じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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月夜の石庭
一般教育棟構内にある石庭(2月21日早朝)。月夜の石庭の写真は毎月見られるが、早朝に南西の空に月が見えるためには、月の赤緯と月齢の条件が揃わなければならず、早春の時期に限られている。じっさい、昨年の写真も3月3日撮影となっている。 月と石庭を同じ露光で撮ると月がぼやけてしまうので、今回は、同じアングルで、石庭に露光を調整した写真と月の中心に調整した写真をそれぞれ撮影し、合成してみた。よって、貼り合わせ写真ということになるが、月の位置はこの方位で間違いない。 |
【思ったこと】 _b0221(月)サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)公開シンポジウム(7)長寿社会のまちづくり(2) 2月19日の日記の続き(こちらの資料参照)。 講演の後半では、高齢化社会の課題として、自立期間(健康寿命)の延長と、高齢者それぞれの健康状態に応じて能力を最大限に活用して日常生活を支えるための生活環境の整備の必要性が論じられた。そのためには、住宅環境、包括的医療・介護、移動手段、情報システム、人の繋がり、「生きがい就労」や社会参加の機会確保などが必要となってくる。 高齢者の就労環境の中で私が特に注目したのは、市民農園、屋上農園、ミニ野菜工場、ファーマーズマーケットというように、園芸活動がかなりのウェイトを占めていたことである(他には、わいわい食堂、配食サービス、学童保育、紙オムツリサイクル工場)。効果検証や園芸活動プランの改善に関わるこのあたりの課題は人間・植物関係学会や園芸療法学会なども、もっと取り組む必要があるだろう。 とにもかくにも、高齢化社会のいちばんの課題は、決して年金問題やそれをささえる財政基盤の問題にあるのではない。健康なお年寄りが安心して生活し、生きがい就労に参加できる機会を保証することのほうがよほど重要である。単に年金を確保せよというのは、働く意思を持っているお年寄りに「金をやるから何もしないでおとなしく寝ていろ」というようなものだ。もちろん、介護が必要になった方々への保障は大切ではあるが...。 このほか、循環型住宅(ライフスタイルに応じた住み替え)、高齢者にやさしい移動手段、ICTを活用した安心と繋がりの確保、CureからCareへという在宅医療システムの確立などが提案された。 この講演の冒頭でも資料が示されたように、日本の高齢者人口は今後もますます増加し、2030年には人口の32%(65歳〜74歳が12%、75歳以上が20%)、2050年には人口の41%(65歳〜74歳が14%、75歳以上が27%)を占めると予測されている。これは、世界でも飛び抜けて高い比率であるという。 もっとも、2月22日朝の「モーサテ」の「きょうの経済視点」でも指摘されていたが、若者世代の比率が多い国では、若者の低賃金や失業が大きな問題となっている。チュニジア、エジプト、さらにリビアなどで発生した反政府デモも、その根底には若者世代の生活の苦しさがあるようだ。ということは逆に言えば、少子高齢化が進む日本では、適切な労働環境さえ整えれば、若者も、健康な高齢者にも十分な就労機会が与えられるはずである。少子高齢社会ならではのメリットをもっと探る必要がある。 次回に続く。 |