じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
文学部中庭と半田山の新緑。昨年のほぼ同時期と比較してみたが、違いは、今年は中庭の花壇にパンジーが植えられていることと、メタセコイアが少し枝を伸ばしていることの2点程度。桜やクスノキの殆ど変わっていない。 |
【思ったこと】 140506(火)長谷川版「行動分析学入門」第5回(4)好子出現の随伴性による強化(4)習得性好子(1) 前回まで、生得性好子についてお話をしてきました。生得性好子というのは「生得性」の名前の通り、特別の経験を必要とせずに好子になっているようなモノや出来事のことを言いますが、これに対して、中性的なモノや出来事が何らかの経験によって好子になった場合、これを「習得性好子」と呼びます。 実は、「生得性好子」と思われているモノや出来事も、習得性好子との複合体であるという事例がしばしば見られます。例えば、
さて、それでは、中性的なモノや出来事【もともとは、その人の行動に何の影響も与えなかったようなモノや出来事】は、どのような経験を経て習得性好子になるのでしょうか? その最大の必要条件は、生得性好子、あるいはすでに習得性好子となっている別のモノや出来事と対提示されることです。杉山ほか(1998、『行動分析学入門』産業図書)のように、対提示されることを、習得性好子の定義に含めている入門書もあります。 【習得性好子とは】他の好子と対提示されることで好子としての機能を持った刺激、出来事、条件 ちなみに、この「対提示」というのは、レスポンデント条件づけにおいて、中性刺激と無条件刺激を繰り返し同時提示するのと同じ操作を意味しています。但し、そのときにもお断りしたように、レスポンデント条件づけというのは、あくまで「レスポンデント行動」を主人公とした法則です。生得性好子と対提示することで中性的な刺激が習得性好子になるというプロセスは、特定のレスポンデント行動には言及していませんので、それだけではレスポンデント条件づけとは言えません(※)。 [※補足説明]食べ物と特定の音を対提示すると、その音が習得性好子になる可能性はあります。また、その際の唾液分泌の観察から、その音が唾液分泌を誘発する条件刺激になったことが確認されるかもしれません。つまり、対提示は、 中性的なモノや出来事が、対提示【日常場面であれば、「同時出現」という体験】だけで習得性好子になるのかどうか【=十分条件を満たすかどうか】については、まだまだ議論が必要です。しかし、少なくとも、習得性好子になるための必要条件であることは間違いなさそうです。 次回に続く。 |