じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



05月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
 5月26日早朝の岡山は、旭川方面が深い朝霧に包まれ、龍ノ口山の頂上付近が雲の上に浮き上がっているように見えた(05時24分撮影)。なお、龍ノ口山の手前の塔は薬学部。その右手は岡大・本部棟。



5月25日(日)

【思ったこと】
_80525(日)[心理]いまどきの地域通貨(3)「交流=性善」説は成り立たない

 5月23日の日記に述べたように、現在、日本国内で、活発な活動が継続し定着している地域通貨は、ごく僅かにとどまっているように見える。じっさい、3年ほど前に「地域通貨は曲がり角?」と指摘(2005年8月21日の日記参照)されて以降、特に目新しいニュースは入っていない。

 そのいっぽう、地域通貨に類似したポイントサービスは、いまから30年ほど前には、「グリーンスタンプ」や「ブルーチップ」といった共通スタンプに限られていたが、現在では、各種クレジット会社、航空会社、量販店、生協、レンタル業など、各種業界がこぞって導入し、異業種のサービスへのポイント移行も可能となっている。最近では、




 5月22日の日記にも書いたように、地域通貨は、ある限られた地域において
  1. 高齢者福祉:お年寄りと若者との交流の促進など
  2. 環境保護:循環型消費、温室効果ガス削減など
  3. 地域商店街の活性化
などに効果があるとされてきた。

 このうち1.については、
  • 「地域通貨で支払う」ということによって、お年寄りは遠慮せずに種々のサービスを依頼することができる。
  • 「地域通貨を稼いでいただく」という形で、お年寄りに社会参加を促すことができる。
  • 交流の輪を広げ、知り合いを増やすことができる。
といったメリットがあると指摘されており、行動分析学でいうところの「好子(コウシ)」としてちゃんと機能するのであれば、とうぜん、活動は強化され活発化していくはずである。もし障壁があるとしたら、おそらく、
  • 若者たちは、お年寄りの知恵を必ずしも必要としていない(有用な知恵は、テレビのクイズ番組やネット記事として紹介されるので、必ずしも面談で聞き取る必要はない)。
  • 地域通貨は、出会いの場を作るきっかけとしては有用であるが、一旦知り合いになってからの交流には、通貨の支払いは不要である。
  • 人的交流は時として想定外のトラブルをもたらす。「交流=性善」説は成り立たないのではないか。
といったことが考えられる。

 特に大都会にあっては、人的交流の輪は多重でありきわめて入り組んでおり、交流の輪を地域通貨という流通範囲で囲い込むことには限界があるし、それを推進しようとすると逆に煩わしさを与えるだけになってしまう恐れもある。これは、地域通貨の問題というより、地域活動一般の問題であり、地域の町内会や子ども会活動の問題としてとらえたほうがよいかもしれない。

 次回に続く。