じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園で見つけた赤とんぼの一種。シオカラトンボなどに比べると1/3くらいの大きさだったので、ひょっとしてハッチョウトンボか?と思ったが、そこまで小さくなかった。ネットで検索したところ、マイコアカネがいちばん似ているように見えた。


2024年10月16日(水)




【連載】チコちゃんに叱られる! オノマトペについての雑学(2)擬態語の定義、漢語由来の4モーラ

 昨日に続いて、10月11日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。引き続き、

●胸がドキドキ 雷がゴロゴロ なんで繰り返すの?

という話題の発展として、日本語のオノマトペについて考察する。

 まず、「ドキドキ」のように4モーラ、かつ2モーラの音「ドキ」を繰り返す擬音語・擬態語がどのくらいの比率にのぼっているか調べてみた。ちなみに、放送では

●4万7000語の日本語についてモーラ別に頻度を調べたところ4モーラが38.8%で一番多かった。

というグラフが紹介されていたが(10月14日の日記参照)、これはあらゆる日本語についてのデータであって、「ドキドキ」のような2モーラ×2=4モーラの擬音語・擬態語が特別に多いかどうかを証拠づけるものではなかった。

 ということで、こちらに掲載されていた277語のうち2モーラ×2=4モーラの語数を手作業で数えたところ、全部で217語、全体の78.3%という圧倒的な比率であることが確認できた。なお、4モーラは必ずしも4文字の語ではない。今回は「オギャーオギャー」や「ピーポーピーポー」も4モーラとしてカウントした。

 ところでリンク先のリストの中には、一部、これも擬態語だろうか?と首をかしげるものもあった。いくつか挙げてみると、
  • あつあつ:「熱」を2文字重ねただけではないか?
  • あっさり:「浅し」に由来するという説もある。こちらに関連文献あり。
  • うっかり:「浮かり」が語源という説もある。
  • さっぱり;語源は未詳だが、語形・語義の両面において「さはやか」の「さは」と同根ではないかと考えられる。「さは」の強調語形として促音を挿入し、「は」が半濁音化した「さっぱ」となり、「り」が添加した形と考えられる。【精選版 日本国語大辞典精選版】
  • そっくり:こちらに詳しい考察あり。
  • てきぱき:こちらに詳しい考察あり。
などとなっていた。擬態語の定義にもよるが、まず語源があってそこから派生した副詞や形容詞をすべて擬態語に含めると焦点がぼけてしまうように思える。例えば、「あつあつ」を擬態語に含めるなら、「黒々」、「青々」、「赤々」も同様に含められるはずだが、そのことによるメリットは少ないように思う。

 このことに限らないが、日本語では、漢字2文字を繰り返す言葉が少なくない。Copilotに「早々、刻々と、転々と、点々と、延々と、はそれぞれ中国語ではどのように訳されますか?」と尋ねたところ、
  • 早々は「早早」
  • 刻々は「時時」
  • 転々は「転転」
  • 点々は「点点」
  • 延々は「綿綿」
というように、全く同じ2文字が使われている場合があるという回答をいただいた(簡体字は日本の漢字に置き換えた)。
 こうしてみると、放送では、
  • 日本語を話す人にとって4モーラのリズムは心地良いと言われている。
  • 日本語は4モーラの言葉が多い。
というように解説されていたが、「4モーラかつ2モーラ繰り返し」の言葉には漢語由来のものが相当数含まれている可能性もあるように思える。

 次回に続く。