じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 金星と「岡大観音」。10月24日(水)05時39分頃撮影。金星はマイナス4.0等星で、4月末の最大光度マイナス4.5等よりはいくぶん暗くなり、かつ、毎日少しずつ高度(仰角)を下げている。もっとも、地平線に近い分、地上の景色と一緒に撮りやすくなってきた。

 「岡大観音」については以下の記事ほかを参照。

10月24日(水)

【思ったこと】
_c1024(水)第5回日本園芸療法学会in 岐阜(3)園芸療法・園芸福祉学の研究方法論(2)患者から離れる療法/ゆったりと伴う結果

 昨日の続き。

 「園芸療法・園芸福祉学の研究方法論」と題するY氏の講演の内容は、「保健医療の主要な趨勢」、「質的研究のすすめ」、「脳科学」、「園芸療法は時間が重要」、「心理的well-being尺度」、「Forecasting、仮説論証型研究」、「病院の窓の外の緑に関するUlrichの研究」()など非常に盛りだくさんな内容になっていた。
Ulrich, R. S. (1984). View through a window may influence recovery from surgery. Science, 224, 420-421(April 27).

 そうした中で参考になった点としては、まず、植物と患者とHT(園芸療法士)の三者をめぐる螺旋モデルである。園芸療法は最終的には、患者自身がHTから離れた環境で植物と関われるようになることを目ざす。それゆえ、いつまでも患者にべったり寄り添うような援助であってはダメで、しだいに患者から離れつつ、植物との関わりが発展していくような「開放」の段階を含んだ螺旋状のモデルが提唱されている。また患者の自立度を測る方法も課題であるというようなお話であった。このあたりは、リハビリテーションの一環としての園芸療法と、病気の回復が見込めなかったり、介護を必要とする高齢者を対象とした園芸療法ではかなり変わってくるとは思うが、アメリカ型の福祉の発想を前提とすれば、やはり、自立に近づけることが第一となるのであろう。

 次に脳科学の話題では、大脳皮質から線条体の下部を通る「情動ループ」と上部を通る「認知・運動ループ」があること、セロトニンが長期報酬予測機能を調節しているといった話が参考になった。私自身も何度か強調しているが、園芸が他の活動といちばん違う点は、行動に対する結果が直後には伴わず、植物の成長、開花、収穫、...というようにじっくりと進行していくという点である。行動分析学では直後に結果が伴うことが重要であると言われているが、園芸活動における強化は、決してそれに限るものではない。水やり行動が強化されるのは、決して、水やりの直後に「ありがとう」と声をかけられるからではなく、毎日水を与えることで、植物がゆっくりと成長し、開花や結実に至るプロセス全体にある。

 次回に続く。