じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2012年版・岡山大学構内でお花見(55)実生のニチニチソウ。日本では冬越しできないため、普通、春先に花屋さんでポット苗を買って地植えするが、実生でも十分に育つ。但し、種から育てた場合は開花時期はかなり遅くなり、今頃がちょうど見頃。

9月17日(月)

【思ったこと】
_c0917(月)日本心理学会・第76回大会(6)高齢者の「孤立と孤独」を心理学から考える(6)高齢者と動物の関係

 昨日の続き。3番目は、

●高齢者と動物の関係

という話題提供であった。「高齢者と動物の関係」は欧米では1980年代から研究されてきたが、日本で注目されるようになったのは比較的最近であり、それも、心理学者や社会学者ではなく獣医さんが最初であったとか。ペットの飼育状況については各種調査があり、高齢者のペット飼育率は60歳代が36.4%、70歳以上は24.1%。年代別では50歳代の飼育率が一番多いという。但しそれらの調査は回答者の年齢で集計されているため、例えば、小学生がペットを飼っていても親が回答した場合は親の年齢の飼育率としてカウントされているようである。

 さてペット飼育に関しては社会老年学として以下の研究が主要なテーマになっているという。
  1. 高齢者のペット飼育状況
  2. 高齢者のペット飼育に関連する要因
  3. 高齢者がペットを飼育することによって得られる心理的、社会的、身体的効果。
 もっとも、1.については独り暮らし高齢者のほか、家族が散歩や餌やりなど役割を分担して飼育している場合もあり、単に数や比率で比較されるべきとは言いがたい。2.についても複数の要因が複合的に関与しているものと思われる。3.については当然ポジティブな効果が期待されるが、人間よりペットのほうが寿命が短いことを考えれば、飼育の途中でペットと死別しペット・ロス症候群に陥るリスクもある。反面、ペットとの死別を経験することで、病気や死に動じなくなり強固な死生観を確立できるかもしれない。このあたり、ロスが殆ど生じない植物(←特に一年草の場合は枯れることが必然)を育てる(=園芸、農耕)場合とのメリット、デメリットを比較することも必要ではないかと思う。

 3.に関して、話題提供では、ペット飼育の有無ではなく、ペットの関わりや情緒的な交流、愛着の程度などが高齢者の精神的健康に関係しているという研究結果があることが紹介された。また話題提供者ご自身が、犬または猫を飼育している60〜74歳の男女600人に対して行った調査によれば、抑うつ傾向(GDS短縮版)や孤独感(AOKLS)の得点は「ペットとの情緒的一体感」の程度との間に有意な負の相関があり、一体感があることは孤独感の軽減に寄与していることが示された。なお、ネットで検索したところ、この研究の詳細はこちらで報告されていることが確認できた。また、リンク先の論文では、犬と猫では人との関係のあり方が異なる結果が得られたことにも言及されている。

 なお、今回の話題提供では、ペット飼育のポジティブな面が論じられていたが、このことは直ちにアニマルセラピーに直結するものではないという考えも表明されていた。

 次回に続く。