じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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時計台前の桜の紅葉。この秋最初の寒波が押し寄せ、11月8日(水)の朝の最低気温は6〜7度まで下がると予想されている。落葉が一気に進むものと思われる。 |
【思ったこと】 _61106(月)[心理]日本心理学会第70回大会(4)心理学界が目指すべき資格制度のあり方(2) ●心理学界が目指すべき資格制度のあり方〜心理職の国資格化をめぐって〜 の感想の続き。シンポでは、挨拶・趣旨説明に続いて、「医療心理師」を推進するお立場の方々2名から話題提供があった。いずれも明快で、説得力をもつ内容であった。 ここで念のため、私自身の立場を表明しておくが、私自身は、さまざまな社会現象・問題行動を疾病として捉えて解決をはかろうとする「医療モデル」にはもともと反対している。また「精神疾患に関する語彙の蔓延と言説の増大サイクル」というガーゲンの主張もその通りだと思っている(2005年9月22日の日記、あるいは 2006年2月22日の日記を参照されたい)。 しかしそうはいっても、精神疾患は「こころ」の病気ではなく、脳の病気として厳として存在する。また、種々の症状を和らげる新薬が開発されており、それらの使用は、医療行為の一環となる。それゆえ、 医師が傷病者(治療、疾病の予防のための措置又はリハビリテーションを受ける者であって、精神の状態の維持又は改善が必要なものをいう。以下同じ。)に対し医療を提供する場合において、当該傷病者の精神の状態の維持又は改善に資するため、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者を国資格化することはどうしても必要となる。その他、必要性の論拠については、全心協の国家資格化の必要性にも記されているので、ここでは省略させていただく。 このほかの論点として、
シンポでは引き続いて、臨床心理士の国資格化を目ざしているお二人の方から話題提供があった。 最初に登壇されたH氏は、まず臨床心理職の資格化への歩みについて概要を説明された。日本では、まず1964年に「日本臨床心理学会」が設立され、そこで、臨床心理技術者の資格問題が議論されたのが始まり。しかし、その後“「日本臨床心理学会」が混乱"し(←話題提供者のスライドに基づく表現)、1978年、九州大学で「日本心理学会」第42回大会時に「日本心理臨床学会」設立準備委員会が開催、そして1982年になって「日本心理臨床学会」が設立された。それまでの心理職は、多くが学部卒であり、職場での実務を通じて、非体系的経験的に養成されてきたという実情があった。これに対して、「体系的組織的養成」を目ざして制度化されたのが、「臨床心理士」の認定資格化であった。2006年4月現在では現在では、「認定臨床心理士」の数は1万5097人、また2003年時点の資料では約3000人が医療領域で活躍されておられるとのことだった。 H氏はさらに「臨床心理士」養成のシステムやカリキュラムについて説明され、国資格化の必要性としては
H氏のお話から、臨床心理職において体系的組織的養成が必要であること、また現に、その趣旨にそって、数多くの専門家が要請され現場で活躍されているということはよく理解できた。しかし、すでにそれだけの実績があるならば、なぜ、改めて国資格としてのお墨付きをもらう必要があるのかという点については、納得できるご説明ではなかったように思う。 体系的組織的養成と言えば、例えば、学校心理士、臨床発達心理士、健康心理士(資格取得方法はこちら)などがあり、それぞれ、独自の基準に基づいて資格を認定している。そういう中にあって、なぜ、臨床心理士だけを国資格として差別化・優越化させる必然性があるのか、このことが明快に説明されない限り、私としては納得するわけにはいかない。 次回に続く。 |