じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日の日記で述べたように、2022年2月22日は西暦表示の年月日が「0」と「2」という2つだけで表すことのできる貴重な日であった。ということで、午後2時22分22秒に記念写真を撮影。電波時計で2時22分10秒となった瞬間にデジカメのセルフタイマー(12秒後に撮影)を起動したので、撮影時刻は±1秒未満の誤差におさまっているはずだ。但しそのままの写真は個人情報保護の観点から公開できないため、ここでは、「まるでイラスト」というアプリで加工し、さらに顔の部分にボカシを入れたものを公開する。

2022年2月23日(水)



【小さな話題】サイエンスzero「人類が絶滅の危機!?“中性化”と生殖の未来」(3)男も女も要らない生殖の是非

 2月21日に続いて、2月13日に初回放送されたNHKサイエンスzero:

「人類が絶滅の危機!?“中性化”と生殖の未来」

の感想・考察。今回で最終回。

 放送の後半では、中性化は最近の現象ではなく、はるか昔から始まっていたという話題が取り上げられた。30万年前、8万年前、5万年前、現代の男性の頭蓋骨を比較すると、古い時代ほど眉の部分の隆起が顕著になっている。この隆起はテストステロンが多いほど高くなることから、大昔の男性はテストステロンの量が多かったと推測される。5万年前の頭蓋骨で隆起が減少した原因としては、当時の人類で集団社会が形成され、協力しあえる男性のほうが攻撃的な男性よりも子孫を増やす上で優位になったと説明された。

 さて、こうして男性ではテストステロンが減って生殖能力が低下、女性では排卵や着床に障害が生じ始めているというように中性化が進んでいくと、生殖医療なしでは人類は絶滅してしまう時代が来るという恐れが出てくる。そのことに備えた研究として、九州大学で作り出された「父も母もいないネズミ」が紹介された。そのネズミは、皮膚の細胞からiPS細胞、そこから精子と卵子を作り出して授精させることで誕生したという。これにより、男と女によらない新たな生殖が可能になるという。またアメリカのフィラデルフィア小児病院の研究では、プラスチックの袋のような人工子宮の中で胎児の羊を育てる様子が紹介された。
 こうした研究が進めば、高齢者、男性同士、1人の人間から子供を作ることも可能になる。要するに精子も卵子も不要であり、自分の細胞さえあれば子どもができることになる。但し倫理的な問題が解決していないため、現状ではヒトの細胞を使って授精させる研究は日本では禁止、他の国でも受精後14日を超えた研究は禁止されているという。ということで「もしこれを進めるのであれば、倫理的なことも考えて男性女性のあり方、家族のあり方、生き方をみんなで議論して、次の新しい未来に向けて人類の英知や培ってきた知識・経験・文化を活かして次の未来を作っていく段階になっている」(菊水先生談)と締めくくられた。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、iPS細胞から人間を作るという話はヒューマニエンスの中の、

●【2021年10月7日放送】90分SP「山中伸弥スペシャル iPS細胞と私たち」

でも耳にしたことがあった。
 2021年11月3日の日記でも述べたが、「人造人間」の技術は、
  • 人造人間を大量に作って奴隷化して働かせる。
  • 人造人間を大量に作って臓器移植の提供者にする
  • 天才と言われる人のコピー人間を作り、新兵器の開発をさせる
というように悪用される恐れがある。倫理的な問題を議論するといっても全員が合意できるとは思えない。おそらくどこかの専制主義国家で秘密裏に研究が進められ、独裁者のコピー、家来や兵士や奴隷のコピーが作られ、支配されていく恐れがある。自由主義国家においても、大富豪は自分のコピーを大量に作るいっぽう、一般人では収入や障がいの有無などによって「自分のコピーを作る権利」が制限される可能性がある。いずれにせよ、こうした「男も女も要らない生殖」では、家族という概念が無くなるが、それに代わって人々を繋ぐのは、おそらく、階級による支配であろう。
 このほかiPS細胞から作られる精子と卵子を授精させてもコピーの不具合から遺伝子の劣化が進み、いずれは細胞分裂停止、もしくは癌のかたまりのような状態になり人類は滅亡という可能性もあるかと思う。

 ということで、性のグラデーションや多様化を前提としながらも、男女それぞれの生殖能力を高めたり、子育てを支援するような体制を固め、できる限り人類誕生以来の伝統的な生殖様式を守るということも必要になってくるかと思う。