じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 胡蝶蘭の花(右側)が咲き始めた。花数は少ないが一年がかりで育てただけに嬉しいものだ。左側は先日いちど紹介したデンファレ。



2月25日(日)

【思ったこと】
_10225(日)[心理]象牙の塔とアクション・リサーチ(8)ちょっと変えてみること、ちょっと止めてみることの意味

 2/23の日記2/24の日記を通じて、次の点を指摘した。
  • 日常生活場面で、今までと違う何かを始めてみるということが、ごく初歩的な意味での実験操作にあたっている。
  • もともと、実験的方法というのは、日常生活行動の有効性を検証するツールとして確立されたのではないだろうか。「実験的方法を日常生活場面に応用できるか」などというのは、物事の成り立ちを逆立ちして捉えるような議論である。
  • 日常生活場面における実験では一般性のある情報は見出しにくい。しかし再現性が保証されるのであれば、固有の枠内で、ある介入についての包括的な有効性を検証することができる。
 これに限らず、「ちょっとやってみる」、「ちょっと変えてみる」、「ちょっと止めてみる」ことは、現状を点検する有効なツールである。実験という自覚があろうと無かろうと、日常生活場面で我々はすでにそれを使っているのだ。例えば
  • 海外旅行に行くというのは、ご近所や職場というしがらみを一時的に除去する実験操作である。
  • 大学卒業後、フリーターになるというのも、自分に本当に向いた仕事を探すための実験操作であるとも言える。
  • 一年間の単身赴任生活をすることは、家族や夫婦関係を点検する実験操作になりうる。
  • 会社から一年間のボランティア休暇をもらうということは、会社という就労環境を点検する実験操作である。
 上記のようなケースは、しばしば「自分をみつめる機会」、「自分探しの旅」などと呼ばれることがあるが、本当のところは、現状とは異なる環境に身をさらすことで、生活環境が自分の行動にどういう影響を与えていたのかを包括的に点検できるからこそ、自分が見つかった気分になるのである。



 ところで、2/24の日記でとりあげた家庭教師を雇用する話には「Aさんが交通事故に遭い2カ月ほど休むことになった」という部分、つまり、介入が中断されるという条件が入っていた。その時にもふれたように、これは条件の交替に任意性が無いという欠陥を除けば、単一被験体法の中の「A-B-A-Bデザイン」という実験手続に一致している。具体的には、「家庭教師を雇わない」という初期の状態(A1)、「家庭教師を雇った状態」(B1)、「家庭教師が一時的に来られなくなった状態」(A2)、「家庭教師が再び来られるようになった状態」(B2)というように、「A」というベースライン条件と「B」という実験条件が交替している。このうちのA2という第二ベースライン条件には、改善効果が単純な時間経過あるいは全くの偶然によるものでないことを検証する効果がある。A2条件において一時的に改善が停滞するか、もしくは望ましくない方向に一定程度後退するという事実が確認されれば、それだけ偶然変化と取り違えるリスクを減らすことができる。

 しかし、いったん改善が進んだのに、なぜ後退をさせてまで「A2」条件を挿入しなければならないのか、学問的方法としての実験ならともかく、日常生活場面や実践場面で包括的な有効性を確認するだけであるなら、不要ではないかという議論も出てくる。

 実際のところ、例えば
  • この大学が適しているかどうかを実験的に確かめるために入学し、退学してみる
  • この会社で仕事することが最適かどうかを実験的に確かめるために入社し、退職してみる
  • 独身生活が最良の人生であるかどうかを実験的に確かめるために結婚し、離婚してみる
というのは理論的には可能であるが、人生が短いことと周囲に及ぼす迷惑を考えると現実には実行困難であるし、無理にすべきでもない。また、入学や入社や結婚が当初は不本意で不適合のものであっても、そこでの環境や関わり方を変えることで、全く異質な新条件を創造することもできる。このあたりが、操作要因を安定的、不変のものとして捉える実験室実験と大きく異なる点であると言えよう。

 次回は、包括的な有効性と分析の意味の関係、教育活動と実験的方法の関係についてさらに話を進めていく予定。
【ちょっと思ったこと】

合格電報屋の謎の持ち物

 前期試験が終わった後、建物の出口付近で受験生に合格電報の勧誘をしているグループを見つけた。受験終了時とは言え部外者の構内立ち入りは禁止されている時間帯である。さっそく事務ルートで警告を依頼した。受験生に白い用紙を手渡している男はどうも見覚えがある。あとで、過去日記を調べてみたら99年12月3日の日記で私が怒鳴りつけた男(写真左)とそっくりであることが確認できた。それにしても、構内まで入り込んできて勧誘するとは図々しい奴らだ。

 その後、警備担当者から警告を受けて退散する。グループは全部で3人。バイク置き場に隠してあった荷物を担いで出口のほうに消えていった。私が分からなかったのは、彼らが3人とも釣り竿を入れるような円筒形の細長いバッグを運んでいたことだ。あの中には何が入っていたのだろうか。どなたか情報があればお教えください。

 それにしても、見知らぬ男たちに、受験番号と住所・電話をあっさり教えてしまうとは......。緊張しているとは言え、問題を解く技術は十分に磨いてきた受験生たちであろうが、個人情報を守る術はまだまだ身につけていないようだ。



廃棄されるものと、造られるもの

 2月25日の18時22分過ぎ、雪雲の間を西から北北東方向に進むミールを、さらに、18時46分過ぎ、先ほどのミールよりやや高い位置で国際宇宙ステーション(ISS)を眺めるた。両方の宇宙ステーションを同じ時間帯に、同じ方角の空で眺めることができたのは初めての経験であった。近くの星と比較すると、ミールもISSも、土星より明るく木星よりは暗いレベル。高度の関係もあるがISSのほうが若干明るく見えた。廃棄されるものと造られるものの競演である。

 周知のようにミールは3月中旬以降に廃棄される。その際、海面上に落下する最終軌道が関西上空を通過するということで、一部で危険性が取りざたされている。もっともゼッタイ安全であるならば、大彗星出現なみに希有な一大イベントとして天文マニアから注目されるかもしれない。全国各地の最新の観測情報は三島さんの予報サイトで入手できる。