【連載】最近視聴したYouTube動画(29)印象に残った年金インタビュー(1)計画的無年金者、元・大学教授、塾講師&家庭教師、刃傷沙汰、「人は天をもって人を知らず 人をもって人を知らず」とは?
昨日に続いて年金インタビューの話。今回は過去1ヶ月以内に視聴したインタビューの中で特に印象に残った動画について感想を述べさせていただくことにしたい【準不同】。私の関心事は、年金がいくらかということよりも、同じ世代の人たちがそれまでにどんな苦労をされ、いまをどう生き抜いているのかということにある。本日はそのなかの5本を取り上げる。
- 【梅子の年金トーク!】【年金いくら?】42年間1円も年金納めず…計画的無年金者62歳の年金インタビュー
このインタビューには驚いた。国民年金は20歳以上の国民すべてが加入しなければならないとされているのにどうやって逃れることができたのか謎であった。こちら【但し平成29年】によれば、じっさいに年間10万件以上の最終催告、6万6000件の督促、年間1万4000件の差し押さえが行われているというから逃れられそうにもない。もっともそのわりに1/3が未納というのはこれまた凄い。
法律的な問題を別にすれば、保険料は納めずに億単位の金融資産を築くというのも1つの老後対策かもしれない。じっさい、老齢基礎年金は満額では月額6万8,000円(2024年)であるというが、その程度の金額で生活できるわけがない。介護保険を天引きする手段ではないかと思えてしまうほどだ。
もっとも、仮に任意加入であったとしてもちゃんと払っておいたほうがいいと思う。一番の理由は万が一事故などで障害者になった時に障害基礎年金を受け取れるから。額は少なくても月額85000円(2級は68000円、いずれも2024年度)というのは大きい。
- 【年金と暮らし】69歳「歌舞伎役者の兄で凄腕講師だった男性の貯金と年金額は...」年金インタビュー
小さなアパートを借りて独身で独りぐらしをされているという。予備校の非常勤講師や家庭教師で生計を立てていたため厚生年金はゼロ。もともとは大学の研究室におられたが研究者の道には進まず(進めず?)結果的にこういう道を歩まれたようだ。
私自身も大学院を出てから6年間常勤職には就けず実質「6浪」を体験したので【3月20日の日記参照】、このあたりの苦労はよく分かる。
- 【シニアインタビュー】シニア生活!78歳元大学教授 現在は主夫業に従事 98%の家事をこなす...
元・経済学部教授。国立大学に就職されたあと、新設の私立大【←設置審にかかったということなので国立大?】に引き抜かれ、その後42歳で教授、70歳の定年まで在職されていたようだ。私と同じような生活をされていたと拝察するが、常勤職の期間が長くまた給料の高い私立大に長くおられたので、私よりは遙かに多額の厚生年金を受け取っておられるはずだ。
ということでお話しされていた内容はよく理解できたが、私より7年ほど年長であり、昇格人事や教員の個人評価などは私の時代よりはもう少し緩かったような印象を受けた。
- 【梅子の年金トーク!】【年金いくら?】99歳の母を介護しながら…元魚屋72歳と建設業70歳が話す年金の現実
前半部分のみ感想を記す。登場された元魚屋さんは11ヶ月前に72歳ということなので私と同学年もしくは1歳年上ということでほぼ同世代。
詳しくは語られなかった(もしくはカットされた)が、刃傷沙汰の経験もお持ちで波瀾万丈の半生であったようだ。大学に入ってから1年間、大学紛争で授業が全く無かったという話をされておられたが、このことは同世代の私もよく分かる。もっとも当時の授業料は1ヶ月1000円であり、興味の無い科目はレポート提出だけで単位が取れたので、私自身は「授業料だけしっかり取られているのに授業が無い」というのはむしろ好都合であった。もっともご指摘にあったように、当時の若者はもっと政治に関心をもっており自分たちの力で政治が変えられると信じていた。今は「なったらなったでそれに従いましょう」になってしまった。
- 年金のホンネ!【老後インタビュー】【年金いくら?】過酷な環境で働き続けた男性…メンテナンス業79歳の年金インタビュー
背景の看板から大阪・天神橋筋商店街で取材されたと推測できた。これまで拝聴した動画の中ではいちばん豪放・闊達な印象を受けた。いまはビルのメンテナンス。年金自体は生活費に回しており、ご本人の遊興費はへそくり(440〜450万)から出ているという。
インタビューの途中からは、以前、船乗りをしていたという話になり、貴重な体験談が語られた。
最後の「もしも1億円貰えるか、20歳の頃に戻れるか、どっちがいいですか?」という質問に対しては以下のように語られた。
●俺は20歳やで。金には換えられん、年代は。俺20歳の時代に帰れるとしたら、一生懸命勉強して大学行きたかった。大学行っていろんなことを勉強したかったな。お金なんて要らん。金は後から付いてくるもんや。学業は後から付いてきへん。ホンマ、ワシは勉強したかったな。未だに思うわ。【勉強したかったのは】言うたら法科やな。法律の勉強したかって、弁護士のような仕事をして弱い者の見方、弱い弱者の人の味方をしてあげたいな。というのは何でや言うたらね、日本人1億2500万の人間があるんやんか。そん中で平等に扱われているか扱われていないかもの凄い差があるやん。だから人間ていうのはね、あの人が言うたやろ。福沢諭吉が、うちのおじさん【←おやじギャグ】。「人は天をもって人を知らず 人をもって人を知らず」。だから人間はみんな平等やって。その平等の原則をな、もっと知らせてみたいと思うのは、ワシそうやな、弁護士としてやってみたいなあ。勉強して法学士の試験受けて司法士になって、それはやってみたいなあ。1億円要らん。ほんな金にね集まる人間はね、ろくな人間やない。人間には精神的な面と物質的な面とがあるわけよ。精神的な面はね、目に見えへん、失うものがないねん。物質的には目の周りにある、ものが集まる、失う可能性がある、取られる、それをなくしないように自分の側で【自分で抱え込むようなポーズをとって】こうしちゃがるわけや。物質的には必ず失うしものに取られたりする、それを守ろうとする、それがアカン。だからワシは精神的なものが大事やなと思う。覚えとってな。
ということでとりあえず5人の方のインタビュー動画について感想を述べさせていただいた。この中では、5番目の79歳の方のお話が特に印象に残っている。なお、余計なツッコミを入れさせていただくが、念のためCopilotに尋ねたところ、「人は天をもって人を知らず 人をもって人を知らず」というのは福沢諭吉の名言としては確認されておらず、Copilotの解釈は以下のようになっていた。
この言葉には、深い哲学的な意味が込められているようです。「人は天をもって人を知らず」とは、「天」すなわち宇宙や自然の摂理、あるいは運命といった大きな力を通じて人の本質や心を理解するのは難しい、ということを指していると解釈できます。一方、「人をもって人を知らず」は、他者を通じてもまた、自分自身や他人の本質を完全に理解することは難しい、という意味に捉えられるでしょう。
この言葉全体から、「人間の理解には限界がある」という謙虚さや、「人や自然に対する敬意を持つべきだ」という教訓が感じられるのではないでしょうか。あなたがこの言葉にどんな思いや背景を持っているのか、とても興味があります。さらに掘り下げてみましょうか?
さらにChatGPTに尋ねたところでは以下のような回答をいただいた。
この言葉は、少し難解ですが、解釈すると以下のような意味が考えられます。
「人は天をもって人を知らず」
→ 人は天(自然の理、運命、神の意思など)によって人を知ることはできない。つまり、天命や運命に頼って他人を理解しようとしても、本当の理解には至らないということ。
「人をもって人を知らず」
→ 人が人(他者)を通して人を知ろうとしても、本当の意味では理解できない。他人の意見や評価だけで人を判断しても、その人の本質を正しく知ることはできない。
全体として、「人を本当に知ることは簡単ではなく、天命や他者の評価に頼っても本質にはたどり着けない。自分自身で深く理解しようと努めることが大切だ」という教訓のような意味合いがあると考えられます。
出典や背景によって異なる解釈があるかもしれませんが、こうした哲学的な考え方が込められている言葉だと思われます。
また、福沢諭吉との関連を尋ねたところ、以下のような回答となった。
この言葉は、福沢諭吉のものではないようです。福沢諭吉の著作(『学問のすゝめ』や『文明論之概略』など)には似た表現は見当たりません。
また、「人は天をもって人を知らず 人をもって人を知らず」というフレーズ自体が、一般的な名言集や古典にもあまり見られないため、出典が不明確な言葉かもしれません。
教養の無い私には分からないが、ひょっとしてこの男性が独自に考案された名言なのだろうか。
次回に続く。
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