【連載】宇宙大作戦(スタートレック)を振り返る(5)印象に残る基準
宇宙大作戦(1966年〜1969年、「TOS」、Star Trek: The Original Series)の連載の最終回。
定年退職を機会に、各種番組をダビングしたDVD、BDの分類整理作業を進めているが、これまでのところ、この宇宙大作戦(TOS)に関しては、全78話(日本で未放送の「歪んだ楽園(The Cage)」を除く)のうちDVDにダビングされていたのは64話であったことが判明した。こちらの資料を拝見したところ、DVDが見つからない残り14話のうち、以下の8話については殆ど記憶がない。一部はまだ視ていない可能性がある。
- 制作順第10話:「コンピュータ人間(What Are Little Girls Made of?)」
- 制作順第13話:「殺人鬼コドス(The Conscience of the King)」
- 制作順第14話:「ゴリラの惑星(The Galileo Seven)」
- 制作順第30話:「パイリスの魔術師(Catspaw)」
- 制作順第31話:「華麗なる変身(Metamorphosis)」
- 制作順第38話:「死のパラダイス(The Apple)」
- 制作順第51話:「地底160キロのエネルギー(Return to Tomorrow)」
- 制作順第60話:「悪魔の弟子達(And the Children Shall Lead)」
全78話のうちどれに感動したのか、どれを傑作とすべきかについては、個人によっても異なる。人気作品であったかどうかについては放映当時の時代背景を考慮する必要もあるだろう。
あくまで例示になるが、印象に残る作品となりうる条件としては、
- 視聴者に何かを訴えかけている。もしくは現代社会に何らかの問題提起をしている。
- 思いもよらぬ結末となり、かつ「ああそうだったのか」と納得できる。
- 不可解な現象が起こり、謎の解明に期待を寄せる。
- 困難な事件を解決するプロセスに驚嘆する。
- 情景描写が優れている。
- 登場人物の個性が発揮され、拍手喝采をあびせたくなる。
- 論理や合理性を超えた人間味あふれる解決を賞賛したくなる。
などが挙げられるかと思う。なお、14日の日記にも書いたように、このドラマは宇宙船と異星人との公的な接触という背景が設定されていたため、個人的な人間関係を描こうとしても限界があり、むしろ公私混同のように見えてしまう。
ということで、私自身が印象に残った作品を5つほど挙げてみると、
- 制作順第27話:「クリンゴン帝国の侵略(Errand of Mercy)」→8月15日の日記参照
- 制作順第25話:「死の楽園(This Side of Paradise)」→8月16日の日記参照
- 制作順第58話:「小惑星衝突コース接近中(The Paradise Syndrome)」→展開はワンパターンだが、情景描写が気に入っている。結末は残念。
- 制作順第78話:「タイムマシンの危機(All Our Yesterdays)」→タイムワープものはいくつかあるが、その中ではこの作品が最もリアル。
- 制作順第26話:「地底怪獣ホルタ(The Devil in the Dark)」→人間と同じ格好の異星人が出現する作品が多い中、この回では全く違った形の怪奇生物が登場し、人間的な交流が達成できるという展開が感動的。
このほかにもいろいろ示唆に富む作品がある。限られた予算の中、エンタープライズ号のブリッジや船内、探査先の惑星の粗末なセットといったちっぽけな舞台のなかで、あれほど広く、多様な世界を描けたドラマは他にはないと思う。
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