じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 【インドネシアその18】鍾乳洞

 今回のツアーでは「ジオウォーク」の一環としてカルスト地形や鍾乳洞を見学した。
 インドネシアというと活火山が連なった島という印象が強いが、実は石灰岩の地層も多く、鍾乳洞もいくつかあるようだ。活火山と石灰岩地帯の関係についてChatGPTに尋ねたところ、

プレートテクトニクスによる複雑な地形形成:インドネシアのような**プレート境界の活動が活発な地域では、沈み込むプレートに乗っている堆積岩(石灰岩など)**が陸に押し上げられることがあります。
同時に、マグマ活動によって火山が形成されるため、火山地域と石灰岩地帯がモザイク状に分布することがあります。
という回答をいただいた。

 写真はグヌン・セウ・ジオパークにある鍾乳洞『Goa Tembus Pracimantoro』。トンネル状で規模は小さいが、鍾乳石、石筍、ヒダなどがしっかり保護されていた。

2025年07月14日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる! 「木が動物より長生きする理由」/物語としての自己で言語的に長生き?/植物も癌になるか?

 昨日に続いて、7月11日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 動物園をつくったのはなぜ?
  2. 木が長生きなのはなぜ?
  3. ビールをジョッキで飲むのはなぜ?
という3つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの2.について考察する。

 放送では、木が長生きなのは「死にながら生きているから」が正解であると説明された。桃井尊央さん(東京農業大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 人類で最も長生きしたと確認されているのはジャンヌ・ルイーズ・カルマンさん(フランス)で122歳。いっぽう木には1000年を超える樹齢のものがたくさんある。世界最高齢の木はアメリカにあるメトシェラ(イガゴヨウマツ)で樹齢4800年以上と推定されている。
  2. 木が動物に比べて長生きできる要因の1つは細胞分裂の回数にある。
    • 私たちの体を作る細胞の多くは細胞分裂してコピーを作り、常に新しい細胞と古い細胞を入れ替えている。しかし細胞分裂を繰り返すと設計図にあたるDNAが傷つくリスクがあり、DNAの傷を増やさないためにある程度の回数に達すると細胞分裂をやめるという仕組みがある。これが老化。
    • これに対して木の場合、細胞分裂はそう簡単には止まらない。木でもDNAが傷つくリスクはあるが人間のDNAよりははるかに強く守られている(但し一部の細胞のみ)。つまり木は常に若い細胞を生み続けるため、人間より長い間若さを保てる。
  3. 木が動物に比べて長生きできるもう1つの要因は、死んだ細胞の役割の違いにある。
    • 人間の場合、死んだ細胞は尿や便により体外に排出されることが多い。
    • 木の場合は、死んだ細胞こそが木を長く生かし続ける。つまり木は死にながら生きている。
    • スギの幹の断面を見ると、中心から一定範囲の円内は色が濃くなっている(=『心材』)。これは実はすべて死んでいる。心材こそが高くて大きな木を支えている。
    • 木の幹はは中心から『心材』、『辺材』、『樹皮』によって構成されている。樹皮と辺材の間には約0.1ミリの『形成層』がある。木の細胞分裂は主に形成層で行われている。形成層は草には存在せず、植物の中では木だけにあり、木の本体とも言える。
    • 形成層で新しい細胞が外側に追加されることにより木は大きく成長していく。
    • 顕微鏡で辺材を見ると大部分は死んだ細胞であり、生きているのは線状につらなるごく僅かの部分に限られる。辺材にある僅かな生きている細胞は木の栄養を管理する役割を担っている。
    • 辺材にある死んだ細胞は水分の通り道である管、つまり人間でいう血管の役割をしている。死んだ細胞が全体に水分を運ぶことで木を長生きさせている。
    • 中心部の心材は体を支える骨の役割を担っている。放送では、同じ重さの鉄と心材に対してそれぞれ機械で重さをかけた実験映像が紹介された。鉄は約1トンの力で変形するのに対して、心材は最大1.8トンの重さに耐えられることが示された。。


 放送ではさらに、世界で最も背の高い木と幹周りが最も太い木が紹介された。
  • 世界で最も背の高い木:アメリカにあるハイペリオン(セコイア)が紹介された。高さは116.07m。
  • 世界で一番太い木:メキシコにあるトゥーレの木(ヌマスギ)。一周58m。

 終わりのあたりでは、
 一般的には、木全体の90%以上の細胞は死んでいる。死んだ細胞はエネルギーを必要としないので、木は圧倒的に少ないエネルギーで生活できる。死んだ細胞を血管や骨として活用しエネルギーの節約ができるというのも、木が長生きできる大きな理由の1つ。


と解説された。さらに、
  • 人間には脳や心臓のように失ったら生きていかれない急所があるが、木にはそのような急所が無い。そのため人間と違って倒れた木から復活することさえできる。
  • いっぽう、木の弱点もある。木は動けないので虫や動物に食べられても逃げることができず、外敵にされるがまま。
と補足された。

 ここからは私の感想・考察を述べる。

 まず、世界最高齢の木としてメトシェラが紹介されていたが、ウィキペディアによれば、他にもいくつかある。
  • ブリストルコーンパイン
    プロメテウスと名付けられたブリストルコーンパインのWPN-114は、1964年に切り倒された時点で4,844歳を超えており、紀元前2880年に発芽したと推定されている。また、約4,600歳の別のブリストルコーンパインは現在も生きている。これらの木や別のブリストルコーンパインのサンプルに基づく年輪年代学は、約500年の誤差はあるものの、紀元前9000年まで遡ることができることになった。
  • クローン性生物
    これまでに発見された別の長寿の生物は、クローン性のコロニーである。例えば、カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠にあり「キング・クローン」と名付けられたハマビシ科の低木Larrea tridentataのコロニーは約11,700歳、スウェーデンにあり「オールドティッコ」(Old Tjikko)と名付けられたオウシュウトウヒのコロニーは約9,500歳である。


 人間の老化・寿命や植物の特殊な能力に関しては、これまでもヒューマニエンスなどを通じてある程度のことは知っていた。人間一個体の寿命は限られているが、「私は源義経の生まれ変わりだ」とか「私たちは300年の時を超えて結ばれた」というように自己を物語化して、何世代も前から自分は生きていると思い込めば「言語的な長寿」を獲得することはできる。「自己の物語化」は度が過ぎると妄想になるし、またまだ将来のある若い人たちには決してオススメできないが、余命わずかの高齢者が自分の人生の価値を高める手段としてはアリではないかと思っている。

 今回の放送では鉄より丈夫という心材の強さが紹介されていたが、確かに最近では木造建築のメリットを耳にすることが多い。これまでは「木造建築は地震や火事に弱い」と思われてきたが、強度の強い心材を適切に組み合わせれば高層建築も可能。防火体制もきっちりしておけば鉄筋コンクリート建築以上に丈夫かもしれない。

 最後に、動物と同じように植物も癌になることがあるかどうかChatGPTに尋ねたところ以下のような回答をいただいた。

はい、**植物も「がん」のような異常な細胞増殖を起こすことがあります**。ただし、**動物のがんとは少し異なります**。

### ?? 植物にも「がん様の症状」はある

植物では、以下のような形で「がんのような異常増殖」が見られます:
  1. **クラウンゴール病(根頭がんしゅ病)**
    * **原因:** 細菌 *Agrobacterium tumefaciens*
    * **症状:** 根や茎の根元に、こぶ状の腫瘍(がんしゅ)ができる。
    * **仕組み:** 細菌が植物の細胞に自分のDNA(Tiプラスミド)を組み込み、細胞を異常に増殖させる。
  2. **こぶ病、ふくらみなどの異常形成**
    * 菌やウイルス、あるいは遺伝子の変異により、細胞が異常増殖するケースもあります。


### ?? でも、動物のがんとはどう違うの?

| 比較項目 | 動物のがん | 植物の異常増殖 |
| ------------------- | ------------ | -------------------------- |
| **転移(がんが他の部位に広がる)** | よくある | **ほとんど起こらない** |
| **免疫による攻撃** | がん細胞が免疫を逃れる | 植物には免疫系が異なる仕組み |
| **原因** | 遺伝子変異やウイルスなど | 菌・細菌・ウイルス・遺伝子変異など |
| **致死性** | 高いこともある | 重大な被害になることもあるが、部分的で済むことも多い |

### ?? なぜ植物では転移が起きにくいの?

* **植物細胞は「細胞壁」でがっちり囲まれており、細胞が勝手に動けない**ため、動物のようにがんが他の場所に「転移」することはほとんどありません。
* また、**植物は組織再生や分化が柔軟**なため、異常な細胞があってもある程度は対処できる仕組みがあります。

### ? まとめ
* 植物にも「がんのような腫瘍」や「異常増殖」はあります。
* ただし、**動物のがんとは性質が違い、転移したり死に至ることは少ない**。
* 有名な例は「クラウンゴール病」など、病原体によるものが多いです。



 次回に続く。