分)であるが、3メッツ未満でも積み重ねれば効果があるという。

 ここからは私の感想・考察を述べさせていただくが、まず私自身は、毎日1時間半程度のウォーキング(坂道・石段を含む)のほか、洗濯干し、ゴミ出しなどでそこそこ「運動」を実践しており、またその効果も実感できている。

 ところで上掲の『フレイル』だが、その予防は、健康長寿延伸のためだけでなく、がん患者の延命のためにも重要な要因になっているようだ。押川先生の動画などによれば、がん患者は必ずしもがんでは死なない。多くの患者さんは、栄養障害により免疫力が低下し感染症で亡くなる(東口高志『「がん」では死なない「がん患者」』)。がん症状やがん治療の副作用により、動けない、動きたくないということがフレイルを進行させる。また全身倦怠感や食欲不振が筋力低下、栄養障害をもたらす。「体力がなくなってくると身体を支えられなくなって横になりたくなる→ADL低下→抗がん剤を投与できなくなる」という悪循環に陥る。がん患者における運動の重要性は佐藤先生の動画でも何度か指摘されている。がん治療というと手術や抗がん剤が真っ先に思い浮かぶが、治療手段を広げたり治療効果を高めるためにも、適度な運動により筋力・体力をできる限り保持することが重要であるようだ。なお、病気によっては制限もあるが、一般的には、がん以外の病気に罹った場合でも、日頃からの運動がモノを言うことは間違いなさそう。

 次回に続く。