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7月14日の岡山は、深夜から強い雨が降り、大雨洪水警報が発出されたが、午後には雨が止み晴れ間が見えてきた。 なお岡山の7月の積算降水量は14日までの時点で232.5ミリとなっており、まだ月の半分しか過ぎていないのにすでに7月1カ月の平年値160.9ミリを大きく上回っている。 写真は増水した旭川。渇水時には歩くことのできる洗堰の一部や中州が水没していたが、まだまだ相当の余裕があり十分にコントロールできているように見えた。 |
【連載】「タモリ×山中伸弥 人体 VS ウイルス〜驚異の免疫ネットワーク〜」(その3) 昨日に続いて、7月4日に放送された ●NHKスペシャル「タモリ×山中伸弥 人体 VS ウイルス〜驚異の免疫ネットワーク〜」 の感想と考察。 番組では免疫システムに続いて、人体とウイルスとの関わりの歴史について説明された。 まず40億年前には生物は単細胞生物のみであり、免疫システムは持たず、ウイルスは簡単に入ったり出たりしていたという。 その後20億年前のあたり(タモリさんの知識によれば、23億年前とか、7〜8億年前という説もあるという)で、全球凍結(スノーボールアース)が起こったと想定されており、その後酸素の量が一気に増え、生命が使えるエネルギーが増加した。そのおかげで、細胞同士が役割分担が可能な多細胞生物が登場し、自然免疫のシステムが構築された。 5億5千万年前にはカンブリア大爆発が起こる。この時代になると、ウイルスは細胞に侵入するための「ニセのカギ」を獲得。いっぽう生物の側(魚類など)は寿命が延びて同じウイルスに何度も襲われるようになったことから獲得免疫のしくみが形成されていったという。 このあたりのところで出演者から、生物とウイルスは何のために闘ってきたのか、もっと共存する道はないのか、いいかげん妥協したいといった声が出された。 しかし、本来、擬人的表現による進化の説明は、理解を深めるためのアナロジカルな方便としては有効であったとしても、根本原理にはなり得ない。進化の世界には目的もなければ、善も悪もない。ある環境下でより適応的な機能を持った者(=生物、ウイルス)か、もしくは運が良かった者(偶然的な環境条件のもとでその機能を持つ者がたまたま生き残った)が結果として残っただけである。宇宙のどこかには、生物とウイルスの闘いが共倒れとなって全滅してしまった惑星もあるだろうし、両者が共存し均衡を保っている惑星もあるだろう。それらの違いも、結果としてそうなったというだけであり、地球という惑星はどちらかといえば後者に分類されるというだけのことだろう。 なお、ウイルスと生物の進化については、ウィキペディアの該当項目でも詳しく解説されている。また以前、「「又吉直樹のヘウレーカ!」(第13回)のメモとして、 地球上のウイルスは微生物の100倍多く、全部繋げると銀河系の100倍の長さになるという。その殆どは微生物に感染するウイルスであり人間にとっては無害。また、地球上の生物は共通祖先を持っているのに対して、ウイルスは共通のルールの外にいるという。と記したように、ウイルスは地球の外からやってきた可能性もある。 番組では、続いて、新型コロナウイルスの重症化の原因が取り上げられた。多くの重症患者では肺血栓塞栓症が起きており、この原因はサイトカインストーム(免疫の暴走)によるものと考えられている。最近の研究では、サイトカインストームでは、免疫細胞の自爆攻撃、つまり、食細胞が自ら破裂して中身のネバネバしたDNAを敵に向けてまき散らすという攻撃が起こっていることが分かってきた。通常ならこの攻撃では血栓はできないが、サイトカインストームでは、まき散らされたDNA成分が周囲の血液成分まで固めてしまい血栓を作り血管を詰まらせてしまう。現時点ではこうした過剰な自爆攻撃を防ぐ方法はまだよく分かっていないということであった。 なお、こうした過剰な自爆攻撃は、すべての人ではなく1割前後の人たちだけで起こるという【6月7日の日記に関連記事あり】。このことから、血栓を防ぐ薬の適用が検討されている。最近、先進医療体制の整った国では、感染確認者数の増加ほどには重症者数や死者数は増えていないという指摘もあるが、その理由の1つとして血栓対策が功を奏している可能性もある(←無症状者の検査を積極的に行っていることも一因ではあるが。) 次回に続く。 |