じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 【インドネシアその15】回転遊具の回る方向
 スラカルタ近くで見かけたミニ遊園地。左側の遊具は5〜6台の幼児用の車が円盤に取り付けられメリーゴーラウンドのように回る仕掛けになっていた。
 興味深いのは回る方向が上から見て反時計回りになっていたこと。私が知る限りでは、日本のように車が左側を通行する国では、メリーゴーラウンドや観覧車などは進行方向の左側から乗り、時計回りに回転するように作られている【欧米から直輸入した遊具を除く】。理由は、車が左側通行の国ではバスやタクシーなど左側から乗る習慣に慣れているためであると聞いている。
 インドネシアは日本と同じように車が左側通行となっているので、この種の遊具は上から見て時計回りに回るはずであった。逆方向に回っているのは、おそらく、車が右側通行している国(中国?)から直輸入したためではないかと推測される。

2025年07月10日(木)



【小さな話題】AIによる行動分析学的翻訳はスゴい!(1)童謡編

 7月6日の日記で、

●「アスペルガー」、「ADHD」、「愛着障害」/高齢者になってからどうなる?

また、7月7日の日記で、

●教育現場での相談員の育成ポイント、AIとの連携

といった話題を取り上げたが、いずれにおいてもAI(ChatGPT)に解説をお願いしたところ、そのレベルの高さに声を失うほどであった。

 ということで今回は、AI(ChatGPT)に、小説・童話・童謡などの一部を示し、行動分析学的な表現に書き換えてもらうことにした。この試みは以前にも試したことがあるが、その時は殆どデタラメで使い物にならなかった。しかしその後の発展ぶりはスゴい! 行動分析学への理解度も大学院生並みに進んでいるように思われた。
 今回は、童謡『桃太郎』と『浦島太郎』の歌詞をChatGPTに示し行動分析学的書き換えに取り組んでもらった。
  • 童謡『桃太郎】
    対象個体(以下「動物たち」)は、**視覚的刺激(黍団子)に対して接近行動を示し、「それを与えてほしい」という要請型言語行動(mand)**を桃太郎に対して発話。 この要求に対し桃太郎は、条件つき強化子(黍団子)を従属条件として提示し、「鬼退治行動に参加すること(特定の協応行動)」を交換条件とした。
    動物たちは、提示された**行動契約(contingency contract)**に従い、**追従行動(following behavior)および服従的従属(submission behavior)を選択し、自発的に桃太郎の行動連鎖(behavior chain)**に組み込まれる形で「家来(servant)」としての役割を受け入れた。 これは、**正の強化(positive reinforcement)**による役割取得の好例である。
    桃太郎一行は、目標刺激(鬼が島)に対して**集団的攻撃行動(coordinated aggressive behavior)**を開始。
    **「そりゃ進め」という言語刺激は弁別刺激(SD)**として機能し、**集団行動の同調(synchronous behavior)を引き起こした。
    鬼の防御行動を一度に突破(response escalation)し、敵勢力を完全制圧(behavioral extinction of opposition)**することで、**望ましい物理的資源(分捕物)**の取得に至った。
    この一連の強化の結果、行動は**情動的な表出(emotional responding: おもしろい、ばんばんざい)**をともなって評価され、**随伴的強化(consequential reinforcement)が成立した。 さらに、動物たちは成功体験(performance-based reinforcement)を通じて、行動レパートリーの拡張と役割行動の定着(role maintenance)を遂げ、積極的に「車をえんやらや」と動かす身体的貢献行動(instrumental support behavior)**を持続した。
    なお、原文と行動分析学的表現について以下のような簡易対照表があった。
    • 黍団子ちょうだい→要求行動(mand)
    • 鬼退治について行くならやる→条件付き強化(if-then contingency)
    • 家来になって行きましょう→自発的従属行動、役割取得
    • 一度に攻めて… 攻撃的協応行動、弁別刺激による同調
    • 分捕物をえんやらや 強化子の獲得、強化随伴性
    • ばんばんざい 情動的行動、強化の兆候
    • 車をえんやらや 行動の持続と積極的協力行動


  • 童謡『浦島太郎』
    過去の時点において、個体(浦島)は**環境中での負の強化刺激(例:子どもたちによる亀への加害行動)を目撃し、それに対する介入行動(helping behavior)を実行。この行動は社会的または道徳的ルール支配行動(rule-governed behavior)**によって動機づけられた可能性がある。
    その直後、救助された亀(非言語的エージェント)は**移動操作(guidance behavior)を通じて浦島を新奇環境(龍宮城)**へと導いた。
    この環境は視覚的・聴覚的刺激の豊かさから、**強化子の高密度提示環境(rich reinforcement context)**と見なされ、**自発的遊戯行動(play behavior)および感覚刺激による自動強化(automatic reinforcement)**が継続的に生じた。
    乙姫(環境中のソーシャルエージェント)は、**物的強化子(ご馳走)および視覚的強化子(魚類の舞踊)**を通じて、**滞在行動の持続(maintenance of staying behavior)を促進。 その結果、浦島の時間認識行動(temporal discrimination)**は減衰し、**強化の連続提示による行動の抑制効果(behavioral satiation)**が生じた。
    やがて、活動に対する飽和(satiation)および操作的変化(motivating operation shift)が生じ、浦島は帰宅行動を選択。別れの儀礼行動(farewell behavior)は短縮された応答強度で行われ、帰路には**物的強化子(玉手箱)**が付随刺激として伴っていた。
    帰還後、環境の**大規模変更(noncorrespondence between expected and actual environment)**に直面。
    **以前の文脈手がかり(contextual cues)**は消失し、**刺激弁別の失敗(failure of stimulus control)が発生。
    また、他者との社会的同一性の欠如(lack of social recognition)**により、**情動的反応(emotional responding: 孤立・不安)**が観察された。
    このとき、玉手箱という視覚的に魅力的な物的刺激が再度注目され、**探索行動(exploratory behavior)としての開封行動が発生。
    しかしながら、開封により生じた白煙は想定外の負の強化子(例:老化促進刺激)**として作用し、**外見的・生理的変容(aging as a behavioral outcome)**をもたらした。
    この結果、最終的に浦島の**アイデンティティ維持行動(self-maintenance behavior)**は破綻し、**不可逆的な行動変化(permanent behavior-altering effect)**が発生した。
    原文と行動分析学的表現についての簡易対照表は以下の通り。
    • 亀を助ける→他者支援行動、負の強化への応答
    • 龍宮城へ行く→刺激の新奇性・誘導された移動行動
    • ご馳走や舞踊→物的/視覚的強化子
    • 時が経つ→時間弁別の消失、強化密度の高い環境
    • 帰りたくなる→動機づけ操作の変化(飽和)
    • 玉手箱→物的強化子/潜在的な条件性刺激
    • 村が消えている→刺激弁別の失敗・文脈の消失
    • 玉手箱を開ける→探索行動・誤った反応選択
    • 煙で老いる→行動変容をもたらす非予測刺激

 用語の中には耳慣れないものもありおそらく英語の専門用語を独自に直訳した結果、妙な言葉や曖昧な言葉に置き換わってしまったと考えられるが、いずれの童謡についても元の日本語歌詞をしっかり理解しており、ここ数年の進歩には驚かされた。

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