じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 9月17日の朝、テレビのスイッチを入れたところ、

NHK ひとモノガタリ「それでも彼らが戦うワケは〜京大・タテカン攻防の若者たち〜」

という番組を放送していた。京都市が「品格ある都市景観」を実現するための広告物を規制する条例を制定。京大に対して6年前から口頭で注意をしてきたが、昨年10月に文書で是正を求め、これを受けて大学は大学の周囲に立てられた立て看を撤去することを決めたとのことである。

 このことで40〜45年ほど前を思い出してみたが、私が学生だった頃の立て看は政治的スローガンを列挙したり集会への参加を呼びかける内容が多かった。それぞれの勢力で、使用するペンキの色が決まっていて、結果的に、どの色が使われているのかによってどの勢力が設置したものかが分かるようになっていた。番組でも言っていたが、そうした政治的看板は1980年代に入ると姿を消し、替わって、サークルの案内看板や、芸術性を重視した看板が増えるようになった。政治的な看板は頻繁に書き換えられるため、ベニア版に洗濯糊で模造紙を貼り付けた上に文字ばかりが書かれていたが、サークルや芸術的看板は、板に直接、文字や絵を描いていた。

 今回問題となっているのは大学構内ではなくて、大学の周辺(外側)に設置される立て看ということであるが、私の記憶している限りでは、大学周辺の立て看はそれほど多くは無かった。じっさい過去の写真ファイルを参照してみたが、百万遍交差点の南東角の石垣には数枚程度(11月祭事務局の看板はほぼ常置されていたようだ)、吉田神社前の東西道路(東一条)のあたりにも数枚程度。大部分は、大学敷地内の建物前などに設置されていた。但し、例外的に、新学期はサークルによる新入生勧誘のための看板が乱立していたと思う。

 規制しようとすれば学生たちも反発するが、そもそもSNSによる情報発信が主流となった今の時代、アジビラと同様、立て看も歴史的遺物になろうとしている。規制すれば盛り上がるが、規制しなければ自然に消滅していくような気もする。


2018年9月16日(日)



【小さな話題】

 
「宇宙大作戦」の「死のパラダイス」と「Star Trek Continues」

 8月17日までの日記で、宇宙大作戦(1966年〜1969年、「TOS」、Star Trek: The Original Series)の話題を取り上げたが、その後、整理済みだったはずの別のDVD&BDケースから、
  • 制作順第14話:「ゴリラの惑星(The Galileo Seven)」
  • 制作順第31話:「華麗なる変身(Metamorphosis)」
  • 制作順第38話:「死のパラダイス(The Apple)」
  • 制作順第60話:「悪魔の弟子達(And the Children Shall Lead)」
の4話の録画が見つかった。しかしいずれも以前に視たことがあり記憶が甦ってきた。今のところ、録画していないのは、残り5作品前後となるが、これらもたぶんすでに視ている内容ではないかと思う。

 上掲のうち、

●制作順第38話:「死のパラダイス(The Apple)」

は「惑星が先祖もしくは高度な文明を持つ異星人の作ったコンピュータによって支配されており、住民はそれを神として崇めている。住民はそのおかげで保護されているが、自由な選択や自助努力の機会が奪われている。」という、他作品でも何度か使われているワンパターンのネタであった。しかもこの38話は、パールという地中エネルギーの正体は明らかにされないままで終わった。

 パールを破壊することが異星人への干渉になるかどうかについて議論があった時、カーク船長は、
【住民たちは】存在しているだけだ。何も作らず考えることすらしない。...彼らは人間だ。ロボットじゃない。進歩のチャンスを与えるべきだ。
These people aren't living, they're existing. They don't create, they don't produce, they don't even think. They exist to service a machine....These are people, not robots. They should have the opportunity of choice. We owe it to them to interfere.
と述べ、さらにパールが破壊された後、住民たちを前に以下のようなおせっかいな演説をした。
今度は自分でやるんだ、何事も。果物は作って貰うより自分で作るほうが、楽しいかもしれない。村も自分たちで建設し、自分たちの考えを持ってすべての物を自分たちで作り出す。我々はそれを「自由」と言う。いいもんだぞそれは。それに男性も女性も本来の姿に戻らなきゃいけない。お互いに相手の世話をし、そこから生まれる幸せを分かち合う。それが我々の言う「愛」だ。
You'll learn to care for yourselves, with our help. And there's no trick to putting fruit on trees. You might enjoy it. You'll learn to build for yourselves, think for yourselves, work for yourselves, and what you create is yours. That's what we call freedom. You'll like it, a lot. And you'll learn something about men and women, the way they're supposed to be. Caring for each other, being happy with each other, being good to each other. That's what we call love. You'll like that, too, a lot.
 上記の演説内容自体は必ずしも間違ってはいないが、「我々は自然の恵みのもとで生かされている」という日本的な幸福観には若干抵触する可能性がある。確かに住民はパールに食物を供えてパールから庇護を受けていたが、地球上の人類も、地球環境から庇護を受けて生かされているのである。このことを忘れて尊大になり、何でもかんでも自分たちだけでできるという考えが支配的になれば、いずれ人類は絶滅の危機に瀕することになるであろう。




 8月13日の日記に書いたように、「宇宙大作戦(TOS)」は、パイロット版を含めて合計79話から構成されているが、実質「打ち切り」という形で終了したため、調査飛行の終了・完結を描いた作品は存在していない。最終話となった79話も傑作と言えるほどの中身ではなかった。

 その後、ほぼ同じキャストが登場する映画が何本か作られたが、主要スタッフは80歳を超えており、スポック、マッコイ、スコットはすでにお亡くなりになっていて、オリジナルのスタッフによる続編はもはや不可能になっている。

 そのいっぽう、ファンが「もし『宇宙大作戦』に第4シーズン以降があったら...」というのを想定して制作した『Star Trek Continues』が存在する。先日、その中の第一作にあたる、

PILGRIM OF ETERNITY

をようやく視聴することができた。この作品は、日本語の吹き替えはないが、英語字幕を表示できるので私の乏しい英語力でも何とか理解できた(なお、その後ニコニコの中に日本語字幕のついた動画が公開されていることが分かったが、Continuesの全作品が含まれているのかどうかは未確認。)

 PILGRIM OF ETERNITYは、TOSの制作順33話(米国放送順31話)の「神との対決(Who Mourns for Adonais?)」のその後を描いたものであり、TOSのほうを先に視聴している人であれば、スコット(チャーリー)がなぜアポロに敵意をいだいているのかといった点がよく理解できる。主要スタッフが別の俳優に置き換えられてしまったという点での違和感は禁じ得ないところがあるが、内容的にはTOSと同等以上の意義深い展開であった。

 今後も少しずつ2作目以降を視聴していきたいと思っている。