【連載】チコちゃんに叱られる! 時計の針は右回りの理由/南半球の日時計/アナログ計器はなぜ右回り?
昨日に続いて、10月10日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は以下の3つの話題のうち最後の3.について考察する。
- 「痛い!」ってとき体の中ではなにが起きている?
- なぜ早口ことばを言うようになった?
- 時計の針が右回りなのはなぜ?
本題に入る前に1つ疑問に思ったのは、今回は生放送であったのになぜこの時計の話題が取り上げられたのかということであった。今回の1.では、痛みの電気信号の伝達が巨大ドミノ倒しで実演され岡村さんの頭上から金盥が落下するという緊迫感が演じられ、また2.の早口ことばでは、出演者がぶっつけ本番で新作早口ことばに挑戦していた。しかし3.に関してはビデオ解説が中心であり生放送という特色はどこにも活かされていなかった。単にネタ不足で補っただけなのか、3.に関して当初企画していた何らかの実験が直前に取り止めになったのか、大きな謎である。
ということで本題に入るが、放送では「エジプトで生まれたから」が正解であると説明された。時計の歴史に詳しい小池京子さん(時計メーカー学芸員)&ナレーションによる解説は以下の通り。
- 現在の時計は、紀元前5000年ごろ【年代は諸説あり】のエジプトの日時計が原形と言われている。
- 当時の日時計は北極星に向けて斜めに設置されていた。
- 日時計の針の動きを北側から観察すると、東から昇って西に沈む太陽【実際は懐中電灯】が作る針の影は右から左に時計回りに動くことが分かる。
- エジプトは北半球にあるため、【南方向を向いて】太陽を見ると東から西に動く。これに伴い日時計の針も右回りに動く。
- その後14世紀頃からヨーロッパなどで機械式時計が発達し、現在のような針が回る時計も誕生した。この時参考をしたのが日時計であり、これに合わせて機械式時計も右回りになった。
- 南半球では日時計の影は左回りに動く。もし南半球で機械式時計が作られていたら今と逆の左回りになった可能性があった。
念のため、南半球の先住民の遺跡で日時計は発見されていますか?とChatGPTに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
南半球の先住民の遺跡で、「日時計」として針を持ち、影で時間を刻む装置があったことを確実に示す証拠は、現在のところ確立されていません。一方で、太陽や日の出・日の入り、季節の変化など天文現象を観測・記録・儀礼用途に活用するための石配置などは、かなり古い例で存在しています
さらに南半球で観光用に作られた日時計があるかどうか尋ねたところ、以下のように紹介してもらった。
はい——あります。南半球の**オセアニア・南米・南アフリカ**には、観光名所として建てられた(または観光地になっている)日時計が複数あります。代表的なものを地域別に挙げますね。
◆**南米**
- **Quitsato(エクアドル)**:赤道上(またはその近く)に作られた大型の平面日時計で、観光地・解説施設になっています。緯度・季節に関する表示が組み込まれていて見学者が多いです。
- **El Ojo del Tiempo(アルゼンチン/メルロ)**:作家・彫刻家による記念的な日時計(大規模な水平・垂直表示を持つ)で、街の目玉として紹介されています。([ワンダーログ][1])
◆**オセアニア(主にニュージーランドほか)**
- **ニュージーランド各地の日時計群(例:Christchurchのローズガーデンの日時計、Whangareiのサンダイアルなど)**:公園や都市のランドマークとして設置され、観光散策のポイントになっています。ニュージーランドには「サンダイアル・トレイル(複数の日時計を巡るコース)」の例もあります。([Love letters understated][2])
◆**南アフリカ**
- **Napier(西ケープ)の巨大日時計**:町のランドマークとして「(国内で最大級の)垂直日時計」が知られています。観光案内にも載る地元名所です。([sa-venues.com][3])
* **ケープタウン:Company’s Gardenの日時計**(歴史的に設置された日時計が庭園内の見どころの一つ)。([Mindtrip][4])
◆### ひと言メモ
* これらは「遺跡としての古い日時計」ではなく、**近代以降に設置・整備され観光資源になっている日時計**が中心です(たとえばオーストラリアの古代的な石配列(Wurdi Youang)のような天文整列遺構は別カテゴリで、日時計そのものとは扱いが分かれます)。
もう1つ、アナログの体重計、調理用の測り、温度計、速度計などの針が数値が増えると右回りに動くのは同じ理由かどうか尋ねてみた。回答は以下の通り。
とても良い質問です。
結論から言うと――
👉 **アナログの計器(体重計・温度計・速度計など)の針が右回りで数値が増えるのは、時計の「右回り」が基準として定着したことの影響**です。
つまり、**直接の起源はエジプトの日時計**にあり、**他の計器類は時計の習慣を受け継いだ二次的な理由**によるものです。
◆### 🔹 ステップごとの経緯
- 日時計の影の動き(起源)
- 北半球(エジプト含む)で日時計を見ると、 太陽の動きにより **影が右回り(=時計回り)** に動きます。
- これが「時間の流れ」を表す自然な方向として認識され、 後の機械式時計でもその方向が採用されました。
→ つまり、**時計が右回りなのは自然現象(影の動き)由来**です。
- 時計が「基準スケール」になる
- 機械式時計(14世紀以降)は日常生活の基本道具となり、
- 針が右に動く=値が増える」という感覚が人々に定着しました。
- そのため、**他のアナログ指示計も見た目の整合性をとって右回り**に。
- 計器の設計上の理由(補足)
- 時計と同じ方向に針が動くほうが**視覚的・心理的に「自然」**に感じられる。
- 機械的にも、右回りを基準にした歯車設計が既に確立していたため、 そのまま転用したほうが製造も簡単でした。
- ### 🔹 例外もある
- 一部の**航空計器**や**オーディオのVUメーター**などでは、 針が**左回り**に動く設計も存在します。
これはスペースの都合や見やすさの理由によるもので、「右回り=増加」が絶対ではないことも示しています。
- ### ✅ まとめ
| 対象 | 右回りの理由 | 起源 |
| ------------- | --------------------------- | -------------- |
| 時計 | 北半球の日時計の影が右回りに動いたため | エジプトなどの日時計 |
| 体重計・温度計・速度計など | 時計と同じ方向にすることで直感的・統一的に見やすくした | 時計の影響(間接的に日時計) |
したがって、
> アナログ計器の針が右回りで増えるのは、エジプトの日時計そのものが原因ではなく、**時計が右回りであることを模倣した結果**です。
言い換えると、**「時計が右回りだから他の針も右回り」**という文化的連鎖が起きた、というわけですね。
最後の「文化的連鎖」という考え方は重要であると思う。チコちゃんの番組では「○○の由来は?」という話題がしばしば取り上げられるが、大概は、
- A:大昔に似た風習があった。
- B:江戸時代に一般庶民に広まった。
- C:現在も受け継がれている。
という形で解説されているが、Aに関していくら古い時代の証拠が揃ったとしてもそれがBと無関係であればルーツとは言えない。さらにCについては、今でもなぜCが盛んに行われているのかについて現在の環境の中に原因を探す必要がある。
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