じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



05月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§
 日の出直後に出現する「偽太陽」。写真上は、本部棟のガラスに反射する太陽と岡大・石庭。写真下は旧・事務局棟に反射する太陽。

 2011年10月20日の日記に、日の入り前の「偽太陽」の写真を掲載した。その時の現象は、西南西の方向からの夕日が建物の窓ガラスなどにあたって反射し、ホンモノと合わせて2個の太陽が見えていた。

 今回は、日の出直後であるため、ホンモノは東側(背中側)、「偽太陽」は西側に出現する。このような現象は原理的には一年中見られるはずであるが、建物の南東側を歩いている時に見える時期は、日の出の方位が北東、つまり5月中旬から7月下旬頃の時期に限られるのではないかと思われる。



5月10日(木)

【思ったこと】
_c0510(木)「めんどくさい」とは(2)

 昨日の日記で引用したように、「めんどくさい」と感じるのは、
  • (1)「やろうと思っているのに手がでない」場合
  • (2)「やっているけど嫌々」という場合
の2通りに分かれる。このほか、東京ガス都市生活研究所の各種レポートなどにあるように、
(3)日常生活諸行動に関しては、時間や手間のかかる作業を面倒だと感じる

という資料もあるようだ。

 行動分析学から言えば、上記の3タイプには、
  1. 一連の行動に必要なオペランダムが用意されていない。
  2. 一連の行動を開始する際のスタート段階の行動がうまく強化されていない。
  3. 一連の行動の途中段階で強化される機会が少なく、かつ最終結果まで遅延がある。
  4. 一連の行動がその行動が、「好子消失阻止の随伴性」や「嫌子出現阻止の随伴性」だけで強化されており、かつ確立操作がうまくできていない。
といった共通の原因があるように思う。

 例えば、ノートパソコンで文書を作成するのが面倒だというケースを考えてみる。ノートパソコンが机の引き出しに収納されていて使うたびにACアダプターやLANケーブルを繋がなければならない状態にある場合と、最初から机の上にノートパソコンが置かれていて、電源ボタンを押すだけでいつでも使える状態にある場合を比較すれば、明らかに前者のほうがめんどくさいということになる。この場合のオペランダムはノートパソコンであり、上記1.のケースに相当する。

 次に大学の図書館で調べ物をするというケースを考えてみる。その図書館が、研究室から何百メートルも離れていてしかも階段の上り下りをしなければ鳴らない場合と、研究室と同じ階にあって、ほんの数分歩けばいつでも行かれるという場合では、前者のほうがめんどくさいということになる。前者の場合、調べ物をするという一連の行動のスタート段階で必要となる「図書館まで歩いて行く」という行動をうまく強化することが必要である。

 上掲3.は、例えば1年後の入試を目指して受験勉強をするような場合があてはまる。合否という最終結果は1年後にならないと与えられないため、日々の受験勉強自体は面倒な作業の積み重ねということになる。そのさい、模試で良い点をとるとか、合格可能性がアップするというような途中の結果が随伴すれば、その分、めんどくさいと感じる度合いは減ってくるはずだ。

 上掲4.は、「やっているけど嫌々」の本質である。但し、刑務所、捕虜、かつての奴隷などが強制的に働かされている場合はおそらく面倒だという感想は出てこないであろう。チベットやアフリカ乾燥地帯のような過酷な自然環境のもとで、生き延びるために精一杯頑張っている人たちも、働くのが面倒だとはおそらく言わない。要するに、「面倒だ」と感じるのは、「好子消失阻止の随伴性」の場合の「好子」、あるいは「嫌子出現阻止の随伴性」の「嫌子」に対する確立操作が不十分であるか、もしくは、直接効果的に強化されていない場合に限られているのではないかと思う。例えば、防災訓練なども、自然災害の少ない地域で実施すれば面倒だと思われてしまうが、大地震、津波、台風などの被害があった直後であれば、それらの嫌子に対する確立操作が十分に機能しているため、みな真剣に訓練に取り組むはずである。

次回に続く。