じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 【インドネシアその17】キャッサバ料理

 今回のツアーでは「ジオウォーク」の一環として、昔の河岸段丘の地形を見るために中部ジャワ州ウォノギリ県プラチマントロ郡にあるペティルサリ村(PETIRSARI)を訪れた。マニアックな観光ということもあり、この地を訪れた日本人ツアーは今回が初めてであったという。村の公民館では地元の人たちが盛大なおもてなしをしてくれた。

 写真上は、チロック(Cilok)というタピオカ粉を練り、ミートボール状にして茹でたもので、見学中にバイクで通りかかった物売りのおじさんが売っていたもの。味は蒟蒻ににていた。
 写真下は、公民館でごちそうになった地元の料理で、バナナや落花生とともにキャッサバのフライ料理をごちそうになった。

 今回のツアーは活火山などの人気スポットが多かったためどこへ行っても観光客で賑わっていたが、この場所だけは観光とは無縁の場所であり静かに風景や村の暮らしに接することができた。

2025年07月13日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる! 「動物園のルーツ」/植物園・水族館のルーツ

 7月11日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 動物園をつくったのはなぜ?
  2. 木が長生きなのはなぜ?
  3. ビールをジョッキで飲むのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。なおこの話題の途中、芸能界屈指の動物好きで動物図鑑も出版している田中直樹さん(ココリコ)から、興味深い動物ネタがいくつか紹介された【後述】。

 まず、溝井裕一さん(関西大学)&ナレーションによる解説は以下の通り。
  1. 現在のような動物園が誕生したのは1700年代終わりのヨーロッパであるが、その遙か昔から私たちは動物に魅了されてきた。
    • リアン・テドング洞窟(インドネシア、約4万年以上前)にはイノシシ
    • ラスコー洞窟(フランス、約2万年前)には様々な種類の動物
    が描かれている。
  2. 家畜としてではなく野生動物を集めて飼育・展示するという動物園の原形を作った一人は、アッシリアの王、アッシュル・ナツィルパル2世であった。石碑に彫られた文章によると、王は、ゾウやライオンを飼っていた。シリアに遠征した際には戦利品としてその征服した国に生息していたメスザルを持ち帰り人々に見せた。
  3. その後、王族・貴族が動物を飼育し人々に見せることが世界各地で行われた。
  4. プトレマイオス朝エジプト王のプトレマイオス2世は、自分が征服してきた地域から集めてきたゾウ、オリックス、ダチョウ、ライオン、サイ、キリンなど多数の動物を引き連れてパレードを行っていた。
  5. 動物を飼育するためにはたくさんのエサが必要。さらにその動物の世話をする飼育係が必要。そのためにはお金が必要。さらに、制圧した国の動物を展示することは強さの誇示になる。他国から贈呈された動物を展示することで外交力を示せる。
  6. つまり、動物を飼育・展示していたのは自分の富や権力を見せつけるためだった。これが動物園のルーツ。その後も王族などの権威の象徴として動物の飼育・展示は続いた。
  7. 1700年代の終わりごろ、動物園が庶民のものになる大きな出来事としてフランス革命(1789年)がある。革命当時、ベルサイユ宮殿の敷地には支配の象徴として多くの動物が飼育されていた。王制が廃止された後は、人々の教育に役立てるという名目で、もともとあった他の植物園に動物エリアを設置、これにより世界初の動物園『ジャルダン・デ・プラント』が誕生した。【←名称自体は『パリ植物園、le Jardin des Plantes de Paris】
  8. その後、イギリスやオランダなどヨーロッパで次々と動物園が誕生。王や貴族など権力者の力を見せつける目的から、国の力を見せつける場所にもなっていった。


 なお、解説の途中に挿入された田中直樹さんからの動物ネタは以下の通りであった。
  • イノシシの子どもは「お手」、「お座り」、「待て」などの芸ができる。
  • テングザルの手には水かきがついている。
  • キリンは「モ〜」と鳴く。


 ここからは私の感想・考察を述べるが、まず、このWeb日記にも何度か書いているように私は動物園好きであり、京都で暮らしていた頃には京都市動物園に何度も足を運んだ。その思い出話は2016年7月26日その翌日にある。子ども連れで動物園を訪れる目的は珍しい動物を自分の目で確かめることにあるが、自分一人で何度も訪れる場合はそうではなくて馴染みの動物に会いに行くことが目的となる。もっとも何年、何十年も経つと、動物の宿命として代替わりが行われ、馴染みだった動物が剥製標本になっていたりする。

 ところで動物園での飼育は動物虐待になるのではないかという議論がある。確かに私が子どもだった1950年代の動物園は、こちらの写真が示すように動物たちを狭い檻に閉じ込めたり足に鎖をつけて展示していたりして、今の時代から見れば虐待にあたると言われそうな飼育環境にあった。

 その後多摩動物公園のように、檻越しではない形で動物が見られるようになり、飼育されている動物たちのストレスもかなり軽減したように見受けられる。

 それはそれとして、動物たちのQOLを考えるのは難しい。動物園の檻の中より野生で暮らすほうがQOLが高いと思い込みがちであるが、野生の動物は常に天敵を警戒しおびやかされながら生きており、また常に飢え死にの危機に直面している。それよりも、何もしなくても毎日エサが与えられ24時間365日檻の中で暮らすほうがよっぽど楽かもしれない。実際動物園で飼育されている動物のほうが野生動物よりは遙かに長生きできる。また牛などは巨体を維持するためには日々草を食べて反芻で消化するのが精一杯であって、繋がれていてもそれほど不自由には感じていないかもしれない。

 動物のQOLについてはちゃんとした論文も出ているようだが、おそらくはスキナーが言うような「行動して、その結果として強化される権利」がどこまで保証されているのかがカギになるかと思う。なので檻の中でごろ寝しながら暮らしている動物たちは「獲物を捕まえる」、「果物を見つける」といった行動が強化される権利を剥奪されているという点で低いQOLを強いられていると言える。これを改善するには、それなりに「働いてエサを得る」環境で飼育するといった改善が必要かと思う。

 動物園のルーツについて取り上げられた機会に、植物園や水族館のルーツについてChatGPTに尋ねてみた。回答は以下の通り。

 動物園・植物園・水族館は、いずれも自然界の一部を人間の手で集めて展示・保存・研究・教育・娯楽の目的で設けた施設です。それぞれのルーツは古代にさかのぼりますが、近代的な施設としての発展は18?19世紀以降のことです。以下にそれぞれの起源と発展の概要を示します。

## ??【動物園のルーツ】
  • ### ● 起源:
    * **古代メソポタミア・エジプト・中国など**
    * 王や皇帝が権力や富の象徴として、珍しい動物を集めて飼育していた「私的な動物園(メナジェリー)」が始まり。
    * 例:古代エジプトのファラオや、紀元前1100年ごろの中国・周の時代にも「動物の庭」が存在。
  • ### ● 最初の近代的動物園:
    * **1752年:シェーンブルン動物園(オーストリア・ウィーン)**
    * ハプスブルク家の宮廷用に設立され、**1765年に一般公開**。
    * 現存する世界最古の動物園。
  • ### ● なぜ作られた?
    * 権威の象徴 → 科学研究・教育・娯楽へと目的が変化。
    * 19世紀以降、「一般市民が自然と触れ合う場」としての公共性が重視される。

## ??【植物園のルーツ】
  • ### ● 起源:
    * **古代ローマや中世イスラム世界の薬草園(フィジックガーデン)**
    * 医療や薬草学のための研究施設がルーツ。
  • ### ● 最初の近代的植物園:
    * **1545年:パドヴァ植物園(イタリア)**
    * 世界最古の大学植物園で、**医学部の薬草研究用**に設立。
    * ユネスコ世界遺産にも登録。
  • ### ● なぜ作られた?
    * 薬用植物の栽培・研究。
    * 大航海時代以降、世界各地の珍しい植物を集める博物学的活動に発展。
    * 近代以降は、植物分類・保存・教育の場としての役割が強化。

## ??【水族館のルーツ】
  • ### ● 起源:
    * 古代ローマの富裕層が海水魚を生け簀で飼った例などがあるが、本格的な施設としての水族館は近代から。
  • ### ● 最初の近代的水族館:
    * **1853年:ロンドン動物園内に「フィッシュハウス」開設**
    * 世界初の公共水族館。
    * ガラス水槽+循環水の技術が成立して初めて可能に。
  • ### ● なぜ作られた?
    * 科学的関心:海洋生物の観察・研究。
    * 一般市民への教育・娯楽。
    * 「見えない海の中の世界」を可視化する手段として新奇性が高かった。

## まとめ(一覧表)
| 施設 | 最初の成立地・年 | 主な目的(当初) | 変化した目的 |
| 動物園 ?? | ウィーン(1752) | 王族の権威・珍品収集 | 教育、保全、レクリエーション |
| 植物園 ?? | パドヴァ(1545) | 薬草研究(医学) | 植物学研究、教育、環境保護 |
| 水族館 ?? | ロンドン(1853) | 海洋生物の観察・研究 | 娯楽、教育、環境保護、展示技術 |


 今回の放送では、最も古い近代動物園は『パリ植物園の敷地内にある動物園で1795年設立となっていたが、ChatGPTのほうでは『シェーンブルン動物園が挙げられていた。こちらは1755年開園で確かにこちらのほうが古く、ネット上の他のサイトでも「世界最古の動物園」として紹介されているところもある。ま、単に飼育実績があるというだけでなく、一般庶民にいつから公開されるようになったのかも考慮する必要があり、パリとウィーンのどちらが古いのかは一概には断定できない。

 植物園が薬草研究をルーツとするというのは理解できる。植物を並べて展示するだけなら庭園と区別が難しい。薬草以外の植物、例えば穀物類、果樹、花などの品種改良目的の植物園もあったはずだが、一般公開には至らないだろう。

 最後の水族館だが、海洋生物の飼育は動物園の飼育より技術的に難しいので、ルーツがいちばん最近になっていることは頷ける。金魚や錦鯉の展示なら古くからあったと思われるが水族館とは呼べないだろう。

 次回に続く。