【小さな話題】
- アメリカ版ドラえもんはどうなった?
金曜日の19時頃にTVのスイッチを入れたら、BS朝日でドラえもんのアニメがちょうど始まるところであった。私の住んでいる岡山では現在、ドラえもんのアニメは、
- KSB(瀬戸内海放送)で毎週土曜日の17時〜17時30分
- BS朝日で毎週金曜日の19時〜19時30分
というように週2回放送されており、1.が放送された翌週の金曜日に2.で再放送されるというスケジュールになっているようである。
ドラえもん関連の話題については、このWeb日記では、
などで取り上げたことがあった。
今回たまたま放送されていたのは「「ハイキングに出かけよう」「風神さわぎ」という内容であったが、ま、ドラミちゃんが出てきたところは久しぶりであるとはいえ、話の展開はいつも通りであり、偉大なるマンネリであるという印象は拭いきれなかった。
とはいえ、1973年以来三度のアニメ化が行われており、ウィキペディアのエピソード一覧によれば、今回の「ハイキングに出かけよう」は1247話、「風神さわぎ」は1248話であるというからスゴイ。それぞれの時代において、子どもたちに夢を与え続けていることは間違いない。
ところでこのドラえもんだが、日本国内ばかりでなく、東アジア地域など35の国と地域で放送され、原作の漫画も含めて大人気となっているという。ところが、アメリカでは長らく放送されてこなかった。こちらによれば、その理由は、
「強いスーパーヒーローのアニメが多いアメリカで『ドラえもん』のようなアニメは受け入れられないのではないか」(テレビ朝日広報部)という意見があったからという。さらに、勉強も運動も苦手で、自分であまり努力せず、お人好しで優しいだけの「のび太」のキャラクターは、自己主張の強いアメリカの人々には愛されにくいだろう。
と推測されている。またこちらの記事【一部、長谷川により改変・省略あり】では、
- アメリカでは子供向けのTV番組や出版物に関しては、極めて保守的な考え方があるからです。特に思春期前の子供たちを対象としたものはそうで、その社会の「善悪の価値観」から外れたものは「この年齢では与えない」ということになっている。
- 「のび太」という主人公が子供たちの「ロール・モデル」にならない。何よりも「自信なげで怠惰」というキャラクターが失格ですし、また「のび太が困った時にはドラえもんの特殊能力に依存する」というパターンも自立心を養う上でダメ。
- 「お母さんの叱り方」が表面的で愛情不足。
- 「ジャイアンなどのいじめ的行動」への全否定ができていない。
- 「しずかちゃん」の描き方にジェンダー上のステレオタイプがある。
- 全体的には「1つの理念に貫かれた空間」が成立していないということが最大の理由だと思います。アメリカ社会が「小学生レベルの子供に示したい」価値観から外れてしまっていた。
などが指摘されていた。
もっともアメリカ社会でも価値観の多様化が進み、ドラえもんが描く日常社会を頭ごなしに否定したり放送禁止を主張する声も以前ほどには高まらなくなってきたようである。
とはいえ、2014年にアメリカ向けローカライズ版アニメ『Doraemon Gadget Cat from the Future』が放送された際には、
- 食事シーンでは箸がフォークに
- しずかちゃんは「Sue(スー)」という呼び名になり、より活発な女の子に
- しずかちゃんの入浴シーンはカット
- 顔を墨で真っ黒に塗られるシーンは緑色に塗られるシーンに差し替え(人種差別を避けるため)
- 健康的な食生活を推進するという規則に従ってのび太が食べるおやつがフルーツになる
- ドラえもんはタヌキではなくアザラシに間違えられる。
といった改変があったという。
このアメリカ向けローカライズ版が放送されたということは以前にも耳にしたことがあったが、これは2014年頃のことであり、その後どうなったのかはよく分からなかった。
アメリカ向けローカライズ版は、その後日本でも有料のディズニーチャンネルで放送されたり、YouTubeで無料公開されたこともあったようだが、著作権の問題などから、2022年現在では、無料の閲覧は困難なようであった。
そんななか、英語音声、ベトナム語字幕の第一話が見つかったので、ざっと視聴してみたが、日本語のオリジナルアニメに比べると、なんだか早口で騒がしく、結局のところ、ドラえもんから便利な道具を出してもらってあまり努力せずに願いを叶えるというようなパターンだけが強調されているような感じで、あまり面白くなかった。
どっちにしても、2014年当時にローカライズされたのはごく一部(26話限り?)であり、その後いっこうに「アメリカで大人気」といったニュースを聞かないことから、結局大した人気を得ずに撤退したのかもしれない【未確認】。
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