じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 9月19日の日記で、HDMI端子をRCA端子(赤白黄のコンポジット)に変換するアダプターの話題を取り上げた。しかし、残念ながら、実際にDVDデッキの映像をRCA端子経由でmp4形式の動画に変換すると、画質がかなり落ちることが確認された。そこで、もともとのビデオカセットテープ(DVC)からS端子経由で画像を取り込んだところ、何とか、アナログTVレベルの画質を保てることが分かった。左の写真上はS端子経由、写真下はRCA端子のみ。写真上のほうが画質が向上していることが見て取れる。
 さっそく、S端子経由でmp4形式に変換した動画の第一弾をこちらに公開した。この時の旅行では、90分のビデオテープで毎日1〜2本の撮影をしており、私自身としても、同じ場所を再び旅行した気分になれる。新型コロナで海外旅行が不可能となっているいま、昔のビデオの再生は大きな楽しみとなってきた。
 なお、ビデオカセットテープ(DVC)で撮影した動画は超解像技術でさらに高画質化できる可能性もある。ビデオテープ自体はまだ経年劣化していないようなので、このまま保管し、子孫に遺そうと思っているが、もともと自己満足的な録画ばかりなので、子孫が大切に扱ってくれるかどうかは定かではない。

2020年9月24日(木)



【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(13)確立操作に関する1999年のシンポ(4)確立操作概念導入の問題点

 昨日に続いて、1999年に日本行動分析学会第17回年次大会(北海道医療大学)で行われた、

●「動機づけ」の行動分析:確立操作の概念の再検討と応用可能性

というシンポについての話題。

 長谷川の話題提供(抄録の26ページ)では、続いて、確立操作概念導入の問題点を指摘している。当該部分を再掲すると以下のようになる。
  1. 強化と確立操作の独立性:例えば餌で強化する場合、強化を繰り返し行えば結果的に飽和化が生じる。要するに、確立操作と完全に独立した強化というのはあり得ない。
  2. 行動分析学用語における、物理的定義(手続的定義)か、機能的定義(制御変数的定義)か、という区別に絡む混乱に進展する。但しこれは確立操作に限った問題ではない。「条件刺激」、「強化子」、「弁別刺激」全般について再考する余地が残っている。独立変数操作の記述において、従属変数レベルの変化を定義に取り込む概念は混乱を招くように思う。
  3. 行動内在的随伴性においては、定義上、行動と独立する形で強化子の提示頻度を変えることはできない。その際の確立操作をどうとらえるかという問題も残る。

 このうち1.は、9月15日9月16日で論じた、行動随伴性と時系列の問題にかかわっている。
 次の2.は、9月11日に取り上げた「手続段階と理論段階での用語体系の違い」に関連している。上掲の物理的定義(手続的定義)とは、手続段階の用語体系であり、機能的定義(制御変数的定義)とは理論段階での用語体系と言える。なお、後者の理論段階というのは、帰納的に集約された法則を記述する体系であるが、そこで確定された要因や条件と行動の変化・変容にいたるまでの流れは「プロセス」と呼ばれることもある。「理論段階での用語体系」というのは「プロセスを記述した用語体系」と言い換えることもできるだろう。
 最後の3.であるが、行動内在的随伴性、あるいは自然随伴性においても、それなりの確立操作はありうるとは思う。
 ちなみに、ここでいう「行動内在性」とは、
  • ジョギングをしたりダンスをしたりする時、体の動き自体が強化子(好子)として機能している場合。
  • 他者から褒められなくても、画用紙に描き出される絵そのものが強化子(好子)として機能している場合。
などが挙げられる。いっぽう「自然随伴性」は、上記の「行動内在的随伴性」のほか、もっと広範囲な、「付加的随伴性以外のあらゆる随伴性」を含むものとして定義される【あくまで長谷川の主張】。例えば、
  1. 眼鏡をかけたら文字がよく見えた。【強化】
  2. ナイフで遊んでいたら指を怪我した。【弱化】
 なお上記1.は杉山ほか『行動分析学入門』(1998)では、行動内在的随伴性の事例として挙げられている【349頁】。というか、この本でいう「行動内在的」はきわめて広範囲の事象を含んだ概念となっている(旧版では「ビルトイン随伴性」とも呼ばれていた)。私自身も、「行動内在的随伴性」と「自然随伴性」を特に区別する必要はないとは考えているが、上記の「眼鏡」の例で「文字がよく見えた」というのは、眼鏡をかける行為に内在した結果ではないゆえ、「行動内在的」に分類されること少々違和感がある。【長谷川版の3.3.では「自然随伴性」を推奨した。】

 元の話題に戻るが、自然随伴性にかかわる確立操作としては、
  1. コロナ自粛で外出が制限されることで、ジョギングそれ自体の強化機能が高められる。
  2. 資料収集のため過去の印刷文献を大量に読む必要が生じた。この事象は、「老眼鏡をかけたら文字がよく見える」という随伴性における「はっきりした視野」の強化機能を高める確立操作になっている。
というように事例が考えられるが、確立操作概念を使わない説明も考えられるゆえ、あまり確信できない。

 不定期ながら次回に続く。