じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡山は今日も雨。ヒキガエルも、雨はウンザリという顔をしている? |
【思ったこと】 _60719(火)[心理]「早生まれ」は学歴で不利か? 数日前のニュースになるが、朝日新聞に ●「早生まれ」は学歴でも不利? 一橋大院助教授が調査 という見出しの記事があった。 「早生まれと遅生まれのどっちが得か?」については、ずいぶん前になるが1998年1月24日の日記で取り上げたことがあった。また、「星占い」に関連して、 【星占いそのものは何の根拠も無く考慮に値しないが】6月に生まれて、2〜3ヶ月のあいだ蚊帳の中で扇風機にあたりながら育った人と、11月に生まれて、厚い毛布にくるまれて育った人では、多少行動傾向に違いがでるかもしれませんけれど...。などと述べたことは何度もある。早生まれか遅生まれかということは、生まれた直後ばかりでなく、幼稚園や小学校での身体の大きさの違い、あるいは、発達の段階にも差をもたらすため、影響が全く無いとは言えない。少なくとも義務教育段階で、生まれた月日によって学年が原則的に固定されてしまうというという現状にあっては、その影響を的確に把握し、必要な方策をとることが求められていると思う。 さて、字数の限られた新聞記事ではありがちなことだと思うが、今回の記事は、素直に読めば ●早生まれの人は、小学校のころは成績が低くなるとされてきたが、4年制大学卒業の比率においても有意に低く、高等教育においても不利である可能性がある というようにも受け止められない可能性がある。あくまで記事で伝えられた内容に限ってのコメントであるが、調査自体の妥当性や結果解釈上の問題点をいくつか挙げてみたいと思う。 まず、調査自体の妥当性であるが、記事で伝えられた結果は となっている。 そこでまず疑問に思うのは、調査対象者が25歳から60歳までの男女というようにきわめて広範囲の年齢にわたっている点である。周知のように大学の進学率は、60歳の人が受験した頃(2002年のデータということなので、おおむね45〜6年前)と、25歳の人が受験した頃(おおむね10〜11年前)では大きく異なっている。それに加えて、入学定員の増加、18歳人口の増減などが影響を与える可能性がある。特に「少子化、全入時代」という昨今にあっては、仮に「早生まれ」であるために教育上の不利益を受けたからといって、4年制大学に入りにくくなるということなどはあり得ないと言ってよいだろう。 そのさい言えることは、「早生まれ」の人たち全員が受けた影響が反映する部分のほか、ある種の「早生まれ」の人たちの特殊な事情が反映している可能性も考慮しなければならないという点である。 その1つとして、子どもの誕生月が両親の都合によってある程度コントロールされている可能性を挙げることができる。例えば大学教員の女性が計画的に出産しようと考えた場合は、年度の終わりの1〜3月期に休暇をとって同僚に負担をかけるよりは、新年度以降の7〜9月期にじっくり休みをとって出産・育児に専念し、10月から職場復帰を考える人も多いに違いない。そういう家庭では、母親が大卒であることからして、子どももそれだけ大学進学を志向する可能性がある。そういう人たちが何%かを占めていれば、結果的に7〜9月頃に生まれの大卒率を上げることにつながる(←記事の中のグラフでは、7〜9月生まれの男性にピークがあるようにも見える)。全入時代の今は別として、30〜40年前なら、そのことがかなりの影響を及ぼした可能性は否定できない。 「早生まれ」であることが教育上の不利益を受けるかどうかを調べるのであれば、例えば
私個人としては、「早生まれか遅生まれか」ということが学力そのものに影響を与える可能性は、せいぜい小学校低学年までではないかと考えている。但し、早生まれであることによって、幼少時に「ガキ大将」よりは「子分」になる可能性が高く、また同一学年の中で相対的に背が低いことによっていろいろな屈辱を受けることがあれば、それらは後の行動傾向(リーダーシップ、ソーシャルスキル、興味対象、異性観...)に大きな影響を及ぼすに違いない。ちなみに私自身は10月生まれではあったが、背が低かったことでいろいろ屈辱を味わい(1998年2月10日の日記参照)、そのことへの反発が後の人生に大きな影響を与えた。 |