【連載】チコちゃんに叱られる! 「ビールかけの由来」
10月3日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は
- なんでプロ野球の優勝チームがビールかけをするようになったの?
- なぜハンコに使う色は赤色?
- なぜ考えるときに腕を組む?
という3つの話題が取り上げられた。今回はそのうちの1.について考察する。
放送では「プロ野球のビールかけはカールトン半田のせい」が正解であると説明された。これまで6度野球の歴史について解説してくださっている鈴村祐輔さん(名城大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
- 日本で初めてビールかけが行われたのは1959年、南海ホークスがパリーグ優勝を決めた時。
- この年のリーグ優勝の立役者は杉浦忠。38勝4敗、防御率1.40という驚異的な記録を残した。
- 優勝を決めた日の祝勝会で、カールトン半田が杉浦にビールをかけたのが始まり。
- カールトン半田(1931〜2019、日系アメリカ人2世、マイナーリーグでプレーののち南海ホークスで内野手として優勝に貢献した。
- メジャーリーグでは古くから優勝チームがシャンパンをかけあう「シャンパンファイト」の風習があったが、日本のプロ野球ではそれまでは優勝しても宴会の席でお酒やビールを飲み交わすだけだった。
- シャンパンファイトの経験のあったカールトン半田が杉浦投手に突然ビールをぶっかけ、それがきっかけでビールをかけ合った。
- 当時の野球雑誌にその時の様子が紹介されている。
- 1960年にセリーグを制した大洋ホエールズの選手たちがビールかけを行った。
- その後ビールかけは優勝したチームしか味わえない最高のイベントとして習慣化していった。
ここからは私の感想・考察を述べる。
放送では、日本のプロ野球に限ってビールかけが行われるようになったきっかけが紹介されていたが、もともとはメジャーリーグのシャンパンファイトに由来することからみて、
- メジャーリーグでのシャンパンファイトはいつ頃からどういう経緯で始まったのか?
- 野球以外のチームでも行われているのか?
- なぜシャンパンではなくビールがかけられるようになったのか?
といった点を掘り下げてみる必要があるように思う。ウィキペディアによればその概要は以下の通り【要約・改変あり】。
- 起源&野球以外のチーム
- 起源については、シャンパンが勢い良く吹き上がる様子を気に入ったナポレオン・ボナパルトが、戦勝記念にシャンパンかけを行ったのが始まりという。
- スポーツ界で行われるようになった由来については諸説あり、1950年にアメリカ・メジャーリーグのセントルイス・ブラウンズ(現:ボルチモア・オリオールズ)が、シーズン100敗を阻止した喜びの宴で行われ、以後、メジャーリーグの優勝祝勝会で行われるようになったとする説がある。
- 1967年のル・マン24時間レースで、アメリカ製フォード・GT40とアメリカ人ドライバーで初めて成し遂げた快挙に興奮した優勝ドライバーダン・ガーニーが世界で初めて「シャンパンファイト」を行った、という説がある。
- 日本のスポーツ界
- 日本では、1987年にF1・日本グランプリが再開されてからのF1ブームに乗って一般にもその存在が認知され始めた。その後、1992年アルベールビルオリンピックにおいて、ノルディック複合団体で金メダルを獲得した荻原健司・河野孝典・三ヶ田礼一の3人が表彰式でシャンパンファイトを行ったことで広く知れ渡った。
- 1993年に開幕した日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)でも優勝祝賀会などで行うようになった(選手・スタッフに加え、サポーターも参加して行われ一般レベルにも浸透した)。
- プロ野球では通常前出のビールかけを行っているが、1997年にヤクルトスワローズが初めてシャンパンファイトを決行し(厳密にはシャンパンではなくスパークリングワインだった)、読売ジャイアンツも2000年と2012年に行った。最近ではビールと合わせてシャンパンも用意される場合もある。
ということで、シャンパンファイトのほうが歴史が古く、また日本のプロ野球でもビール以外の飲み物が使われることもあるようだ。なお、MLB機構は2015年に各球団へ向けて以下のような通達を行っているという。
- シャンパンはノンアルコールであること
- 1選手2本まで
- 掛け合うだけで飲むことは禁止
- シャンパン以外のアルコールはビールだけで、機構の公式スポンサーとなっているメーカー(バドワイザー)に限る
- ラブハウスの外にシャンパン、ビールを持ち出してはならない
そのほか興味深い関連情報として以下の記述があった。
- イスラム圏で行われるスポーツイベントでは、イスラム教が飲酒を禁じている関係から、シャンパンファイトそのものを自粛する、もしくは炭酸水などで代用することも多い。F1でもイスラム圏での開催となるバーレーングランプリやアブダビグランプリでは、シャンパンファイトにシャンパンではなくローズウォーターを用いている。
- Jリーグでも、クラブによってはシャンパン以外のドリンクを使用することもあり、ビールかけや炭酸水を使用するクラブも少なくないが、ザスパ草津(当時)の「温泉のお湯」や愛媛FCの「ポンジュース」などホームタウンの名物を採用するクラブも散在する。また、清水エスパルスのように会場の都合でシャンパンファイトに類する企画を行わないクラブもある。
- 優勝者が飲酒可能年齢に達していない場合(チーム戦の場合は飲酒可能年齢に達していないメンバーがいる場合)や、優勝チームにストレートエッジを公言している選手が所属している場合は、炭酸水などのノンアルコール飲料を用いる、シャンパンファイトそのものを自粛する、そのメンバーだけシャンパンファイトへの参加を自粛するなどの対応が取られる場合がある。
なお元の話題の『ビールかけ』についてもウィキペディアに該当項目があるが、
翌1960年に大毎オリオンズがリーグ優勝を決めた際のニュース映画にはビールかけをする大毎選手が映っている他、2年後の1962年に阪神タイガースがリーグ優勝したときの新聞記事には「頭からビールをぶっかけられておどり上がるソロムコ選手」という記述があり、この時点でセントラル・リーグの球団にも伝わっていたことがわかる。なお映像として残っているものとして前述の大毎の例の他、1966年に読売ジャイアンツがリーグ優勝した際に行われたものを日本テレビが収録した映像が最古と見られている。
という記述があり、放送で紹介された大洋ホエールズと合わせると1960年にはセリーグとパリーグで優勝した2チームがいずれもビールかけをしていた可能性が高い。
日本でシャンパンではなくビールがかけられるようになったのか?についてChatGPTに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。
とても良い質問です。
プロ野球の「ビールかけ」が日本で定着したのには、**時代背景・経済的事情・スポンサーの影響**などが関係しています。以下、順を追って説明します。
◆起源:アメリカの「シャンパンファイト」
そもそも優勝時に酒をかけ合う風習は、**1960年代のアメリカ大リーグ(MLB)**で始まりました。
当初は、ワインやシャンパンを開けて祝う中で、選手たちが喜びのあまりかけ合ったのが始まりとされます。
(特に有名なのが、1967年のセントルイス・カージナルスの「シャンパン・シャワー」です。)
◆日本での始まり:1959年・南海ホークス説
日本で最初に「ビールかけ」を行ったとされるのは、**1959年の南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)**です。
当時、南海ホークスが4年ぶりに優勝を決めた際、アメリカ帰りの選手(ドン・ブランコなど)が「アメリカではこう祝う」と言って、**クラブハウスにあったビールをかけ始めた**のがきっかけといわれています。
◆なぜシャンパンではなくビールになったのか
- **日本では当時、シャンパンが非常に高価だった**
1950年代末の日本では、シャンパンはまだ贅沢品。
1本あたりが数千円?1万円台(現在の数万円相当)もする輸入品でした。
大量に用意するのは現実的ではありませんでした。
- **一方で、ビールは手に入りやすく国産だった**
国産ビール(アサヒ、キリン、サッポロなど)がすでに大量生産されており、値段も手ごろで、球団施設にも置いてありました。
- **スポンサー(ビール会社)との関係**
球団やテレビ放送のスポンサーにビールメーカーが多く、ビールで祝う」ことは宣伝効果も抜群でした。
やがて各球団がそれぞれのスポンサー銘柄を大量に用意するようになり、慣例として定着していきます。
◆定着の時期
1970年代には、優勝後のロッカールームで**選手全員がビールをかけ合う光景がテレビ中継される**ようになり、「日本のプロ野球の風物詩」として完全に定着しました。
【以下略】
個人的には資源の無駄遣いを避けるために、強炭酸水をかけ合うことを推奨したい。
次回に続く。
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