じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 11月16日の岡山市は最低気温が8.9度まで下がった。紅葉真っ盛りの中、日だまりでオキザリスが咲いていた。写真は「ヒルタ」という品種。特に世話をしなくても球根がどんどん増える。こちらに解説あり。


11月16日(火)

【ちょっと思ったこと】

ビューティーコロシアムとシュレック

 16日の夕食時、チャンネルを回していたら「ビューティーコロシアム'04秋!私を助けて不幸人生リセットSP」という番組をやっていた。一口で言えば、容姿に悩みを持つ女性が過去の不幸な人生を語り、その上で美容整形を実施して幸せな未来を開くという内容のようだ。

 この番組のことは6月4日の日記でも取り上げたことがあるが、どうも好きになれない。ちょっとだけ内容を確認して別の番組に切り替えてしまったので最終的に何を目ざすものなのかは定かではないが、ネットで番組情報を検索したところ、
イボガエルと言われた20歳が450万円整形でチョウに変身
ジャワ原人似の21歳が予想を超えた結末に涙
などと、外見についての差別的表現が続出。こんな取り上げ方をしてよいのだろうかと、疑問を持たざるを得なかった。

 そのことで思い出したが、先週の金曜ロードショーでシュレックをやっていた。この映画のことは9月4日の日記、あるいは2002年9月15日の日記で取り上げたことがあるが、上記の「ビューティコロシアム」とは目ざす方向が全く違う。「イボガエル」とか「ジャワ原人」などという差別をぶっ飛ばし、シュレックやフィオナ姫のような逞しい人生が送れるように番組もサポートすればよいと思うのだが、よけいなお節介か。

 なお、今回久しぶりにシュレックを観て思ったのだが、2002年9月15日の日記に書いた「この映画では、シュレックやフィオナ姫の顔や体型の醜さに目が向けられがちであるが、背の低いファークアード卿のことをからかうような台詞やしぐさもある点は見逃せない。」という点はやはり気になった。そのほか、「シュレック」と「シュレック2」のビデオを何度か観ているうちにやっと、「醜い」とされている容姿のほうのフィオナ姫に違和感を感じなくなってきたというのが率直な感想。

【思ったこと】
_41116(火)[心理]日本理論心理学会第50回大会(9)日本発の理論を考える(その4)後進が学ぶべきこと

 11月6日〜7日に開催された日本理論心理学会第50回大会。前回に引き続き、話題提供2番目の

●大山正氏:日本発の理論を考える-先人の足跡を訪ねて-

の感想を述べさせていただく。発表時間の関係で十分なお話を伺うことはできなかったが、話題提供の「まとめ」では、後進が学ぶべきこととして
  1. 問題の本質を探究する。
  2. 学界の流行を追わず、自分の疑問を追究する。
  3. 哲学・科学・東洋思想などに広い関心を持つ。
  4. 実験研究にも経験を持つ。
  5. 実践的問題に関わる。
  6. 比較・発達的見地を持つ。
  7. 海外への発信に努力する。
という7点が挙げられた。また、口頭で「今の大学院生は外国文献ばかり読みすぎ。もう少し古典を読め」というようなことも言われた(←あくまで長谷川の聞き取りによる)。

 上記の7点はまことにもっともなことだと思うが、それを全部こなすのは、一人の人間にはかなり難題であるように思った。

 例えば「2.学界の流行を追わず、自分の疑問を追究する。」というのはその通りだと思うが、研究者を目ざす若手の大学院生がそれを貫くには相当の能力と覚悟が要ると思う。成功すればカリスマ的心理学者になれるかもしれないが、挫折すると独り善がりの変人扱いされる。ま、学生を指導する側から言えば、各人がいだいている疑問が研究テーマの醸成されるように適切にサポートをすることが必要であるとは思う。

「3.哲学・科学・東洋思想などに広い関心を持つ。」も非常に大切なことだとは思うが、なにせ時間が足りない。じっさい、私自身も、学部・大学院の頃に哲学や科学論に強い関心を持っており理論心理学会にも入会していたのだが、修論や博論の実験に追われるようになると、そのような分野をじっくり学ぶような時間は全く見いだせなくなった。今回の理論心理学会で、参加者の多くが名誉教授クラスの年配者であったことも、如実にそれを物語っているように思えた。

 「東洋思想」については、中学高校段階からそれを学ぶ時間を増やさなければどうしようもない。2003年2月13日の日記に書いた「朱子の自然観」などを高校までに教わる機会はまず無い。

 「今の大学院生は外国文献ばかり読みすぎ。もう少し古典を読め」という点に関しては、ディスカッションの時に、T大の大学院生ならともかく、むしろ外国文献を読まないことのほうが問題だという意見も出された。そう言えば、私のゼミでも、外国人留学生以外は、放っておくとどうしても日本語文献ばかり読む傾向が出てしまう。

 次回に続く。