Copyright(C)長谷川芳典 |
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農学部農場周辺をウォーキング中、キバナバラモンジンが目にとまった。以前は文学部周辺でも野生化していたが、基本的には雑草扱いであるため、最近はすっかり姿を消していた。過去の記録は以下の通り。 |
【連載】「新型コロナ 全論文解読2〜AIで迫る 終息への道〜」その3 免疫逃避 昨日の続き。 番組では「変異ウイルスにワクチンは効く?」に続いて、「変異ウイルス どれほど怖い?」という話題が取り上げられた。 ウイルスの変異についてはすでに6月15日の日記でも言及している。例えば、N501Yという変異は、ウイルスのタンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に置き換わったものであった。 番組によれば、新型コロナウイルスには突起があり、これが私たちの細胞にとりつくことで感染が起こるが、N501Yの突起は従来株よりも私たちの細胞により長時間結合しやすい構造となっており、結果的におよそ5倍の結合力を持っているという。このことにより感染する細胞の数が増え、また免疫細胞によって殺される場合もあり、重症化のトリガーになっていると説明された。 直近1カ月の論文では、10位にN501Y、9位にE484Kが頻出していることに加えて、第3位には「マナウス」という変異株が登場しているという。「マナウス」はブラジル・アマゾン川ほとりの町の名前だが、ここで確認された変異株は、N501YとE484Kという2つの変異を併せ持っているという。この地域ではまず従来株による感染が拡大し死者5000人を数えた。この時点で多くの人は免疫を獲得したはずであったが、その後、マナウスにより2度目の感染をした人が出てきたという。しかも2度目のほうが重症化しやすく、死者も増えているという。 ここで重要な点は、一度感染して免疫を獲得した人のはずがなぜ再感染してしまうのかという問題である。そのカギとなるキーワードは、第1位の「免疫逃避」にあるという。6月15日の日記にメモしたように、E484Kという変異は、484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)に置き換わった変異であるが、この変異の場合は、ウイルスの突起の外側?の部分(N501Yは内側?)が変化したため、感染を妨げる抗体がウイルスの突起にハマりにくくなり免疫がききにくくなるという。試験管内の実験によれば、ファイザーのワクチンの場合、E484Kの効き目はN501Yのおよそ10分の1に低下するという結果が得られている。ワクチンにより大量の抗体が作られているのである程度の防御はできるが、高齢者や免疫機能が低下している人などでは効果が充分に現れない可能性もあると指摘された。このほか、査読済論文としてはまだ確認されていないが、mRNAワクチンにより活性化されると考えられているキラーT細胞は、E484K変異にも働くという研究報告が出ているともいう。 ここからは私の感想であるが、いま、世界各地では、mRNAワクチンとそれ以外のワクチンは、同じ国の中で平行実施されていたり、国・地域で別々に実施されていたりするので、の変異株、特にE484K変異株に対して、mRNAとそれ以外のワクチンで効果に差があるかろうかはいずれ判明するように思われる。ちなみに私が接種しているのはファイザーのmRNAであり、E484Kにも有効であるとすればありがたいことである。但し、いろんな変異に対して汎用性があるということは、そのぶん、人間に必要なウイルスや臓器に対してもキラーT細胞が攻撃をしかけるリスクがあるような気がして、少々不安でもある。 なお昨日、「さまざまなタイプの変異した新型コロナウイルスが、細胞に結合するのを防ぎ、感染を防ぐことができるとする中和抗体を人工的に作ることに成功したと、富山大学などの研究グループが発表しました。」というニュースが伝えられた。富山大学の医療系学部の前身は、伝統ある富山医科薬科大学。新型コロナウイルスに対する日本発の貢献として大いに期待できそうだ。 次回に続く。 |